2011年3月20日日曜日

ドル円1週間の歩みと来週相場の注目点(H23.3.19)






こんばんは。

今週のドル円相場は木曜日に戦後最安値(=円の最高値)となる76円25銭まで下ヒゲを伸ばして差し込んだ後、金曜日に実施されたG7協調円売り介入を受けて一時82円台目前まで急騰、その後は戻り売りに押されつつも80円台半ばで引ける、という大荒れの展開になりました。

1週間の動きを振り返ってみると・・・

【月曜日】
東京早朝は81円70銭台。震災復興に必要な円資金確保の目的で日本企業や金融機関が外貨資産等を売却するのではないかとの思惑などから一時80円60銭付近まで円高ドル安が進んだが、日本政府要人等の発言によって喚起された為替介入への警戒感が強まるとすぐに81円台に押し戻される。その後、日銀の即日オペによる大量の資金供給策が相次いで発表されると、一時82円40銭台まで上ヒゲを伸ばす。ただし、この水準では上値も重く、その後はジリ安推移となって東京午後の時間帯は82円10銭台を中心とするレンジで小康状態。欧州勢力参入後、序盤は日本株大幅安の余波で欧州株が弱含んで対欧州通貨を中心にクロス円が水準を切り下げると、ドル円も連れ安して81円70銭台に下落。その後も欧州株睨みの展開となり、主要欧州株が切り返すと82円台前後に持ち直し、欧州株が反落すると再び81円70銭台に押し戻される。NY勢力参入後、米国債利回りの低下などを手掛かりにした円高ドル安が進み、81円50銭台までジリジリと値を下げる。その後、米国債利回りが下げ幅圧縮に転じ、米国株も切り返してくると81円60-70銭台まで買い戻され、東京勢の参入待ち。

【火曜日】
東京早朝は81円60銭台。序盤はドル買いやや優勢で81円90銭台に乗せる場面があったが、原発事故の深刻化を受けて日本株が大幅に下落するとクロス円も巻き込んだリスク回避の円買いが進み81円20銭台に下落。その後、日本政府による為替介入の噂などから82円00銭台まで急騰する場面もあったが、憶測の域を出ないとの見方が広がるとすぐに押し戻されて81円30-60銭台で不安定な上下動。午後に入り、日本株が買い戻されて下げ幅圧縮に転じるとドル円も81円80銭台まで買い戻されたが、この水準での上値は重たい。欧州勢力参入後、主要欧州株が軒並み軟調に推移すると、リスク許容度圧迫型の円高観測が再び蒸し返されて円全面高の動きが強まり、ドル円は81円台を割り込んで80円80銭前後まで下落。NY時間帯に入り、FOMCを控えた様々な思惑が交錯する中、序盤は80円70銭台から81円00銭台で神経質な動きが続く。その後、円買いが優勢になる局面では80円60銭まで下落する場面もあったが、年初来安値にほぼ面合わせした水準では底堅く、ショートカバーで81円20銭付近まで反発した後、80円90銭台でFOMCの結果待ち。注目のFOMC声明文では景気判断が上方修正されたものの、米国債購入計画と長期間にわたる超低金利政策の継続判断は据え置かれたことからドル円相場は複雑な反応。いったん81円08銭前後まで上ヒゲを伸ばした後、80円85銭前後まで値を下げる。NY引けにかけては再びドル売り優勢となり、80円70銭前後まで続落して東京勢の参入待ち。

【水曜日】
東京早朝は80円70銭前後。日本政府の円売り介入への警戒感や寄り付き後の日本株の大幅高を好感したクロス円の上昇などを背景に午前中に一時81円17銭界隈まで上昇するが、この水準では上値が重く福島原発続報を嫌気して日本株が上げ幅圧縮に転じると正午過ぎには80円70銭台に押し戻される。午後に入り、日本株が引け前に再び上昇すると一時80円98銭前後まで買い進まれるが81円手前で息切れすると80円80銭前後に反落。欧州時間帯に入り、欧州株の上値の重さを背景にクロス円が下落するとドル円も連れ安して80円60銭台に下落。NY時間帯に入り、序盤に発表された米2月住宅着工の弱い結果を嫌気して80円40銭台に続落。その後いったん80円80銭台まで値を戻す場面もあったが、福島原発への悲観論を背景に米国株が大幅に下落するとリスク回避の円買いの思惑が強まり日本時間未明には1995年4月に記録した円の戦後最高値79円75銭を断続的に割り込む。

【木曜日】東京朝6時過ぎの段階で79円50-60銭台。前夜のNY市場の流れを引き継いで円高圧力の強い展開が続く。早朝薄商いの時間帯を狙った円買い仕掛けの噂などから一段の円高が進むとクロス円も巻き込んだ損失覚悟の外貨売りが連鎖して6時20分過ぎには一時76円25銭と円の戦後最高値を大幅に更新。急激なドル売り・円買い一巡後は、本邦通貨当局の介入警戒感やG7電話会議での市場安定化策への期待などから79円70銭台に反発したが、この水準での上値の重さを確認すると79円00銭前後まで押し戻される。その後はしばらく78円90銭台から79円10銭台で様子見となり、日本株の下げ幅圧縮を好感したクロス円の上昇に連れて79円40銭台に上伸する場面もあったが、引けにかけて日本株が再びダレると79円00銭付近に押し戻される。欧州勢力参入後、上海株の下落を嫌気したクロス円の下落が目立つ場面で78円60銭付近まで値を落とすが、引けにかけて上海株が持ち直すと79円20銭台に買い戻されるなど不安定な展開が続く。その後は他通貨市場睨みの展開となり、対欧州通貨を中心にドル売りの動きが強まるとドル円でもドル売り優勢となって78円20銭台まで値を落とす。ストレートドル市場でのドル売りが一巡するとドル円も買い戻されて78円60銭台へ。NY時間帯に入り、序盤に発表された米失業保険新規請求件数の良好な結果を手掛かりに78円90銭前後まで上昇。その後はしばらく78円50-80銭台で小康状態にあったが、78円台半ばでの底堅さを確認すると徐々にショートカバーが優勢になり、日経新聞社による「G7電話会議の共同声明で日本の為替介入容認姿勢が示される」との報道が伝わると79円30銭台まで買い戻される。その後は売買交錯し、78円80銭台から79円10銭台のレンジで一進一退。

【金曜日】東京早朝は78円80-90銭台。日本時間7時に始まったG7電話会議への期待感から79円台半ばまで上伸した後、G7協調為替介入合意に基づき日本政府が円売りドル買い介入を実施すると約30分間で81円48銭前後まで急騰。本邦実需のドル売りなどからいったん81円06銭付近まで小緩んだが、その後もジリジリとしたドル高・円安の流れが続き、日本株引け後には一時81円90銭前後まで続伸。欧州勢力参入後、序盤はG7協調介入の本気度を試したいとのムードから81円70銭前後まで下落。ロンパチ通過後、欧州当局による協調円売り介入実施の噂が流れるとクロス円が一斉に上ヒゲを伸ばしてドル円も81円98銭付近まで急騰したが、断続的な戻り売り圧力の強さを確認すると81円20銭台まで反落。その後、独仏英伊の各国中銀及びECBのG7声明に基づく協調介入への参加が確認されると徐々に盛り返し、81円50銭前後に上昇。NY時間帯に入り、カナダ中銀、米FRBによる円売り介入への参加が相次いで確認されると一時81円74銭付近まで続伸したが、海外中銀による介入規模はそれほど大きくないのではないかとの見方が強まると戻り売り圧力が優勢になり、ストップロスを巻き込んで80円80銭付近まで大きく値を下げる。その後はいったん81円20銭台まで買い戻される場面もあったが、米国株、米国債利回りが上昇幅を圧縮したことがドル売り・円買い材料視されたほか、トリシェECB総裁によるインフレタカ派的発言を受けてユーロドル市場でドル売りの動きが強まった影響などからストレートドル市場全般にドル売りの流れが強まると、ドル円も再び81円台を割り込んで80円70銭台へ反落。本邦通貨当局の介入が背景と噂される国内大手銀行からのドル買い注文への警戒感から一旦下げ渋って80円90銭台に持ち直したが、81円台目前で伸び悩むと最終盤にかけては再びドル売り優勢になり、80円60銭前後まで下落して週末の取引を終了。

・・・という流れでした。

<三角持ち合い下抜け後の協調介入でドル円は微妙なチャートフェイスに>
今週のドル円相場は「木曜日の未明から早朝にかけて急激に進んだ円全面高の流れの中で一時76円25銭と日本円の戦後最高値を更新した後、金曜日に実施されたG7協調円売り介入を受けて一時82円台目前まで急騰、その後は戻り売り圧力にに押されつつも80円台半ばで引ける」という大波乱の展開になりました。この結果、ドル円相場のチャートを週足でみると、昨秋から形成してきた三角持ち合いを明確に下抜けした一方、週足のローソク足は「下影陰線たぐり足」となりました。テクニカルの教科書では「三角持ち合いの下抜けは下落トレンド発生の予兆」だとされる一方、「下ヒゲが長く伸びた下影たぐり足は安値圏で表われた場合は上昇転換を暗示する」ことが多いと言われています。三角持ち合いを下抜けした直後に実施されたG7協調円売り介入の影響で、ドル円のチャートフェイスは再び解釈が分かれそうな外見となって今週の取引を終えました。今後のドル円相場が一段の下値追求に向かうのか、或いは底値を固めて反発するのか、引き続き議論が分かれそうです。相場の深奥に潜む真のトレンドを発掘するのは容易ではありませんが、その手掛かりとなる来週の注目材料を挙げておきましょう。

<来週の注目点その1:当局の為替介入姿勢及びその効力の見極め>
来週の注目点としてまず挙げられるのは、当局の為替介入姿勢とその効力です。今回の介入に対するドル円相場の初期反応を見ると、午前9時すぎに介入実施の一報が伝わる前の79円20銭前後の水準から午後5時過ぎに欧州当局の介入に反応して一時81円98銭前後に持ち上げられるまで、最大2円80銭程度の円安・ドル高方向への水準シフトが観察されました。今回の為替介入は、(1)G7声明文や要人発言による口先だけの牽制ではなく実弾の円売り介入が伴っている、(2)日本政府の単独行動ではなく米英独仏伊欧加による協調行動を伴っている、(3)日銀による量的緩和の拡充など国内金融政策の方向性とも合致している、という点において、私が為替介入の効力を推し量る際の基準と定義している3つの尺度に基づく8通りの組み合わせの中では最強のメッセージ性を持つ政策(この点についての詳細は割愛しますが、ご興味のある方は、2009年10月5日付けの外為の杜(もり)第10号、「日本の為替介入を巡る議論について」をご高覧ください)に仕上げられています。今回の円高局面では木曜早朝の約20分間という非常に短い時間帯に一気に3円超もの円高が進んだのが特徴で、その約20分間に日米経済・金融の基礎的条件の劇的な変化を想起させる材料提示があった訳でもありません。「ファンダメンタルズから乖離した過度の変動を抑えたいという意思を市場に示す」ことが為替介入政策本来の目的であることを踏まえると、未曾有の自然災害による国難への迅速な対応が求められている現下の局面において、ごく短期間に国際協調型の為替実弾介入に向けた意見集約にまで漕ぎつけた本邦当局の努力と諸外国の協力には敬意と謝意を表するべきであり、その意味において今回の為替協調介入劇は良い意味でのサプライズを市場に与えました。ただし、為替相場の動向及び水準に深い利害関係を有する市場参加者の間では、「昨年9月15日の為替円売り介入が短期的には劇的な効果があったものの、1日だけの単発に終わったことも一因となってその後は介入の神通力が徐々に薄れて米国の金融緩和に起因するドル安円高圧力に押し切られた」という記憶の残像がまだ鮮明に残っています。当時の為替介入は日本政府単独であったのに対して今回は国際協調介入であることを考慮すると、投機色の強い円高圧力を抑制する力はそれなりに期待できそうな気もしますが、竜頭蛇尾に終わった印象もある昨年9月の介入劇の経験も踏まえた上で、来週週明け以降、当面は必要に応じて断続的な為替介入政策が発動されるのかどうかが注目されることになりそうです。

<来週の注目点その2:本邦の震災被害及び原発事故に関する続報>
来週の注目点として、日本側の要因では、震災被害の影響や原発事故処理の行方に関する続報が挙げられます。東日本大震災による甚大な被害及びそれに誘発された福島原発事故が為替相場に与える影響としては、「日本の景況感下振れでリスク許容度が圧迫されて国境を跨る積極的な国際資本移動が手控えられると経常収支黒字に由来する円高圧力の存在感が増すのではないか」との観測や、「震災復興に必要な資金を確保するために日本の企業や金融機関が外貨資産売却に動くのではないか」との思惑、などを背景にした円高論が根強い一方で、「今後の財政出動と税収の落ち込みで日本の財政赤字が一段と膨張すれば通貨価値に対する脅威になりうる」、「震災リスクや放射能リスクへの懸念を背景に外国企業のアジア拠点の日本離れや日本企業の生産・活動拠点の海外シフトが一段と進む可能性がある」、などの議論を背景にした円安論も取り沙汰されているのが実情です。実際には、非常に複雑な為替相場の値動きの中から「震災・原発の影響」だけを純粋に抽出して検証するのは技術的にみて不可能なため、現在は円高論者と円安論者の我田引水的な解釈がぶつかり合って千載不決の神学論争がそのままの形で市場に流布しています。想定外の相場環境に巻き込まれた時の人間心理はどうしても「過去の似た局面を探して参考にしたい」となりますが、残念ながら現在と類似した局面はあっても完璧に同一の局面はありません。例えば1995年1月17日の阪神淡路大震災の時は、確かにその後数ヶ月間で急激な円高が進んで79円75銭と円の戦後最高値が更新されましたが、4月下旬のG7声明で有名な「秩序ある反転合意」が打ち出されてその前後に協調為替介入が実施されるとその後は大幅な円安に転じました。当時のドル円相場は、対日通商交渉と絡めて強力な円高ドル安政策を前面に押し出していたベンツェン米財務長官の後を引き継いだルービン財務長官が阪神淡路大震災発生の約6日前に就任して「強いドルは国益」政策を唱え始めた米為替政策の端境期にあり、ドル円相場の変動の主役は第1期クリントン政権下での財務長官人事だったとの印象が強烈でした。その他の事例に目を転じると、今回の日本同様に巨大地震による津波によって甚大な被害が引き起こされた1994年12月26日のスマトラ島沖大地震のときは、主な被災国通貨であるインドネシアルピアとスリランカルピーの対ドル相場はともに越年後数週間にかけて自国通貨高圧力に見舞われましたが、その後インドネシアルピアは大幅な自国通貨安になったのに対して、スリランカルピーはやや売り戻されたものの被災前よりも自国通貨高の水準にとどまるなど、マチマチの動きをしています。米国の歴史に残る災害勃発時のドル円相場の動きをみても、1994年1月のノースリッジ大地震や2010年4月のメキシコ湾原油流出事故の後は大幅なドル安が進行した一方で、2001年9月の米同時多発テロや2005年8月のハリケーン・カトリーナ襲来の時は一時的なドル安の後、大幅なドル高が進んでおり、こちらもマチマチの展開になっています。想定外の甚大な災害が発生すると、世上の耳目がそれに集中するため、どうしても「震災の影響で為替相場は上か下か?」といった二者択一型の議論が喚起されますが、現実の為替相場はそれほど単純ではないため、過去の被災通貨の「その後」は必ずしも一様ではありません。来週も震災・原発事故関連の続報が注目されるとみられますが、個人的にはそれらと為替相場の反応を直接結びつけて議論するのは難しいと考えており、国内外の株価や景況感への影響も踏まえて判断したいと思っています。

<来週の注目点その3:地道な米国経済・金融政策ウォッチング>
近年のドル円相場の動きを冷静に振り返ってみると、趨勢的なベクトルは概ね米国の景気・金融政策運営への期待の変化を反映してほぼ決まっていた印象が強く、日本側の景況感や経済政策あるいは政局などがドル円相場の地合いを支配していたような痕跡は殆ど認めることができません。当面のドル円相場は為替介入の効力を巡る議論や震災・原発関連の続報にアンテナを張った神経質な展開が予想されますが、相場の底流を支配する本筋の要因はやはり今後の米国経済動向だと思われます。すなわち、今後米国景気の回復力が低迷して年後半に量的緩和第3弾が必要になる場合は、どんなに為替介入をして投機的な円高圧力の封印を試みてもファンダメンタルズに由来するドル安圧力に押されて円高が進むと考えられる一方、今後米国景気の回復力が向上して量的金融緩和は現在実施中の第2弾で打ち切りという状況になれば、為替介入で頑張る必要もなくファンダメンタルズに根差したドル円相場の安定化圧力が増してくるとみられます。東日本大震災の発生後、米国経済指標の存在感はやや希薄になっている印象もありますが、大局的な相場判断の軸足は地道な米国経済の観察活動に据えて動かさないことが大切だと思います。最後に来週の米国経済・金融関連のイベントとその注目点を挙げておきます。

【月曜日】3/21
23:00 米2月中古住宅販売件数

【火曜日】3/22
20:30 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演
21:00 ピアナルト・クリーブランド連銀総裁講演
23:00 米1月FHFA住宅価格指数
23:00 米3月リッチモンド連銀製造業指数

【水曜日】3/23
23:00 米2月新築住宅販売件数
25:00 バーナンキFRB議長講演

【木曜日】3/24
21:30 米2月米耐久財受注
21:30 米3/19までの週の失業保険新規申請件数

【金曜日】3/25
08:30 デュークFRB理事講演
18:00 コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁講演
20:30 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演
21:30 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
21:30 米10-12月期GDP(確報値)
22:15 ロックハート・アトランタ連銀総裁講演
22:55 米3月ミシガン大消費者信頼感指数(確報値)
25:15 プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁講演
26:00 米財務省10年インフレ連動債入札

<米国経済指標とFOMC明けのFRB要人発言に注目>
経済指標関連の指標については、材料としてやや迫力不足の感があります。月曜日から木曜日にかけて発表される予定の米住宅関連指標や製造業関連指標はそれなりに注目ですが、単独の結果でFRBの金融政策運営に対する期待を大きく変えるような顔ぶれではありません。金曜日に発表されるGDPやミシガン大指数も速報ではなく確報値なので事前の注目度はかなり低めです。毎週申し上げていることですが、個人的には米金融政策運営の先行きを読む上で最も大切な雇用情勢のモニタリングという観点から、毎週木曜日に発表される失業保険新規請求件数に注目しています。毎週の結果にはブレがあるものの、最近は基調を示す4週移動平均値が40万件を割り込んで改善の兆候を示し始めているため、その傾向が継続するのか否かが重要なチェックポイントになりそうです。このほか、来週はFOMC前の沈黙期間が明けて、何人かの地区連銀総裁やバーナンキFRB議長の講演などが予定されています。今週のFOMC声明文では長期間に及ぶ超低金利政策の正当性を述べた「時間軸文言」は維持されたものの、FRBの景気判断が上方修正されていたことが話題になりました。当面の米金融政策運営については、現在実施中の量的緩和第2弾(QE2)による国債買い取り計画が満了する6月末以降の追加緩和の有無が注目されていますが、バーナンキFRB議長のこれまでの市場との対話の履歴をみる限り、事前にある程度の予告をして市場の期待の地均しを行ってから実際の政策変更に踏み切るスタイルを採用しています。量的緩和を打ち切るか追加するかの2択問題に関する回答期限までにはまだ数カ月程度の時間がありますが、来週以降は米FRB要人の景気判断や金融政策に関する発言録がこれまで以上に注目されることになりそうです。

<追記>東日本巨大地震の発生から1週間以上が経過した現在もなお、被災の全貌が分かっていない状態が続いており、震災による死亡が確認された方の数は今もなお日を追うごとに増えています。福島原発の事故処理もまだまだ予断を許さない状況が続いており、東日本地区の電力供給の不安定感も解消される兆しがまだ見えていません。私の住んでいる地域も計画停電の対象になっていますが、駅前の商店街や飲食店の様子などをみるにつけ、電力の安定供給が如何に経済活動にとって大切なものなのかを実感させられる日々が続いています。地震、津波、原発事故によって直接被災した地域の方々に比べれば、こうして普通の生活や仕事を続けさせて頂いているだけで有難いと思いますが、直接被災していない地域の経済活動まで広く停滞した状態が長く続くと、被災地の復興に必要な国全体の活力まで蝕まれてしまうことが懸念されます。原子力発電所の事故対応に直接取り組んでいらっしゃる現場の方は本当に大変だと思いますが、その努力が実を結んで国難克服の曙光が一刻も早く見えてくることを祈念しています。