2011年3月19日土曜日

震災後 なぜ円高進む?


2011年3月16日 朝刊
東日本大震災以降、外国為替市場で円高ドル安の流れが続いている。
震災や福島第一原発事故への懸念から、日本から資金が逃げて円が売られ、円安が進むのが自然なはず。
なぜ円が買われるのか。
背景には、過去の震災でもみられた投資家の思惑と、世界の中では安全資産とみられる円への資金の流入がある。
年明けの円相場は八二~八三円台で推移していた。
だが震災後の週明け十四日は、約四カ月ぶりに一時一ドル=八〇円台をつけ、十五日も八一円台で推移している。
震災後に円高が進んだのは、一九九五年一月の阪神・淡路大震災でも同じ。
同年四月、円は一ドル=七九円台の過去最高値を記録した。
当時の投資家は、保険会社が多額の保険金支払いに備え、海外に投資した外貨資産を円に買い戻す「レパトリ」(自国への資金回帰)を進めると連想。
為替市場で、円買いが加速した。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「今回も保険会社や事業会社のレパトリの動きがみられるほか、非常時には安全資産の円を買う動きがあった」と分析する。
二〇〇八年のリーマン・ショック以降、安全資産はドルから円に移った。
今回の震災で日本株が大幅に下落し、アジア株からも資金が逃げる中で、円に向かう世界のマネーの流れが加速しているようだ。
ただ、震災による日本経済への打撃は計り知れず、原発事故に対する不安は、海外でも急速に高まる。
上野氏は「『安全資産』という日本の地位は今回、崩れつつある。
日本の信用低下が進めば、長期的には円安方向に戻る」と予測している。