2011年3月27日日曜日

次週 3/28~4/2 ドル/円 予想


為替市場見通し:原発事故や協調介入の動向、米3月雇用統計に注目

3月26日(土)14時03分配信 フィスコ
■米利上げ時期が早まると見方からドル買いが優勢に

ドル・円は、G7(先進7カ国)の円売り協調介入への警戒感、福島原発事故が小康状態となったことを受けた円売り、米財務省による住宅担保証券(MBS)売却の発表を受けた米国債利回りの上昇に伴うドル買いで、80円63銭から先ず81円32銭へ上昇。その後、円売り協調介入がみられず、欧州信用不安(ポルトガル)やリビア情勢の緊迫化が嫌気されリスク回避の円買いになったことで80円70銭に反落。だが、80円50銭に日銀のドル買いオーダーが控えているとの憶測に下げ渋り、米10-12月期GDP確定値の上方修正、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁のタカ派発言を受けてドル買いが優勢となり、81円49銭まで上昇した。

■原発事故の行方、協調介入の動向、米3月雇用統計に注目

今後のドル・円は、福島第1原発事故の危機的状況の行方を見守りつつ、G7(先進7カ国)による円売り協調介入の動向、米国の金融政策の行方に大きく影響する米3月雇用統計の発表に注目しながらの取引になる。

原発事故が悪化の状況に向かえば、株安・リスク回避、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが再燃する可能性があり、その際は円売り協調介入とぶつかることになる。また、原発事故が小康状態を続ける場合は、経済指標の発表に注目が集まり、特に米3月雇用統計が予想以上の改善を示せば、18日介入時の戻り高値82円を試す可能性が高まる。そして、原発事故が鎮静化に向かう場合は、株反発・リスク回避後退、リパトリ思惑後退による自律的な円売りが優勢になり、経済指標の結果次第ではドルが一段高となる可能性がある。

3月18日に実施されたG7(先進7カ国)の日銀、英中銀、ECB(独、仏、イタリア)、カナダ中銀、米FRBによる円売り協調介入は、21日以降においてはまだみられないようである。引き続き今後の動向が注目されるが、当然のことながら野田財務相は「G7各国と適切に協力することを確認、引き続き市場を注視する」と述べている。

そして何と、シュタルクECB理事が「一段の円売り介入は日本当局次第」としながらも、「G7は必要な支援の用意がある」と発言。それに、ユンケル・ユーログル-プ議長も「行き過ぎた円高に対しストップサインを示すことは重要」「とりわけ日銀、FRB、ECBがこの動きに対し、引き続き協調行動を取っていく用意があることが理解されるべき」と述べており、元来為替介入に批判的な欧州勢の積極的な姿勢が目を引く。

EU首脳会議(24-25日)でも、日本に対して災害への協力、経済・金融での協調を表明(戦略的に関係強化することを次回首脳会議で議論)、G7の円売り協調介入を歓迎しており、欧州の今回のサポート姿勢は本物であると認識すべきと思われる。

なお、G7の介入姿勢については、今のところ連続的な動きがなく、80円50銭付近のまとまったドル買いオーダーが日銀との噂になっていることなどから、相場押し上げ型ではなく、一定水準の維持型との見方に傾いている。

日本の金融政策については、3月14日の日銀金融政策決定会合で追加緩和策(資産買入基金の拡充)を決定。潤沢な資金供給も実施されている。今週は、白川日銀総裁、宮尾日銀審議委員がともに「経済・物価の状況を点検し、必要なら適切な措置をとる」と述べており、状況によりさらなる追加緩和を検討する可能性を示唆している。

米国の金融政策については、3月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、出口戦略への動きはみられず、現行の政策が維持されている。今週は、フィッシャー米ダラス連銀総裁が「6月以降、緩和策の拡大、延長の必要はない」と述べ、量的緩和第2弾の満期終了を主張。また、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁が「FRBは、近い将来、出口戦略の開始が必要となる可能性」「政策金利の引き上げと保有資産規模の縮小を同時に」と発言しており、米国の利上げ時期が早まるとの見方が浮上している。なお、米財務省が「1420億ドルの政府保有の政府系住宅金融機関(GSE)の保証付き住宅担保証券(MBS)を、今月から売却していく(1カ月に最大で100億ドル)」と発表、財政政策における出口戦略への始動がみられた。

3月のFOMCでは米経済について、景気判断を上方修正し、「雇用市場の状況は徐々に改善」との見解が示されているが、4月1日に発表される米3月雇用統計が注目される。前回2月雇用統計は、失業率が予想外に低下し9%割れとなり、非農業部門雇用者数が19万人台の増加に改善している。3月は、失業率、非農業部門雇用者数とも2月水準並みの数値が予想されおり、雇用の改善傾向が続くとの見方になっている。

米国債の入札が、3月28日に2年債(350億ドル)、29日に5年債(350億ドル)、30日に7年債(290億ドル)の総額990億ドル予定されている。入札の結果を反映して、米長期金利が上昇すれば、ドル・円は仕組み債絡みなどのドル買いが強まり、金利が低下すればドル売りが強まることになる。


[予想レンジ]
ドル・円79円50銭-82円50銭

株式会社フィスコ

来週の東京外国為替市場見通し=ユーロ・ドルは強含みか、米雇用統計を失望ならドル売り加速

3月25日(金)18時23分配信 モーニングスター
予想レンジ:1ドル=80円00銭-81円98銭

28日からの週、ユーロ・ドルは強含みか。足元では欧州の財政問題をめぐり悪材料が相次いでいるが、ユーロ・ドルは底堅く推移している。4月7日開催のECB(欧州中銀)理事会で利上げが実施されるとの見方が強いなかで、来週はユーロを売りにくいとみる。

ユーロ・ドルについては、ドルの値動きが大きな影響を与えることも考えられる。4月1日には3月米雇用統計が発表される。「足元ではドル安基調が続いているため、米雇用統計が市場予想より弱い結果となってドル売りが加速する展開を警戒している」(中堅証券)との指摘が出ていた。原油価格の動向も重要。24日にはNY原油先物価格が一時1バレル=106ドル台後半まで上昇した。来週、リビアだけでなく、イエメンやシリア、バーレーンといった中東諸国の情勢がいっそう緊迫化して原油価格が上げ幅を拡大すれば、さらにドル安が進むとみる。

ユーロ・ドルは22日に一時1.4249ドルまで上昇。その後いったん1.40ドル台半ばまで下落したが、押し目買いの流入などで下げ渋った。来週は10年11月高値の1.4281ドルを上回るかが注目される。同水準を上抜けると、ユーロ・ドルは一段高が見込まれる。

もっとも、再びユーロが下押されるシナリオも想定しておきたい。市場では「ポルトガルがEU(欧州連合)・IMF(国際通貨基金)に支援要請するのは織り込まれている。より注意すべきはスペインの動向だ」(外為アナリスト)との見方があった。24日の東京時間には一部報道でムーディーズがスペインの銀行の格付けを引き下げる見通しと伝えられ、ユーロが売られた(実際に同日の海外時間にムーディーズはスペインの銀行30行の格付けを一斉に引き下げ)。引き続き同国の金融セクターや財政問題に関する報道を注視する必要がある。

ドル・円は年度末特有のフローで上下することも予想されるが、下値は限定的となりそうだ。福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故は予断を許さない状況が続いている。「動向によっては投資家のリスク回避姿勢が強まりやすいとみられ、円は売られにくい」(米系銀行)との声が聞かれた。ただ、「3月の決算期末にドル・円が80円を割り込んでいる状況は避けたいとして、日本の当局が介入に踏み切るとの警戒感は根強い」(大手金融機関)という。レンジの上限としては協調介入が実施された18日の高値81円98銭をみている。(坂本浩明)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。

提供:モーニングスター社

円高は日本を救う


為替市場の急激な乱高下は苛立たしいかもしれないが、大抵それだけのことである。逆に政府がその短い混乱に反応すると、長期的な影響を及ぼすこともある。主要7カ国(G7)が円高抑制目的で先週実施した協調介入は、まさにそのいい例だ。
woodfhk
 G7は、円相場の「過度の変動や無秩序な動き」―例えばドルに対する急激な円高など―は、「経済及び金融の安定に対して悪影響を与える」と述べた。しかし先進国の財務相は、自然な円高の流れを止めることで、東日本大震災で打撃を受けた日本から復興のチャンスを奪い取っているのである。仲間の国にダメージを与える政策に、その国からお墨付きを得た上で合意するなどというのは、G7としても初めてかもしれない。
 投機筋が1995年の阪神淡路大震災の経験をもとに円高を見込んで円買いに走っていると言う人もいる。阪神淡路大震災の後、保険会社は保険金支払いのために円を大量に買わなければならなかった。それにより、もちろん円は上昇。この説によれば、投機筋は将来の需要に便乗するために円を買っていることになる。ただ、この見解が正しかろうと間違っていようと、政府と中央銀行が経済政策全体を考慮すべきであることには変わりない。そして現在の状況下での政策は、日本経済のために円高を支持すべきなのである。
 まず、震災が日本製品の需給バランスにどのような影響を与えたかを考えて欲しい。日本はより多くの―それもかなり多くの―物資を必要としており、海外も今まで通り日本製品を必要としている。もちろん生産能力の大部分が震災の被害を受けたので、供給が激減した一方で需要が増加していることになる。そして日本製品が外国製品よりも不足し出すと、価格は必然的に上昇するので、円もドルやユーロに対して上昇することになる。
 投機筋が円の価値を吊り上げていると非難する人は、円高が日本にとって大惨事だと考えている。だが、円高は日本復興の妨げになるだろうか。円高反対派は生産の落ち込みを心配している。通常、需要の低迷が生産に影響するが、最近の日本は外需に頼ってきた。もし日本製品に対する外需の落ち込みが問題なのだとしたら、円高は確かに回復を遅らせる。
 しかし今回は状況が違う。日本のGDPは低下するだろうが、それは国内供給の落ち込みによるものである。その場合、食品や建設資材などの日本向けの供給を増やすことが重要になる。現状では、日本は出来るだけ物資を国内で消費し、輸出を最低限に留めたいだろう。そのために必要なのは輸入だ。円高は輸入コストを下げ、より多くの製品やサービスが日本に入りやすくする。
 早急に物資が必要な日本にとって、為替介入は危険である。介入は調整速度を緩やかにし、相場のボラティリティーを下げるという主張もあるが、逆に今は調整が早い方が日本に物資が入るのも早まる。ボラティリティーの急上昇は相場が適正な水準を見つける過程の一部であり、そのボラティリティーを下げることは結局相場安定を遅らせるのである。
 中央銀行はまた、介入は外貨準備高の増加に繋がると正当化する。しかし今の日本に他国のドルやユーロル建て資産は必要ない。日本には膨大な円建て資産があり、高い貯蓄率となって現れている。成長がこの先減速するかどうかに関わらず、今こそこの余剰資産を使う時なのだ。貯蓄を使えば、差し当たり収入に頼らなくて済む。日本が外国から容易に借り入れることができるかどうかは問題ではない。この貯蓄のおかげで、為替変動が資本の移動を低下させるという説―もともと正当性が怪しいが―は意味がないのである。
 もしこの為替変動が国内銀行システムの懸念材料となりパニックを引き起こす可能性まであるのであれば、日銀は流動性を提供するというお馴染みの方法で手を貸せばよい。しかし、流動性は一時的なもので、根本的に資本損失を解消することにはならない。海外の銀行や他の金融機関に資金を出してもらう方がよりよい策である。
 結果として、円高はこの悲劇からの復興に役立つだろう。G7は為替市場にその手を委ねるべきである。
(ジェフリー・ウッド氏は英カス・ビジネススクールの経済学名誉教授およびバッキンガム大学の金融経済学名誉教授)

2011年3月25日金曜日

介入は過度な変動あった時、今後もG7で適切に協調=野田財務相


[東京 25日 ロイター] 野田佳彦財務相は25日の参院財政金融委員会で、東日本大震災後の円高介入に問われ、「現在はあの時に比べれば為替相場は落ち着いてきている」との認識を示した。その上で、介入を決断する状況については、相場水準というよりも「過度な変動・無秩序な動きがあった時だ」と協調した。また再び円高が進行した際について、円高対策は介入だけではなく、その他のさまざまな経済対策も含めて「総合的な対策で対応する」とした上で、介入の効果について「協調介入は(単独介入よりも)はるかに効果的。今後もG7で市場の様子を注視して協調していく」と述べた。
 自民党の塚田一郎委員の質問に答えた。
 野田財務相は、介入時の相場状況について、生損保業界が円資金獲得のための海外資産を売却する必要があるとの根拠ない噂で過度な変動があったと説明。介入の必要が生じる時というのは「過度な変動と無秩序な変動があった時だ」と述べた。
 円相場のレンジがだんだんと円高方向に変化し、長期的に円高の流れが止まらないことへの対応について、相場水準にはコメントしないと断った上で「基本的には為替の相場は経済のファンダメンタルズを反映すべきというのは国際的な共通認識」だと述べ。
 「円高対策というのは、どうみても思惑による動き、過度な変動や無秩序な動き時の一つの対応が介入。ただ介入により対応するものと、そうでないさまざまな対策で対応するものがあり、総合的な対策で対応するもの」との考えを示した
 G7による協調介入について、国際社会が過度な変動に対する認識を共有できたためと説明。その上で「基本的には単独よりも協調介入の方がはるかに効果が大きい。これからもマーケットの動きを注視しながら適切に協調していく」との姿勢を示した。
 (ロイターニュース 中川泉 編集:吉瀬邦彦)

2011年3月23日水曜日

[外国為替市場展望:ドル・円相場]米FRBの金融政策に対する見方が焦点


3月20日(日)11時09分配信 サーチナ
【外国為替市場フューチャー:3月22日~25日】

■協調為替介入を継続的に実施するのかが焦点

来週(3月22日~25日)の外国為替市場で、ドル・円相場については、18日に合意したG7(日米欧主要7カ国)による協調為替介入の効果がどれくらい持続するのか、そして再びドル安・円高圧力が強まった場合に、協調為替介入を継続的に実施するのかが焦点となるだろう。したがって当面の外国為替市場は、神経質な展開となる可能性が高いだろう。

ドル・円相場については、大勢として1ドル=81円台~83円台のレンジでボックス展開が続いていたが、東北地方太平洋沖地震の発生で状況が一変した形である。前週(3月14日~18日)は、リバトリエーション(資金の本国還流)の思惑などで95年4月につけた史上最高値を突破し、日本時間17日早朝には一時1ドル=76円25銭まで円が急騰した。ただし週末18日にはG7による協調為替介入の実施で円が急反落するなど乱高下した。

急速なドル安・円高の進行については、G7による協調為替介入実施の効果で、一旦は落ち着いた形である。そして当面は、心理的な節目として1ドル=80円台を支えるだろうとの見方がある。また、東日本大震災が日本経済に与える影響を考慮すれば、いずれドル高・円安方向に向かうとの指摘も多い。

しかし一方では、協調為替介入に一定の効果があったとしても、東日本大震災前の水準まで円が下落する可能性は小さいとの見方が多い。さらに、協調為替介入効果そのものの持続性や、協調為替介入の継続性について疑問視する見方も多い。東京電力福島原子力発電所の緊急事態の動向によっては、再び円高が進む可能性も指摘されている。リバトリエーションの思惑、中東・北アフリカ情勢の緊迫化、原油先物価格の上昇、米国長期金利の低下などによって、再びドル安・円高圧力が強まる可能性も警戒されている。その場合に、協調為替介入が継続されるのかが、今後の注目点となるだろう。

基本的には主要国の金融政策の動向が注目点である。世界的なインフレ懸念を背景として新興国での利上げが相次ぎ、ECB(欧州中央銀行)による4月利上げ観測も高まっている。米FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和策第2弾(QE2)については、予定どおり11年6月末で終了するとの見方が優勢になっているが、その後は出口戦略に向かうのか、量的緩和策を継続するのかなど、米FRBの金融政策に対する見方が大きな焦点となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

22日の東京外国為替市場=ドル・円は上値重い、「戻りを売りたい市場参加者多い」との声


3月22日(火)16時25分配信 モーニングスター
 22日の東京外国為替市場で、ドル・円は上値の重い展開。輸出企業のドル売りが流入した。18日にG7(主要7カ国)の各国中銀が協調介入を実施。ただ、「介入実施後もドル・円の戻りは鈍い。再び円高が進むとみて輸出企業を中心に戻りを売りたい市場参加者は多い」(中堅証券)という。もっとも、「日経平均株価の大幅上昇を受けて投資家のリスク許容度が改善したことがドル・円の下値を支えた」(大手金融機関)との声が聞かれた。

18日にはG7の各国中銀が協調介入に踏み切ったことで、「目先は極端な円買いの進行は想定しにくい」(前出の中堅証券)との声が出ている。しかし、一方で「再び80円を割り込むと介入警戒感がさらに高まるとみる。ただ、介入が行われたあとに付けた18日の高値が82円ちょうど近辺だったため、再度介入が実施される場合でも同水準を超えてドル・円が押し上げられるシナリオは考えていない」(前出の大手金融機関)との見方も出ている。午前7時以降、ドル・円は80円86銭-81円30銭で推移している。(午後3時30分現在)

ユーロ・ドルは方向感が出なかった。一時1.4232ドルまで上昇し、21日のNY時間の高値1.4240ドル(10年11月5日以来約4カ月半ぶりの高値)に迫ったが、「新たなユーロ買い材料に欠け、伸び悩んだ」(同)とされる。「リビア情勢や福島第一原子力発電所の事故への懸念が一段と高まり、再び世界的な株安が進めばユーロに下押し圧力がかかる」(同)との警戒感がユーロの重しとなっている。午前7時以降、ユーロ・ドルは1.4203ドル-1.4232ドルで推移している。(午後3時30分現在)
(坂本浩明)

提供:モーニングスター社

2011年3月21日月曜日

下げ止まりに賭けドル円押し目買い継続


2011年03月21日13:06

先週のドル円相場は76.25と史上最安値を更新する場面がありました。

18日には協調介入が実施され82円付近まで反発、80円台半ばでクローズしています。

昨年9月の円売り介入も1日のみで終了しており、その後は最初に円売り介入を実施したレベルを下抜けしています。

おそらく過去の事例に基づいて様々な憶測がでてくる1週間となりそうです。

今回最初に介入が実施された東京時間のレベルは79円台前半だったと記憶しています。

トレーダーは一旦このレベルを気にすると思われます。

今後の介入スタンスがどうなるのか?

予想できそうで出来ないものなのかもしれません。

個人的には今回の日本を取り巻く環境は過去になかったものだと考えています。

現状の史上最安値76.25を下抜け、70円台前半が長期間定着するような展開はあまりにも厳しいと考えています。

過去の介入実施時のデータは無視して75円レベルを底に見てドル円押し目買いを続けてみたいと思います。

リスク要因は2つ、福島原発問題と中東リビア情勢で悪化すればリスク回避となる可能性があります。

福島原発問題と中東リビア情勢の注目度が非常に高まっており、経済指標の関心度は下がると思います。

今週は指標よりも原発とリビア情勢を睨みながらの相場をイメージ、投資戦略はドル円押し目買い。

※最終的な投資判断は必ずご自身でお願いいたします。

参照元:ZEROのデイトレブログ

欧州市場の入口付近には注意! リビヤ情勢も気になるところ


先週の海外市場では、ドル円はさらに一段高することなく、ロング勢の調整売りが進んでしまった。ドル円か、もしくはユーロ円での買い玉が出てくることを期待していた人々からしてみれば、完全に足を踏み外された格好となっている。
 週末にはリビアへの空爆が開始され、これがフレッシュな材料をマーケットに与えそうだ。本日の朝は80円台の後半で始まり、そのままの小動きがずっと続いている状態。
日本がお休みなので、日銀などからの積極的なアクションはないだろう。
82円ちょうど近辺まで上がってしまったことで、前回の介入時の上昇分と同じ幅を稼いだこともあり、妙な達成感も出てきている。
ともかく協調介入ということになっているので、欧州市場、ニューヨーク市場での入口付近の値動きと、要人発言などが聞こえてくるかどうかにも、十分に注意しておく必要がある。
まあ、そうした状況もふまえて、やはり夕方にかけてはドル円を売り込んでいったほうがワークしそうな感じもしている。

2011年3月20日日曜日

為替市場見通し:いったんドル戻り余地を探る、リパトリ思惑で円買いも根強い


■76円25銭まで一気に円最高値更新後、協調介入でドル反発

ドル・円は、日本の大地震を受けた株安・リスク回避や、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが先行、週明けのシドニー市場で80円60銭へ続落後、日米協調円売り介入の可能性、日銀による過去最大の資金供給、海外投資家による日本株売り・円売りなどを受けて82円46銭まで上昇。

だが、東京株式市場が福島第1原発事故を受けて1000円超の急落となったことで、リスク回避、リパトリ思惑の円買いが再燃。福島原発事故の深刻化を受けた株安に連れてリスク回避の円買いが加速、オプション絡みのストップ・ロス、ドル買い持ちポジションの手仕舞いなどのドル売りで76円25銭まで急落。円の史上最高値を更新した。

その後、緊急G7(先進7カ国)財務相電話会談の開催発表を受けて円売り介入への警戒、本邦輸入企業・機関投資家、海外投資家のドル買いで79円台に戻し、18日朝のG7財務相・中銀総裁電話会議での円売り協調介入合意、日銀、英中銀、欧州中央銀行(ECB)、カナダ中銀、米FRBの円売り介入を受けて82円に反発した。

■今後の介入姿勢など見極めつつ、一旦ドルの戻り余地探る展開

今後のドル・円は、G7(先進7カ国)で円高阻止の協調介入が合意され、円売り介入が開始されていることで、今後の介入姿勢などを見極めつつ、いったんドルの戻り余地を探る展開が見込まれる。ただ、目先は基本的に福島原発事故の危機的状況の行方如何であり、株安・リスク回避、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが継続する可能性が残る。一方、鎮静化方向への兆しがみられるとすれば、株反発・リスク回避後退、リパトリ思惑後退による自律的な円売りが優勢になる。83円台以上では本邦輸出企業のドル売りオーダーが残るとみられる。

日本問題(東北関東大地震・津波による激甚被害、福島原発事故の危機的状況)を受けた株安・リスク回避の円買い、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが続き、ドル・円はこれまでの円最高値79円75銭(1995年4月19日)を更新、3月17日に76円25銭を記録した。

その後、ラガルド仏財政経済産業相が大地震を受けた日本の債務・金融問題を話し合うG7電話会議を提案。日本時間18日朝のG7財務相・中銀総裁による緊急電話会議で円高阻止の協調介入が合意され、日銀がドル買い・円売り介入を79円台から実施してドル・円は81円台に反発。欧米市場では、英中銀、ECB、カナダ中銀、米FRBの円売り介入を受けて82円まで反発した。野田財務相は「特定の水準を目指すものではない」としているが、目先は今後の介入姿勢が注目され、介入の規模、相場押し上げ型か、一定水準の維持型かなどを見極めることが必要になる。

3月14日に開催された日銀の金融政策決定会合では、「無担保コール目標を0-0.1%で推移させるとの調整方針を全員一致で維持」。そして、「資産買入基金を総額5兆円から10兆円に拡充」との追加緩和策を決定した。白川日銀総裁は「潤沢な資金供給を行い、金融市場安定に万全を期す」と発言。日銀は、当日過去最大の資金供給を行い、その後も大量の資金供給を続けている。17日のドル・円での円史上最高値の更新により、一段の金融緩和観測も浮上しており、今後も動向が注目される。

15日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利0-0.25%の据え置きを決定。注目された声明文の「政策金利を“extended period長期にわたり”極めて低水準で維持することを予想」との文言を継続、そして、「6月末までの6000億ドル規模の米国債購入計画を維持」、それらは「全会一致で決定」となり、出口戦略への動きはみられなかった。ただ、米経済について、「米国の回復は以前に比べ安定している」として景気判断を上方修正。「雇用市場の状況は徐々に改善」との見解を示しており、量的緩和第2弾は6月末で終了の見方がさらに強まる状況になっている。

今後の主な予定は、21日(月):(日)休場(春分の日)、(米)2月中古住宅販売件数、22日(火):(日)1月全産業活動指数、(米)1月住宅価格指数(連邦住宅金融局)。23日(水):(日)宮尾日銀審議委員会見、(米)2月新築住宅販売件数、バーナンキ米FRB議長講演。24日(木):(日)2月貿易収支、(米)2月耐久財受注。25日(金):(日)2月全国・3月東京都区部消費者物価指数、(米)10-12月期GDP確報値、3月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値。

[予想レンジ]
ドル・円78円00銭-83円00銭

《TN》
株式会社フィスコ

来週の東京外国為替市場見通し=福島原発にらみ継続、協調介入も1ドル84円突破にはドル高材料必要


予想レンジ:1ドル=80円00銭-84円50銭

21日からの週は、福島第一原発の事故に絡む混乱が収拾に向かう兆しが出ない限り、外国為替市場は同原発関連のニュースフローや各国株式の値動きに敏感に反応する展開が続くだろう。放射能漏えいへの危機感から投資家がリスク回避目的の円買いを強めた結果、ドル・円は日本時間17日早朝に戦後最安値を更新。一時76円25銭まで急落した。日本時間18日にはG7(主要7カ国)財務相・中央銀行総裁が電話会談を行い、協調介入の実施で合意。ドル・円は急回復を遂げたものの、福島第一原発の事故をめぐって事態が一段と悪化すれば、再びリスク回避の円買いが進む可能性は否定できない。

G7の協調介入に関しては、18日公表の声明文で「日本における悲劇的な出来事に関連した円相場の最近の動きへの対応」と明記され、今回の協調介入があくまで東日本巨大地震後の円急騰を受けた緊急の措置であることが示された。市場では「震災前の水準をさらに上回るようなレベルまでドル・円が上昇するのは難しいのではないか」(三菱東京UFJ銀行 市場営業部 シニアアナリスト・内田稔氏)との見方が出ている。

東日本巨大地震の前、ドル・円は84円ちょうどを上限とするレンジ推移となっていたため、84円台を固めるには新たな材料が必要になりそうだ。

しかし、ドルには弱い材料が増えつつある。投資家のリスク回避行動の鮮明化で米長期金利は足元で低下基調をたどっている。一方、バーレーンやリビアの情勢不安を材料視してNY原油先物は再び騰勢を強め、ユーロ・ドルは1.4ドル台を回復。NY原油先物が来週一段と上昇すれば、ドルはさらに圧迫されるだろう。

今週は福島原発の状況悪化への懸念からNYダウが16日に急落。外国為替市場は各国株式の値動きに影響され、米国の経済指標への反応はきわめて限定的だった。福島第一原発での事故をめぐる事態が収束に向かえば、マーケット心理も落ち着き、米経済指標を吟味するもとの相場つきになりそうだ。米経済指標では住宅関連指標(21日に2月米中古住宅販売件数、23日に2月米新築住宅販売件数)が発表されるほか、24日には週間新規失業保険申請件数が発表される。(和田崇彦)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。

提供:モーニングスター社

第399回 2011年3月17日~23日の為替見通し


2011年3月17日
ジャパン・ショックによる株安、通貨変動でケモノ道を歩む展開です。人間はさまざまな解説を聞いて、自身の強気、弱気のバイアスによる判断で行動しますが、ケモノは存亡の危機を本能的に察知してリスク回避行動をとります。
阪神淡路大震災の時、犬は隊列を作って町から遠ざかっていったのに、人間は(救済や自身の用事から)被災地に向かっていったと被災された作家が語っておられました。どの道を行くかは自分で判断するほかありません。
日本人は長年豊かに暮らしてきましたから、本当に怖い、リスクは負えないという切迫した経験が乏しい人もいます。
日本の株式市場は1995年1月の阪神淡路大震災から五ヵ月後に当時の底を入れました。今回の東日本関東大震災では震災ショックによる安値にとどまらず、原発事故によるショックとアメリカの国債の買い手としての日本の財政が急速に悪化するリスクの3点が強烈です。
まず、為替面ではドル円で76円を見たことで一番底がこれで済んだかどうかの検証のための時間が必要です。次の安値が76円を下回らなければ76円が一番底とわかりますが現状では戻ってもまたドル売り円買いになり円高が当面続くと思われます。
次に懸念されるのはアメリカ国債の主要買い手の日本にその余裕がなくなることでアメリカの財政問題が心配の種になり、ニューヨーク工業株が下落する懸念があることです。これでドル安が進行し、円高ストレッチの二番目の装置になる可能性があります。
余裕があれば短期で資金効率を高めるといいでしょう。余裕がない場合は思わぬ展開が待ち受けている可能性を十分考慮して、軽々しく動かないことです。海外の投資家がどう判断するか、日本人の実感とずれがあることを忘れないようにしましょう。
●ドル円相場の見通し
この数日、原発爆発が猶予されている現状であれば78.64~79.28円あたりで行きつ戻りつが続くと思います。
●ユーロ円相場の見通し
同じ条件で109.67~110.16円
●豪ドル円相場の見通し
同じ条件で76円の攻防が続くでしょう。78円まで戻れていますが70円われのリスクは残っています。短期で余裕資金がある場合以外は買いは進められません。

ドル円1週間の歩みと来週相場の注目点(H23.3.19)






こんばんは。

今週のドル円相場は木曜日に戦後最安値(=円の最高値)となる76円25銭まで下ヒゲを伸ばして差し込んだ後、金曜日に実施されたG7協調円売り介入を受けて一時82円台目前まで急騰、その後は戻り売りに押されつつも80円台半ばで引ける、という大荒れの展開になりました。

1週間の動きを振り返ってみると・・・

【月曜日】
東京早朝は81円70銭台。震災復興に必要な円資金確保の目的で日本企業や金融機関が外貨資産等を売却するのではないかとの思惑などから一時80円60銭付近まで円高ドル安が進んだが、日本政府要人等の発言によって喚起された為替介入への警戒感が強まるとすぐに81円台に押し戻される。その後、日銀の即日オペによる大量の資金供給策が相次いで発表されると、一時82円40銭台まで上ヒゲを伸ばす。ただし、この水準では上値も重く、その後はジリ安推移となって東京午後の時間帯は82円10銭台を中心とするレンジで小康状態。欧州勢力参入後、序盤は日本株大幅安の余波で欧州株が弱含んで対欧州通貨を中心にクロス円が水準を切り下げると、ドル円も連れ安して81円70銭台に下落。その後も欧州株睨みの展開となり、主要欧州株が切り返すと82円台前後に持ち直し、欧州株が反落すると再び81円70銭台に押し戻される。NY勢力参入後、米国債利回りの低下などを手掛かりにした円高ドル安が進み、81円50銭台までジリジリと値を下げる。その後、米国債利回りが下げ幅圧縮に転じ、米国株も切り返してくると81円60-70銭台まで買い戻され、東京勢の参入待ち。

【火曜日】
東京早朝は81円60銭台。序盤はドル買いやや優勢で81円90銭台に乗せる場面があったが、原発事故の深刻化を受けて日本株が大幅に下落するとクロス円も巻き込んだリスク回避の円買いが進み81円20銭台に下落。その後、日本政府による為替介入の噂などから82円00銭台まで急騰する場面もあったが、憶測の域を出ないとの見方が広がるとすぐに押し戻されて81円30-60銭台で不安定な上下動。午後に入り、日本株が買い戻されて下げ幅圧縮に転じるとドル円も81円80銭台まで買い戻されたが、この水準での上値は重たい。欧州勢力参入後、主要欧州株が軒並み軟調に推移すると、リスク許容度圧迫型の円高観測が再び蒸し返されて円全面高の動きが強まり、ドル円は81円台を割り込んで80円80銭前後まで下落。NY時間帯に入り、FOMCを控えた様々な思惑が交錯する中、序盤は80円70銭台から81円00銭台で神経質な動きが続く。その後、円買いが優勢になる局面では80円60銭まで下落する場面もあったが、年初来安値にほぼ面合わせした水準では底堅く、ショートカバーで81円20銭付近まで反発した後、80円90銭台でFOMCの結果待ち。注目のFOMC声明文では景気判断が上方修正されたものの、米国債購入計画と長期間にわたる超低金利政策の継続判断は据え置かれたことからドル円相場は複雑な反応。いったん81円08銭前後まで上ヒゲを伸ばした後、80円85銭前後まで値を下げる。NY引けにかけては再びドル売り優勢となり、80円70銭前後まで続落して東京勢の参入待ち。

【水曜日】
東京早朝は80円70銭前後。日本政府の円売り介入への警戒感や寄り付き後の日本株の大幅高を好感したクロス円の上昇などを背景に午前中に一時81円17銭界隈まで上昇するが、この水準では上値が重く福島原発続報を嫌気して日本株が上げ幅圧縮に転じると正午過ぎには80円70銭台に押し戻される。午後に入り、日本株が引け前に再び上昇すると一時80円98銭前後まで買い進まれるが81円手前で息切れすると80円80銭前後に反落。欧州時間帯に入り、欧州株の上値の重さを背景にクロス円が下落するとドル円も連れ安して80円60銭台に下落。NY時間帯に入り、序盤に発表された米2月住宅着工の弱い結果を嫌気して80円40銭台に続落。その後いったん80円80銭台まで値を戻す場面もあったが、福島原発への悲観論を背景に米国株が大幅に下落するとリスク回避の円買いの思惑が強まり日本時間未明には1995年4月に記録した円の戦後最高値79円75銭を断続的に割り込む。

【木曜日】東京朝6時過ぎの段階で79円50-60銭台。前夜のNY市場の流れを引き継いで円高圧力の強い展開が続く。早朝薄商いの時間帯を狙った円買い仕掛けの噂などから一段の円高が進むとクロス円も巻き込んだ損失覚悟の外貨売りが連鎖して6時20分過ぎには一時76円25銭と円の戦後最高値を大幅に更新。急激なドル売り・円買い一巡後は、本邦通貨当局の介入警戒感やG7電話会議での市場安定化策への期待などから79円70銭台に反発したが、この水準での上値の重さを確認すると79円00銭前後まで押し戻される。その後はしばらく78円90銭台から79円10銭台で様子見となり、日本株の下げ幅圧縮を好感したクロス円の上昇に連れて79円40銭台に上伸する場面もあったが、引けにかけて日本株が再びダレると79円00銭付近に押し戻される。欧州勢力参入後、上海株の下落を嫌気したクロス円の下落が目立つ場面で78円60銭付近まで値を落とすが、引けにかけて上海株が持ち直すと79円20銭台に買い戻されるなど不安定な展開が続く。その後は他通貨市場睨みの展開となり、対欧州通貨を中心にドル売りの動きが強まるとドル円でもドル売り優勢となって78円20銭台まで値を落とす。ストレートドル市場でのドル売りが一巡するとドル円も買い戻されて78円60銭台へ。NY時間帯に入り、序盤に発表された米失業保険新規請求件数の良好な結果を手掛かりに78円90銭前後まで上昇。その後はしばらく78円50-80銭台で小康状態にあったが、78円台半ばでの底堅さを確認すると徐々にショートカバーが優勢になり、日経新聞社による「G7電話会議の共同声明で日本の為替介入容認姿勢が示される」との報道が伝わると79円30銭台まで買い戻される。その後は売買交錯し、78円80銭台から79円10銭台のレンジで一進一退。

【金曜日】東京早朝は78円80-90銭台。日本時間7時に始まったG7電話会議への期待感から79円台半ばまで上伸した後、G7協調為替介入合意に基づき日本政府が円売りドル買い介入を実施すると約30分間で81円48銭前後まで急騰。本邦実需のドル売りなどからいったん81円06銭付近まで小緩んだが、その後もジリジリとしたドル高・円安の流れが続き、日本株引け後には一時81円90銭前後まで続伸。欧州勢力参入後、序盤はG7協調介入の本気度を試したいとのムードから81円70銭前後まで下落。ロンパチ通過後、欧州当局による協調円売り介入実施の噂が流れるとクロス円が一斉に上ヒゲを伸ばしてドル円も81円98銭付近まで急騰したが、断続的な戻り売り圧力の強さを確認すると81円20銭台まで反落。その後、独仏英伊の各国中銀及びECBのG7声明に基づく協調介入への参加が確認されると徐々に盛り返し、81円50銭前後に上昇。NY時間帯に入り、カナダ中銀、米FRBによる円売り介入への参加が相次いで確認されると一時81円74銭付近まで続伸したが、海外中銀による介入規模はそれほど大きくないのではないかとの見方が強まると戻り売り圧力が優勢になり、ストップロスを巻き込んで80円80銭付近まで大きく値を下げる。その後はいったん81円20銭台まで買い戻される場面もあったが、米国株、米国債利回りが上昇幅を圧縮したことがドル売り・円買い材料視されたほか、トリシェECB総裁によるインフレタカ派的発言を受けてユーロドル市場でドル売りの動きが強まった影響などからストレートドル市場全般にドル売りの流れが強まると、ドル円も再び81円台を割り込んで80円70銭台へ反落。本邦通貨当局の介入が背景と噂される国内大手銀行からのドル買い注文への警戒感から一旦下げ渋って80円90銭台に持ち直したが、81円台目前で伸び悩むと最終盤にかけては再びドル売り優勢になり、80円60銭前後まで下落して週末の取引を終了。

・・・という流れでした。

<三角持ち合い下抜け後の協調介入でドル円は微妙なチャートフェイスに>
今週のドル円相場は「木曜日の未明から早朝にかけて急激に進んだ円全面高の流れの中で一時76円25銭と日本円の戦後最高値を更新した後、金曜日に実施されたG7協調円売り介入を受けて一時82円台目前まで急騰、その後は戻り売り圧力にに押されつつも80円台半ばで引ける」という大波乱の展開になりました。この結果、ドル円相場のチャートを週足でみると、昨秋から形成してきた三角持ち合いを明確に下抜けした一方、週足のローソク足は「下影陰線たぐり足」となりました。テクニカルの教科書では「三角持ち合いの下抜けは下落トレンド発生の予兆」だとされる一方、「下ヒゲが長く伸びた下影たぐり足は安値圏で表われた場合は上昇転換を暗示する」ことが多いと言われています。三角持ち合いを下抜けした直後に実施されたG7協調円売り介入の影響で、ドル円のチャートフェイスは再び解釈が分かれそうな外見となって今週の取引を終えました。今後のドル円相場が一段の下値追求に向かうのか、或いは底値を固めて反発するのか、引き続き議論が分かれそうです。相場の深奥に潜む真のトレンドを発掘するのは容易ではありませんが、その手掛かりとなる来週の注目材料を挙げておきましょう。

<来週の注目点その1:当局の為替介入姿勢及びその効力の見極め>
来週の注目点としてまず挙げられるのは、当局の為替介入姿勢とその効力です。今回の介入に対するドル円相場の初期反応を見ると、午前9時すぎに介入実施の一報が伝わる前の79円20銭前後の水準から午後5時過ぎに欧州当局の介入に反応して一時81円98銭前後に持ち上げられるまで、最大2円80銭程度の円安・ドル高方向への水準シフトが観察されました。今回の為替介入は、(1)G7声明文や要人発言による口先だけの牽制ではなく実弾の円売り介入が伴っている、(2)日本政府の単独行動ではなく米英独仏伊欧加による協調行動を伴っている、(3)日銀による量的緩和の拡充など国内金融政策の方向性とも合致している、という点において、私が為替介入の効力を推し量る際の基準と定義している3つの尺度に基づく8通りの組み合わせの中では最強のメッセージ性を持つ政策(この点についての詳細は割愛しますが、ご興味のある方は、2009年10月5日付けの外為の杜(もり)第10号、「日本の為替介入を巡る議論について」をご高覧ください)に仕上げられています。今回の円高局面では木曜早朝の約20分間という非常に短い時間帯に一気に3円超もの円高が進んだのが特徴で、その約20分間に日米経済・金融の基礎的条件の劇的な変化を想起させる材料提示があった訳でもありません。「ファンダメンタルズから乖離した過度の変動を抑えたいという意思を市場に示す」ことが為替介入政策本来の目的であることを踏まえると、未曾有の自然災害による国難への迅速な対応が求められている現下の局面において、ごく短期間に国際協調型の為替実弾介入に向けた意見集約にまで漕ぎつけた本邦当局の努力と諸外国の協力には敬意と謝意を表するべきであり、その意味において今回の為替協調介入劇は良い意味でのサプライズを市場に与えました。ただし、為替相場の動向及び水準に深い利害関係を有する市場参加者の間では、「昨年9月15日の為替円売り介入が短期的には劇的な効果があったものの、1日だけの単発に終わったことも一因となってその後は介入の神通力が徐々に薄れて米国の金融緩和に起因するドル安円高圧力に押し切られた」という記憶の残像がまだ鮮明に残っています。当時の為替介入は日本政府単独であったのに対して今回は国際協調介入であることを考慮すると、投機色の強い円高圧力を抑制する力はそれなりに期待できそうな気もしますが、竜頭蛇尾に終わった印象もある昨年9月の介入劇の経験も踏まえた上で、来週週明け以降、当面は必要に応じて断続的な為替介入政策が発動されるのかどうかが注目されることになりそうです。

<来週の注目点その2:本邦の震災被害及び原発事故に関する続報>
来週の注目点として、日本側の要因では、震災被害の影響や原発事故処理の行方に関する続報が挙げられます。東日本大震災による甚大な被害及びそれに誘発された福島原発事故が為替相場に与える影響としては、「日本の景況感下振れでリスク許容度が圧迫されて国境を跨る積極的な国際資本移動が手控えられると経常収支黒字に由来する円高圧力の存在感が増すのではないか」との観測や、「震災復興に必要な資金を確保するために日本の企業や金融機関が外貨資産売却に動くのではないか」との思惑、などを背景にした円高論が根強い一方で、「今後の財政出動と税収の落ち込みで日本の財政赤字が一段と膨張すれば通貨価値に対する脅威になりうる」、「震災リスクや放射能リスクへの懸念を背景に外国企業のアジア拠点の日本離れや日本企業の生産・活動拠点の海外シフトが一段と進む可能性がある」、などの議論を背景にした円安論も取り沙汰されているのが実情です。実際には、非常に複雑な為替相場の値動きの中から「震災・原発の影響」だけを純粋に抽出して検証するのは技術的にみて不可能なため、現在は円高論者と円安論者の我田引水的な解釈がぶつかり合って千載不決の神学論争がそのままの形で市場に流布しています。想定外の相場環境に巻き込まれた時の人間心理はどうしても「過去の似た局面を探して参考にしたい」となりますが、残念ながら現在と類似した局面はあっても完璧に同一の局面はありません。例えば1995年1月17日の阪神淡路大震災の時は、確かにその後数ヶ月間で急激な円高が進んで79円75銭と円の戦後最高値が更新されましたが、4月下旬のG7声明で有名な「秩序ある反転合意」が打ち出されてその前後に協調為替介入が実施されるとその後は大幅な円安に転じました。当時のドル円相場は、対日通商交渉と絡めて強力な円高ドル安政策を前面に押し出していたベンツェン米財務長官の後を引き継いだルービン財務長官が阪神淡路大震災発生の約6日前に就任して「強いドルは国益」政策を唱え始めた米為替政策の端境期にあり、ドル円相場の変動の主役は第1期クリントン政権下での財務長官人事だったとの印象が強烈でした。その他の事例に目を転じると、今回の日本同様に巨大地震による津波によって甚大な被害が引き起こされた1994年12月26日のスマトラ島沖大地震のときは、主な被災国通貨であるインドネシアルピアとスリランカルピーの対ドル相場はともに越年後数週間にかけて自国通貨高圧力に見舞われましたが、その後インドネシアルピアは大幅な自国通貨安になったのに対して、スリランカルピーはやや売り戻されたものの被災前よりも自国通貨高の水準にとどまるなど、マチマチの動きをしています。米国の歴史に残る災害勃発時のドル円相場の動きをみても、1994年1月のノースリッジ大地震や2010年4月のメキシコ湾原油流出事故の後は大幅なドル安が進行した一方で、2001年9月の米同時多発テロや2005年8月のハリケーン・カトリーナ襲来の時は一時的なドル安の後、大幅なドル高が進んでおり、こちらもマチマチの展開になっています。想定外の甚大な災害が発生すると、世上の耳目がそれに集中するため、どうしても「震災の影響で為替相場は上か下か?」といった二者択一型の議論が喚起されますが、現実の為替相場はそれほど単純ではないため、過去の被災通貨の「その後」は必ずしも一様ではありません。来週も震災・原発事故関連の続報が注目されるとみられますが、個人的にはそれらと為替相場の反応を直接結びつけて議論するのは難しいと考えており、国内外の株価や景況感への影響も踏まえて判断したいと思っています。

<来週の注目点その3:地道な米国経済・金融政策ウォッチング>
近年のドル円相場の動きを冷静に振り返ってみると、趨勢的なベクトルは概ね米国の景気・金融政策運営への期待の変化を反映してほぼ決まっていた印象が強く、日本側の景況感や経済政策あるいは政局などがドル円相場の地合いを支配していたような痕跡は殆ど認めることができません。当面のドル円相場は為替介入の効力を巡る議論や震災・原発関連の続報にアンテナを張った神経質な展開が予想されますが、相場の底流を支配する本筋の要因はやはり今後の米国経済動向だと思われます。すなわち、今後米国景気の回復力が低迷して年後半に量的緩和第3弾が必要になる場合は、どんなに為替介入をして投機的な円高圧力の封印を試みてもファンダメンタルズに由来するドル安圧力に押されて円高が進むと考えられる一方、今後米国景気の回復力が向上して量的金融緩和は現在実施中の第2弾で打ち切りという状況になれば、為替介入で頑張る必要もなくファンダメンタルズに根差したドル円相場の安定化圧力が増してくるとみられます。東日本大震災の発生後、米国経済指標の存在感はやや希薄になっている印象もありますが、大局的な相場判断の軸足は地道な米国経済の観察活動に据えて動かさないことが大切だと思います。最後に来週の米国経済・金融関連のイベントとその注目点を挙げておきます。

【月曜日】3/21
23:00 米2月中古住宅販売件数

【火曜日】3/22
20:30 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演
21:00 ピアナルト・クリーブランド連銀総裁講演
23:00 米1月FHFA住宅価格指数
23:00 米3月リッチモンド連銀製造業指数

【水曜日】3/23
23:00 米2月新築住宅販売件数
25:00 バーナンキFRB議長講演

【木曜日】3/24
21:30 米2月米耐久財受注
21:30 米3/19までの週の失業保険新規申請件数

【金曜日】3/25
08:30 デュークFRB理事講演
18:00 コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁講演
20:30 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演
21:30 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
21:30 米10-12月期GDP(確報値)
22:15 ロックハート・アトランタ連銀総裁講演
22:55 米3月ミシガン大消費者信頼感指数(確報値)
25:15 プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁講演
26:00 米財務省10年インフレ連動債入札

<米国経済指標とFOMC明けのFRB要人発言に注目>
経済指標関連の指標については、材料としてやや迫力不足の感があります。月曜日から木曜日にかけて発表される予定の米住宅関連指標や製造業関連指標はそれなりに注目ですが、単独の結果でFRBの金融政策運営に対する期待を大きく変えるような顔ぶれではありません。金曜日に発表されるGDPやミシガン大指数も速報ではなく確報値なので事前の注目度はかなり低めです。毎週申し上げていることですが、個人的には米金融政策運営の先行きを読む上で最も大切な雇用情勢のモニタリングという観点から、毎週木曜日に発表される失業保険新規請求件数に注目しています。毎週の結果にはブレがあるものの、最近は基調を示す4週移動平均値が40万件を割り込んで改善の兆候を示し始めているため、その傾向が継続するのか否かが重要なチェックポイントになりそうです。このほか、来週はFOMC前の沈黙期間が明けて、何人かの地区連銀総裁やバーナンキFRB議長の講演などが予定されています。今週のFOMC声明文では長期間に及ぶ超低金利政策の正当性を述べた「時間軸文言」は維持されたものの、FRBの景気判断が上方修正されていたことが話題になりました。当面の米金融政策運営については、現在実施中の量的緩和第2弾(QE2)による国債買い取り計画が満了する6月末以降の追加緩和の有無が注目されていますが、バーナンキFRB議長のこれまでの市場との対話の履歴をみる限り、事前にある程度の予告をして市場の期待の地均しを行ってから実際の政策変更に踏み切るスタイルを採用しています。量的緩和を打ち切るか追加するかの2択問題に関する回答期限までにはまだ数カ月程度の時間がありますが、来週以降は米FRB要人の景気判断や金融政策に関する発言録がこれまで以上に注目されることになりそうです。

<追記>東日本巨大地震の発生から1週間以上が経過した現在もなお、被災の全貌が分かっていない状態が続いており、震災による死亡が確認された方の数は今もなお日を追うごとに増えています。福島原発の事故処理もまだまだ予断を許さない状況が続いており、東日本地区の電力供給の不安定感も解消される兆しがまだ見えていません。私の住んでいる地域も計画停電の対象になっていますが、駅前の商店街や飲食店の様子などをみるにつけ、電力の安定供給が如何に経済活動にとって大切なものなのかを実感させられる日々が続いています。地震、津波、原発事故によって直接被災した地域の方々に比べれば、こうして普通の生活や仕事を続けさせて頂いているだけで有難いと思いますが、直接被災していない地域の経済活動まで広く停滞した状態が長く続くと、被災地の復興に必要な国全体の活力まで蝕まれてしまうことが懸念されます。原子力発電所の事故対応に直接取り組んでいらっしゃる現場の方は本当に大変だと思いますが、その努力が実を結んで国難克服の曙光が一刻も早く見えてくることを祈念しています。

震災後の円高の背景について



震災直後から円は急騰し、本日は76円台をつけ、戦後最高を記録した。 これだけの急激な変動は投機筋の思惑によるところが強いと考えられる。 そしてこの事態に為替介入の準備は既に万全との見方もあり、既にそれを警戒した動きもあるようである。



非情な投機筋、非常事態の日本に追い打ち 介入・G20協調急務
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110317/fnc11031721140027-n1.htm
Japanese Ministry of Finance: ‘Ready for Battle’
http://blogs.wsj.com/marketbeat/2011/03/17/japanese-ministry-of-finance-ready-for-battle/



このようなときに足元を見てくるようなファンドは長期的に見ても市場の混乱要因となるだけなので是非日銀砲で吹き飛ばして欲しいところであるが、それはそれとして、こういう事態で円高になるのはやはり基本的には日本の経済、特に輸出企業の競争力が強いという理解が背景にあると筆者は理解している。(それが俗説だという経済学者の方もいるようだが、)






まず短期的には海外からの資金引き上げ(リパトリシエーション)が起こるのではないかという期待(見込み)が引き金になっているという見方はその通りだと思うが、一方で円資産を処分して日本から出て行く資金も存在するはずである。 アジア通貨危機の引き金となったのは海外資金の逃避であったと言われているが、日本の場合は危機においてむしろ通貨が上がっている訳である。 これは日本が世界一の債権国であるからであり、円が危機につよいということを示していることになる。



では今後の見込みについてはどうだろう?



日本はプラザ合意後ほぼ一貫して円高トレンドを維持しながら、一時的な不況期を除いて輸出入額を伸ばし続けてきており、経常収支も大幅な黒字を維持している。 今回の震災でこの基調に大きな変化があるだろうか?



短期的には輸出入共に減少するだろうが、長期的には輸出入に大きな変化はないだろう。 震災によって日本の国際競争力が大きく毀損したわけではないからである。



では資本収支はどうだろう? 今後日本は国内で大規模な再建を行っていかなければいけない。 被災地だけでなくその他の津波が予測される地域でも大規模な投資が必要となる可能性がある。 そうなれば海外への直接投資は減る可能性があるのではないか。



しかし経常収支がそのままで海外投資が減少すれば、計算があわなくなる。 よって日本が輸出競争力を維持したまま海外への投資を減少させることは普通はできないことになる。



つまりますます円高になる可能性があるわけである。 (その背景については以下の過去記事内の「趨勢的経常黒字論」参照)



(参照)経常収支のインバランスは持続不可能なのか  - 円高への潜在的圧力は何か?
http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20101102/1288751397



実はこれには抜け道がないわけではない。 中国のように中央銀行が為替市場にどんどん通貨を供給すればよい。 つまり海外直接投資が減った分を外貨準備米国債等)の増加で補えばよいわけである。



国債をがんがん発行して日銀に引き受けさせてもある程度似たような効果が得られる可能性がある。但し、この場合は外貨準備米国債)の裏づけのない円が大量に市場に出回ることになり、どこかで為替の下落とインフレが同時に起こる可能性も考えなければならない。 外貨準備があればそれを使って円を買い支えればいいわけであるが、単に国債を発行して通貨を増発した場合、短期的にはコントロールが難しくなる。 もちろん以前書いたとおり日本の経済構造を考えれば、そのまま国家破綻したりすることは無いとは考えているが、短期的にでもインフレがコントロールできなくなる事態は望ましいものではないだろう。



(参照)リフレ政策で日本は破綻するのか?
http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20110113/1294942665



何れにしろとりあえずはG7会議で為替介入への理解を得るのが重要だろう。 協調介入なら尚よいが、理解さえ得られれば日銀だけでも十分に対応可能なはずである。 さすがに現状で為替介入に表立って反対する国は無いと思うが、どうだろうか?






(追記)
記事を投稿した時点で既にG7急電話会議で協調介入が合意されており、そして日銀は朝9時から早速介入を実施し、一気に81円台まで下げたようである。



協調介入まで踏み込むとはやや意外であったが、声明文でも市場の不安定要因となっている投機筋の動きへ懸念を示しており、今回の日銀砲で痛手を負ったであろう投機筋も当面はおとなしくしているのではないだろうか。



18日電話会議後のG7財務相・中銀総裁声明文
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Foreign-Currency-Markets/node_202679



我々、G7財務大臣中央銀行総裁は、日本における最近の劇的な出来事を議論し、我々の日本の同僚から、現在の状況、当局がとった経済・金融面での対応についての説明を受けた。



我々は、こうした困難な時における日本の人々との連帯意識、必要とされる如何なる協力も提供する用意があること、日本の経済と金融セクターの強靭さへの信認を表明する。



日本における悲劇的な出来事に関連した円相場の最近の動きへの対応として、日本当局からの要請に基づき、米国、英国カナダ当局及び欧州中央銀行は、2011年3月18日に、日本とともに為替市場における協調介入に参加する。我々が長らく述べてきたとおり、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与える。我々は、為替市場をよく注視し、適切に協力する。

2011年3月19日土曜日

円高阻止へ、震災復興資金計画示せ 加藤隆俊・元大蔵財務官インタビュー


―― 3月16日のニューヨーク市場で、円相場が1ドル=76円25銭まで急騰し、16年ぶりに最高値を更新した。急激な円高の原因をどう見るか。
 加藤 日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した動きではない。東日本巨大地震の影響で、今年前半の経済成長率はマイナスの影響を相当受けるだろう。(物流が滞ることなどで)部品が揃わないことから、輸出にもマイナスの影響が見込まれる。相場の方向としては円安になるのが常識的だ。
 だが、日本企業が決算期末にあたって円資金を用意することもあり、海外からの利益送金が通常よりも大幅になるだろうと思われることを見越して、海外の市場関係者が円を買う動きが加速した、ということだろう。

もはや世界経済全体の問題だ

加藤隆俊氏
国際金融情報センター理事長
1941年生まれ。64年大蔵省入省、93~95年国際金融局長、95~97年財務官。2004~2010年国際通貨基金(IMF)副専務理事、2010年から現職。著書は「円・ドル・元 為替を動かすのは誰か」
 もはや今回の巨大地震、東京電力の福島第一原子力発電所の事故、そして急激な円高は、日本だけの問題ではない。世界の外国為替市場、株式市場も影響を受けており、日本の貿易活動に大きく影響すると予想される。世界経済全体の問題だ。
 フランスのクリスティーヌ・ラガルド経済・産業・雇用相が7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の議長として、3月17日にも電話で緊急会合を開き、対応を協議すると報じられている。各国通貨当局が協調し、何らかの対応を打ち出すことが想定される。
―― 具体的にはどのような対応が必要なのか。
 これだけ大規模な問題が起きたのだから、巨大地震の被災地を復旧、復興するには相当なコストがかかる。日本政府はいかにその資金を調達するのか、まずその考え方を示すべきだ。
 世界的な規模の問題に対し、具体策をどう講じていくかを、主要国と協議することも重要だ。少なくとも、日本と主要国の通貨当局がともに困難な局面で連帯感を示すことが市場に大きな影響を与えることになる。
―― これまでの最高値であった1ドル=79円75銭に至る円高局面でも、約3カ月前の1995年1月に阪神大震災があった。当時、為替介入を担当する大蔵財務官として対応した経験から、今回の巨大地震後の急激な円高と比較すると、どう違うのか。
 明確に違うのは、当時は日米貿易摩擦を巡って、市場関係者は米国が意図的に円高に誘導しているという疑念を払拭できず、市場には先行き円高が進むという観測が強かったことだ。阪神大震災の前も、円の先高観は強かったが、今回は地震の前には先高感はあまりなく、むしろ国内ではなだらかな円安になるとの予想が多かった。
 阪神大震災の時は、地震が為替相場に影響を与えるという意識はなく、日本国内の問題という認識だった。今回の方が震災のスケールが大きく、原発の問題も絡んでおり、問題はより深刻かもしれない。

日米欧 円高協調介入


2011年3月18日 夕刊
先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は十八日朝、東日本大震災や原発事故を受けて緊急の電話会議を開き、海外市場で一ドル=七六円台の戦後最高値を付けた急激な円高を阻止するために、日本、米国、英国、カナダの通貨当局と欧州中央銀行(ECB)が協調して円売り・ドル買いの為替介入を行うことで合意した。
合意を受けて、政府・日銀は十八日午前九時から東京外国為替市場で為替介入を開始。
朝方、一ドル=七九円台で推移していた東京外国為替市場の円相場は九時すぎに円安に大きく動き、八一円台半ばまで急落した。
協調介入は、日本政府からの要請に、日本への支援を打ち出している欧米当局が応じた。
急激な円高は、輸出産業が主力の日本経済に悪影響になる恐れがあった。
日米欧の協調介入は二〇〇〇年九月の円売り・ユーロ買い以来、十年半ぶりとなる。
会議後、野田佳彦財務相は記者団に「わが国が困難な状況にある今、G7当局が連帯して市場の安定に向けて協調することの意義は極めて大きい」と語った。
介入の規模は明かさなかったが、大規模なものになりそうだ。
G7は共同声明で「必要とされるいかなる協力も提供する用意がある」と明記。
「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に対して悪影響を与える」と投機的な動きをけん制し、日本を全面的に支援する姿勢を打ち出した。
急激な円高は、輸出企業の採算悪化を通じ東日本大震災でダメージを受けた日本経済に追い打ちをかける懸念がある。
震災後、急激に円高が進む状況に、政府は「極めて投機的な動き」(与謝野馨経済財政担当相)と危機感を強め、為替介入を求める声も企業から出ていた。

投機的思惑 見当違い


2011年3月18日 朝刊
十七日の外国為替市場で一時、一ドル=七六円台に急騰し、最高値を更新した。
東日本大震災や福島第一原発事故が深刻化しているのに、日本円が買われる矛盾。
その引き金を引いた投資家の思惑や、「安全資産」とされる日本の円の現状を検証すると、今回の円高がさまざまな“見当違い”から引き起こされた実情が見えてくる。 (円高問題取材班)

■連想

今回の急速な円高は、投資家たちの投機的な思惑から始まった。
大規模な震災が発生すれば、保険会社は地震保険金の支払いで外貨を円に替え、輸出企業も手元資金を集めようと円を買うはず-。
一九九五年の阪神大震災後も、一ドル=七九円台の最高値を更新したことが、海外のヘッジファンドなどの円高連想を膨らませた。
さらに、ファンド勢は「震災で日本経済が打撃を受ければ、国内投資家がリスクの高い海外投資に慎重になる」と読み、ドルから円に替える取引が増えるとの連想もあったとみられる。
こうした思惑を効果的に利ざやにつなげようと、海外のファンド勢は「日本の早朝にあたり参加者が少ない薄商いの時間帯(海外市場の終了近く)を狙った」(大和総研の亀岡裕次氏)。
これも、海外の為替市場で急激に円高が加速する一因となった。

■否定

しかし、国内企業が実際に円の買い戻しに動いた形跡はない。

日本損害保険協会の鈴木久仁会長は十七日、「ありえない。保険金支払いに向け、各社は手元に準備金を積んでいる」と否定する。
日本自動車工業会の志賀俊之会長も「復興資金が必要だからとドルを円に替えるなんて計画はない」と憤る。
自動車や電機などの輸出企業は、三月の決算期末が近づくと、海外の利益を日本に戻すため、外貨を売り円を買うと言われるが、電機業界関係者は「個別会社の円買いは、為替相場全体に影響を与えるレベルではない」と指摘する。
「思惑先行型の極めて投機的な動きだ」。与謝野馨経財相は、海外勢の円買いを、こう切り捨てた。

■安全

もう一つ、円買いが進む主因となったのが日本円の安全性だ。
日銀が事実上のゼロ金利政策を続け、低成長から長期金利も低い日本は、世界の中では低金利・低リスク通貨という位置付けとなる。
また、日本はドルをはじめ海外資産を大量に持つ世界最大の対外債権国であることも、円の安心感を高めている。
今回の震災後、日本人の規律ある行動を称賛する海外メディアも多い。
日本企業の技術力の高さなども、潜在的な円の価値を底上げしている面がありそうだ。
投資家は通常、高い利回りを求めて資源国など高金利・高リスクの資産に投資する。
しかし、三月中旬になり、中東バーレーンの政情不安や、アジア株の下落が進んでおり、世界的にリスクを回避したい欲求が強まっている。
その損失回避先として、安全資産の円が買われている構図だ。
同様に安全資産とされるスイスフランも、高値傾向が続いている。
ただ、震災や原発事故に揺れる日本がなぜ安全なのか-。
それでも円を買う投資家の行動は、矛盾しているように見える。
第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「長期的には、原発の不安から円が売られることが、たしかに予想される」とする。
一方で、「市場は短期的に動く。今回の動きは、高リスク通貨から、とりあえず安全な資金を円に移したまで。今後、原発の不安が高まれば、円安方向に振れるだろう」と分析する。

震災後 なぜ円高進む?


2011年3月16日 朝刊
東日本大震災以降、外国為替市場で円高ドル安の流れが続いている。
震災や福島第一原発事故への懸念から、日本から資金が逃げて円が売られ、円安が進むのが自然なはず。
なぜ円が買われるのか。
背景には、過去の震災でもみられた投資家の思惑と、世界の中では安全資産とみられる円への資金の流入がある。
年明けの円相場は八二~八三円台で推移していた。
だが震災後の週明け十四日は、約四カ月ぶりに一時一ドル=八〇円台をつけ、十五日も八一円台で推移している。
震災後に円高が進んだのは、一九九五年一月の阪神・淡路大震災でも同じ。
同年四月、円は一ドル=七九円台の過去最高値を記録した。
当時の投資家は、保険会社が多額の保険金支払いに備え、海外に投資した外貨資産を円に買い戻す「レパトリ」(自国への資金回帰)を進めると連想。
為替市場で、円買いが加速した。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「今回も保険会社や事業会社のレパトリの動きがみられるほか、非常時には安全資産の円を買う動きがあった」と分析する。
二〇〇八年のリーマン・ショック以降、安全資産はドルから円に移った。
今回の震災で日本株が大幅に下落し、アジア株からも資金が逃げる中で、円に向かう世界のマネーの流れが加速しているようだ。
ただ、震災による日本経済への打撃は計り知れず、原発事故に対する不安は、海外でも急速に高まる。
上野氏は「『安全資産』という日本の地位は今回、崩れつつある。
日本の信用低下が進めば、長期的には円安方向に戻る」と予測している。