為替市場見通し:原発事故や協調介入の動向、米3月雇用統計に注目
3月26日(土)14時03分配信 フィスコ
■米利上げ時期が早まると見方からドル買いが優勢に
ドル・円は、G7(先進7カ国)の円売り協調介入への警戒感、福島原発事故が小康状態となったことを受けた円売り、米財務省による住宅担保証券(MBS)売却の発表を受けた米国債利回りの上昇に伴うドル買いで、80円63銭から先ず81円32銭へ上昇。その後、円売り協調介入がみられず、欧州信用不安(ポルトガル)やリビア情勢の緊迫化が嫌気されリスク回避の円買いになったことで80円70銭に反落。だが、80円50銭に日銀のドル買いオーダーが控えているとの憶測に下げ渋り、米10-12月期GDP確定値の上方修正、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁のタカ派発言を受けてドル買いが優勢となり、81円49銭まで上昇した。
■原発事故の行方、協調介入の動向、米3月雇用統計に注目
今後のドル・円は、福島第1原発事故の危機的状況の行方を見守りつつ、G7(先進7カ国)による円売り協調介入の動向、米国の金融政策の行方に大きく影響する米3月雇用統計の発表に注目しながらの取引になる。
原発事故が悪化の状況に向かえば、株安・リスク回避、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが再燃する可能性があり、その際は円売り協調介入とぶつかることになる。また、原発事故が小康状態を続ける場合は、経済指標の発表に注目が集まり、特に米3月雇用統計が予想以上の改善を示せば、18日介入時の戻り高値82円を試す可能性が高まる。そして、原発事故が鎮静化に向かう場合は、株反発・リスク回避後退、リパトリ思惑後退による自律的な円売りが優勢になり、経済指標の結果次第ではドルが一段高となる可能性がある。
3月18日に実施されたG7(先進7カ国)の日銀、英中銀、ECB(独、仏、イタリア)、カナダ中銀、米FRBによる円売り協調介入は、21日以降においてはまだみられないようである。引き続き今後の動向が注目されるが、当然のことながら野田財務相は「G7各国と適切に協力することを確認、引き続き市場を注視する」と述べている。
そして何と、シュタルクECB理事が「一段の円売り介入は日本当局次第」としながらも、「G7は必要な支援の用意がある」と発言。それに、ユンケル・ユーログル-プ議長も「行き過ぎた円高に対しストップサインを示すことは重要」「とりわけ日銀、FRB、ECBがこの動きに対し、引き続き協調行動を取っていく用意があることが理解されるべき」と述べており、元来為替介入に批判的な欧州勢の積極的な姿勢が目を引く。
EU首脳会議(24-25日)でも、日本に対して災害への協力、経済・金融での協調を表明(戦略的に関係強化することを次回首脳会議で議論)、G7の円売り協調介入を歓迎しており、欧州の今回のサポート姿勢は本物であると認識すべきと思われる。
なお、G7の介入姿勢については、今のところ連続的な動きがなく、80円50銭付近のまとまったドル買いオーダーが日銀との噂になっていることなどから、相場押し上げ型ではなく、一定水準の維持型との見方に傾いている。
日本の金融政策については、3月14日の日銀金融政策決定会合で追加緩和策(資産買入基金の拡充)を決定。潤沢な資金供給も実施されている。今週は、白川日銀総裁、宮尾日銀審議委員がともに「経済・物価の状況を点検し、必要なら適切な措置をとる」と述べており、状況によりさらなる追加緩和を検討する可能性を示唆している。
米国の金融政策については、3月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、出口戦略への動きはみられず、現行の政策が維持されている。今週は、フィッシャー米ダラス連銀総裁が「6月以降、緩和策の拡大、延長の必要はない」と述べ、量的緩和第2弾の満期終了を主張。また、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁が「FRBは、近い将来、出口戦略の開始が必要となる可能性」「政策金利の引き上げと保有資産規模の縮小を同時に」と発言しており、米国の利上げ時期が早まるとの見方が浮上している。なお、米財務省が「1420億ドルの政府保有の政府系住宅金融機関(GSE)の保証付き住宅担保証券(MBS)を、今月から売却していく(1カ月に最大で100億ドル)」と発表、財政政策における出口戦略への始動がみられた。
3月のFOMCでは米経済について、景気判断を上方修正し、「雇用市場の状況は徐々に改善」との見解が示されているが、4月1日に発表される米3月雇用統計が注目される。前回2月雇用統計は、失業率が予想外に低下し9%割れとなり、非農業部門雇用者数が19万人台の増加に改善している。3月は、失業率、非農業部門雇用者数とも2月水準並みの数値が予想されおり、雇用の改善傾向が続くとの見方になっている。
米国債の入札が、3月28日に2年債(350億ドル)、29日に5年債(350億ドル)、30日に7年債(290億ドル)の総額990億ドル予定されている。入札の結果を反映して、米長期金利が上昇すれば、ドル・円は仕組み債絡みなどのドル買いが強まり、金利が低下すればドル売りが強まることになる。
[予想レンジ]
ドル・円79円50銭-82円50銭
株式会社フィスコ
ドル・円は、G7(先進7カ国)の円売り協調介入への警戒感、福島原発事故が小康状態となったことを受けた円売り、米財務省による住宅担保証券(MBS)売却の発表を受けた米国債利回りの上昇に伴うドル買いで、80円63銭から先ず81円32銭へ上昇。その後、円売り協調介入がみられず、欧州信用不安(ポルトガル)やリビア情勢の緊迫化が嫌気されリスク回避の円買いになったことで80円70銭に反落。だが、80円50銭に日銀のドル買いオーダーが控えているとの憶測に下げ渋り、米10-12月期GDP確定値の上方修正、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁のタカ派発言を受けてドル買いが優勢となり、81円49銭まで上昇した。
■原発事故の行方、協調介入の動向、米3月雇用統計に注目
今後のドル・円は、福島第1原発事故の危機的状況の行方を見守りつつ、G7(先進7カ国)による円売り協調介入の動向、米国の金融政策の行方に大きく影響する米3月雇用統計の発表に注目しながらの取引になる。
原発事故が悪化の状況に向かえば、株安・リスク回避、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが再燃する可能性があり、その際は円売り協調介入とぶつかることになる。また、原発事故が小康状態を続ける場合は、経済指標の発表に注目が集まり、特に米3月雇用統計が予想以上の改善を示せば、18日介入時の戻り高値82円を試す可能性が高まる。そして、原発事故が鎮静化に向かう場合は、株反発・リスク回避後退、リパトリ思惑後退による自律的な円売りが優勢になり、経済指標の結果次第ではドルが一段高となる可能性がある。
3月18日に実施されたG7(先進7カ国)の日銀、英中銀、ECB(独、仏、イタリア)、カナダ中銀、米FRBによる円売り協調介入は、21日以降においてはまだみられないようである。引き続き今後の動向が注目されるが、当然のことながら野田財務相は「G7各国と適切に協力することを確認、引き続き市場を注視する」と述べている。
そして何と、シュタルクECB理事が「一段の円売り介入は日本当局次第」としながらも、「G7は必要な支援の用意がある」と発言。それに、ユンケル・ユーログル-プ議長も「行き過ぎた円高に対しストップサインを示すことは重要」「とりわけ日銀、FRB、ECBがこの動きに対し、引き続き協調行動を取っていく用意があることが理解されるべき」と述べており、元来為替介入に批判的な欧州勢の積極的な姿勢が目を引く。
EU首脳会議(24-25日)でも、日本に対して災害への協力、経済・金融での協調を表明(戦略的に関係強化することを次回首脳会議で議論)、G7の円売り協調介入を歓迎しており、欧州の今回のサポート姿勢は本物であると認識すべきと思われる。
なお、G7の介入姿勢については、今のところ連続的な動きがなく、80円50銭付近のまとまったドル買いオーダーが日銀との噂になっていることなどから、相場押し上げ型ではなく、一定水準の維持型との見方に傾いている。
日本の金融政策については、3月14日の日銀金融政策決定会合で追加緩和策(資産買入基金の拡充)を決定。潤沢な資金供給も実施されている。今週は、白川日銀総裁、宮尾日銀審議委員がともに「経済・物価の状況を点検し、必要なら適切な措置をとる」と述べており、状況によりさらなる追加緩和を検討する可能性を示唆している。
米国の金融政策については、3月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、出口戦略への動きはみられず、現行の政策が維持されている。今週は、フィッシャー米ダラス連銀総裁が「6月以降、緩和策の拡大、延長の必要はない」と述べ、量的緩和第2弾の満期終了を主張。また、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁が「FRBは、近い将来、出口戦略の開始が必要となる可能性」「政策金利の引き上げと保有資産規模の縮小を同時に」と発言しており、米国の利上げ時期が早まるとの見方が浮上している。なお、米財務省が「1420億ドルの政府保有の政府系住宅金融機関(GSE)の保証付き住宅担保証券(MBS)を、今月から売却していく(1カ月に最大で100億ドル)」と発表、財政政策における出口戦略への始動がみられた。
3月のFOMCでは米経済について、景気判断を上方修正し、「雇用市場の状況は徐々に改善」との見解が示されているが、4月1日に発表される米3月雇用統計が注目される。前回2月雇用統計は、失業率が予想外に低下し9%割れとなり、非農業部門雇用者数が19万人台の増加に改善している。3月は、失業率、非農業部門雇用者数とも2月水準並みの数値が予想されおり、雇用の改善傾向が続くとの見方になっている。
米国債の入札が、3月28日に2年債(350億ドル)、29日に5年債(350億ドル)、30日に7年債(290億ドル)の総額990億ドル予定されている。入札の結果を反映して、米長期金利が上昇すれば、ドル・円は仕組み債絡みなどのドル買いが強まり、金利が低下すればドル売りが強まることになる。
[予想レンジ]
ドル・円79円50銭-82円50銭
株式会社フィスコ
来週の東京外国為替市場見通し=ユーロ・ドルは強含みか、米雇用統計を失望ならドル売り加速
3月25日(金)18時23分配信 モーニングスター
予想レンジ:1ドル=80円00銭-81円98銭
28日からの週、ユーロ・ドルは強含みか。足元では欧州の財政問題をめぐり悪材料が相次いでいるが、ユーロ・ドルは底堅く推移している。4月7日開催のECB(欧州中銀)理事会で利上げが実施されるとの見方が強いなかで、来週はユーロを売りにくいとみる。
ユーロ・ドルについては、ドルの値動きが大きな影響を与えることも考えられる。4月1日には3月米雇用統計が発表される。「足元ではドル安基調が続いているため、米雇用統計が市場予想より弱い結果となってドル売りが加速する展開を警戒している」(中堅証券)との指摘が出ていた。原油価格の動向も重要。24日にはNY原油先物価格が一時1バレル=106ドル台後半まで上昇した。来週、リビアだけでなく、イエメンやシリア、バーレーンといった中東諸国の情勢がいっそう緊迫化して原油価格が上げ幅を拡大すれば、さらにドル安が進むとみる。
ユーロ・ドルは22日に一時1.4249ドルまで上昇。その後いったん1.40ドル台半ばまで下落したが、押し目買いの流入などで下げ渋った。来週は10年11月高値の1.4281ドルを上回るかが注目される。同水準を上抜けると、ユーロ・ドルは一段高が見込まれる。
もっとも、再びユーロが下押されるシナリオも想定しておきたい。市場では「ポルトガルがEU(欧州連合)・IMF(国際通貨基金)に支援要請するのは織り込まれている。より注意すべきはスペインの動向だ」(外為アナリスト)との見方があった。24日の東京時間には一部報道でムーディーズがスペインの銀行の格付けを引き下げる見通しと伝えられ、ユーロが売られた(実際に同日の海外時間にムーディーズはスペインの銀行30行の格付けを一斉に引き下げ)。引き続き同国の金融セクターや財政問題に関する報道を注視する必要がある。
ドル・円は年度末特有のフローで上下することも予想されるが、下値は限定的となりそうだ。福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故は予断を許さない状況が続いている。「動向によっては投資家のリスク回避姿勢が強まりやすいとみられ、円は売られにくい」(米系銀行)との声が聞かれた。ただ、「3月の決算期末にドル・円が80円を割り込んでいる状況は避けたいとして、日本の当局が介入に踏み切るとの警戒感は根強い」(大手金融機関)という。レンジの上限としては協調介入が実施された18日の高値81円98銭をみている。(坂本浩明)
◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。
提供:モーニングスター社
28日からの週、ユーロ・ドルは強含みか。足元では欧州の財政問題をめぐり悪材料が相次いでいるが、ユーロ・ドルは底堅く推移している。4月7日開催のECB(欧州中銀)理事会で利上げが実施されるとの見方が強いなかで、来週はユーロを売りにくいとみる。
ユーロ・ドルについては、ドルの値動きが大きな影響を与えることも考えられる。4月1日には3月米雇用統計が発表される。「足元ではドル安基調が続いているため、米雇用統計が市場予想より弱い結果となってドル売りが加速する展開を警戒している」(中堅証券)との指摘が出ていた。原油価格の動向も重要。24日にはNY原油先物価格が一時1バレル=106ドル台後半まで上昇した。来週、リビアだけでなく、イエメンやシリア、バーレーンといった中東諸国の情勢がいっそう緊迫化して原油価格が上げ幅を拡大すれば、さらにドル安が進むとみる。
ユーロ・ドルは22日に一時1.4249ドルまで上昇。その後いったん1.40ドル台半ばまで下落したが、押し目買いの流入などで下げ渋った。来週は10年11月高値の1.4281ドルを上回るかが注目される。同水準を上抜けると、ユーロ・ドルは一段高が見込まれる。
もっとも、再びユーロが下押されるシナリオも想定しておきたい。市場では「ポルトガルがEU(欧州連合)・IMF(国際通貨基金)に支援要請するのは織り込まれている。より注意すべきはスペインの動向だ」(外為アナリスト)との見方があった。24日の東京時間には一部報道でムーディーズがスペインの銀行の格付けを引き下げる見通しと伝えられ、ユーロが売られた(実際に同日の海外時間にムーディーズはスペインの銀行30行の格付けを一斉に引き下げ)。引き続き同国の金融セクターや財政問題に関する報道を注視する必要がある。
ドル・円は年度末特有のフローで上下することも予想されるが、下値は限定的となりそうだ。福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故は予断を許さない状況が続いている。「動向によっては投資家のリスク回避姿勢が強まりやすいとみられ、円は売られにくい」(米系銀行)との声が聞かれた。ただ、「3月の決算期末にドル・円が80円を割り込んでいる状況は避けたいとして、日本の当局が介入に踏み切るとの警戒感は根強い」(大手金融機関)という。レンジの上限としては協調介入が実施された18日の高値81円98銭をみている。(坂本浩明)
◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。
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