6日からの週のドル・円には下方圧力が掛かりそうだ。
5月30日からの週も、5月ISM(米サプライマネジメント協会)製造業景気指数、5月ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)全米雇用報告、週間米新規失業保険申請件数と市場予想より悪い米経済指標が相次いだ。米景気減速懸念は高まるばかりで、「市場はFRB(米連邦準備制度理事会)によるQE3(第3次量的緩和)を織り込みに行っている」(大手信託銀行)との声が出ている。3日に発表される5月米雇用統計が市場予想よりも弱い内容となれば、ドル売り・円買いが強まって1ドル=80円割れの水準から6日の取引がスタートする可能性も排除できない。
6日からの週は、FOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーが相次いで発言を行う。特にバーナンキFRB議長、イエレンFRB副議長、ダドリーNY連銀総裁といったFOMCの中核をなすハト派メンバーが、今月末でのQE2終了を前に米景気の現状や金融政策の先行きについてどう発言するか注目される。8日には21日からのFOMCで議論のベースとなるベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表される。一連のイベントを通じて、FRBによるQE3の実現度合いを見極める展開となりそうだ。
もっとも、3日の5月米雇用統計が市場予想よりも良好な結果となれば、米景気の先行きに対する過度な不安は後退し、ドル・円が上昇することも予想される。
しかし、3日にドル・円が上昇しても、上げ幅は限られるとみている。5月米雇用統計が良好ならば、投資家のリスク許容度が改善してドル売り・高金利通貨買いが強まると見込まれる。また、今回の米雇用統計が強い内容でも、FRBが直ちに出口戦略に向かう可能性は依然として低い。6日からの週の前半は米国の重要指標発表が予定されていないこともあり、利益確定のドル売り・円買いが流入しやすいだろう。
3日の東京時間には、1ドル=80円台後半で輸出企業のドル売りが観測されている。これらの輸出企業は、ドル・円の4月末以降のレンジの上限82円ちょうどまでの戻りを待たずにドル売りを出していたことになり、6日からの東京外国為替市場でもドル・円の上値を圧迫する要因となりそうだ。
一方、ユーロ圏では9日にECB(欧州中銀)理事会が開かれる。今回の会合では政策金利が1.25%で据え置かれるとみられている。市場の関心はトリシェECB総裁が7月の追加利上げの可能性を示唆するかに向かっているが、利上げ示唆があればユーロをサポートしよう。ユーロ・ドルは日足一目均衡表の「雲」の上限を明確に上回れば一段高が望める。
また、財政不安にあえぐギリシャをめぐり、20日のユーロ圏財務相会合を前に追加支援の具体策が報じられれば、ギリシャのソブリンリスクへの警戒感が一時的にせよ緩和に向かい、ユーロにはポジティブに働こう。
リスク要因は各国株式の動向。各国株式が下げ基調を強めれば、クロス円の下落を通じてドル・円には下げ圧力が掛かるだろう。(和田崇彦)
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提供:モーニングスター社