2011年6月18日土曜日

来週の東京外国為替市場見通し=ユーロに下値不安、ギリシャ新内閣の信任投票がカギ


予想レンジ:1ドル=79円67銭-81円06銭

20日からの週は、ユーロに下値不安がくすぶる。ギリシャ問題をめぐる各当事者の動向が最重要。一部報道によると、17日に発表されたギリシャの新内閣に対する信任投票が現地時間21日夜に実施される見通し。与党は国会で過半数を維持しているが、足元では政府の政策に反対して離党する与党議員も出ている。離党の動きが加速すれば信任案が否決されることも考えられる。その場合はギリシャ向けの金融支援をめぐる事態がさらに混乱し、ユーロ売りがいっそう強まるだろう。

大手金融機関では、「このところ、ユーロ安の進行を見込んだオプション取引の需要が高まっている。ユーロ・ドルは1.4ドルの大台を割り込むこともあり得る」と話した(ユーロ・ドルは日本時間17日午後4時現在、1.4170ドル近辺で推移)。

もっとも、19-20日にユーロ圏財務相会合、23-24日にEU(欧州連合)首脳会議の開催が予定されており、これらの会合でギリシャの支援策をめぐる議論に進展がみられればユーロが底堅く推移することも予想される。欧州委員会のレーン委員(経済・通貨担当)は16日に総額1100億ユーロ(約12兆5000億円)のギリシャ向け金融支援のうち第5弾となる120億ユーロの融資を19-20日のユーロ圏財務相会合で決定すると発表。実際に同融資の実施が決まれば、ギリシャの当面の資金繰り問題は解決される見込みのため、いったんユーロが買い戻される可能性がある。

ドル・円はレンジ相場か。直近の高値(15日の高値81円06銭)と安値(8日の安値79円67銭)の間で推移すると予想する。「来週もギリシャ問題とユーロの動向が焦点になるとみられ、ドル・円は動意に乏しい展開となろう」(前出の大手金融機関)との見方があった。

21-22日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催される。6月末でQE2(第2次量的緩和)が終了することもあり、FRB(米連邦準備制度理事会)が7月以降の金融政策についてどのような方針を示すかが注目される。

ただ、市場では、「今回のFOMCでドル・円が大きく動くような材料は出ない」(同)といった声が複数聞かれた。「FRBがQE3(第3次量的緩和)の実施を迫られるほど米景気は悪くない。一方で、米経済の減速懸念がくすぶるなかで、FRBがQE2によって市場に供給した資金を回収に動くことを検討するとも思えない」(外為アナリスト)という。(坂本浩明)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。なお、当該記事は日本時間17日午後5時点の情報をもとに作成しました。

提供:モーニングスター社

2011年6月12日日曜日

為替週間見通し:オプション・トリガーへの売り仕掛けを警戒、米国の景況感に注視


6月11日(土)14時15分配信 フィスコ

■米国のソブリン・リスクと景況感悪化
ドル・円は、79円70銭から80円47銭で推移した。格付け会社フィッチ・レーティングスが米連邦債務の上限が8月2日までに引き上げられなければ、米国債の長期信用 格付け「トリプルA」を格下げ方向で見直すと発表したこと、バーナンキFRB議長が、米国経済成長は減速しており緩和的な金融政策を継続する必要があると発言したことで、79円70銭まで下落した。しかしながら、米国4月の貿易赤字が減少したことで80円47銭まで反発した。

■米国の景気動向を見極める
今後のドル・円は、米国のインフレ率、個人消費動向、企業景況感を見極めつつ、円高サイドのオプション・トリガーへの売り仕掛けに警戒する展開が予想される。

【米国の経済指標】
今後は、米国のインフレ率(生産者物価指数、消費者物価指数)、個人の景況感(小売売上高、ミシガン大消費者信頼感指数、景気先行指数)、企業の景況感(鉱工業生産、設備稼働率)、住宅指標(住宅着工件数、住宅着工許可件数)などが発表される。6月末での量的緩和第2弾(QE2)の終了を控え、次週の連邦公開市場委員会(FOMC)(6月21-22日)に向けた量的金融緩和の出口戦略を見極めることになる。

【本邦勢の円高ヘッジの動き】
ドル・円相場が80円を割り込んでも、日銀による円売り介入が実施されないことから、本邦機関投資家や本邦輸出企業による円高トレンドをヘッジする動きが強まりつつある。日銀による円売り介入の有無も要注意となる。

【オプション・トリガーへの売り仕掛け】
ドル・円の79円や78円には、大口のオプション・トリガーが控えており、米国の景況感悪化、米国のソブリン・リスク、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和第3弾観測などを背景に、売り仕掛けの可能性が高まりつつある。

主な予定は、13日(月):(日)4月機械受注、日銀金融政策決定会合(14日迄)、14日(火):(日)4-6月期法人企業景気予測調査、日銀政策金利発表、白川日銀総裁会見、(中)5月鉱工業生産、5月小売売上高、5月消費者物価指数、5月生産者物価指数、(米)5月小売売上高、5月生産者物価指数、15日(水):(日)6月日銀金融経済月報、(米)5月消費者物価指数、6月NY連銀製造業景気指数、4月対米証券投資、5月鉱工業生産・設備稼働率、6月米住宅建設業者姿勢(NHBA)、16日(木):(米)1-3月期経常収支、5月住宅着工件数・住宅着工許可件数、6月フィラデルフィア連銀業況指数、17日(金):(日)日銀金融政策決定会合議事要旨(5/19-20)、
(米)6月ミシガン大消費者信頼感指数速報値、5月景気先行指数。

[予想レンジ]
ドル・円79円00銭-83円00銭


《YT》
株式会社フィスコ

2011年6月4日土曜日

来週6月6日~6月10日のドル円予想



予想レンジ:1ドル=79円00銭-82円00銭

6日からの週のドル・円には下方圧力が掛かりそうだ。

5月30日からの週も、5月ISM(米サプライマネジメント協会)製造業景気指数、5月ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)全米雇用報告、週間米新規失業保険申請件数と市場予想より悪い米経済指標が相次いだ。米景気減速懸念は高まるばかりで、「市場はFRB(米連邦準備制度理事会)によるQE3(第3次量的緩和)を織り込みに行っている」(大手信託銀行)との声が出ている。3日に発表される5月米雇用統計が市場予想よりも弱い内容となれば、ドル売り・円買いが強まって1ドル=80円割れの水準から6日の取引がスタートする可能性も排除できない。

6日からの週は、FOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーが相次いで発言を行う。特にバーナンキFRB議長、イエレンFRB副議長、ダドリーNY連銀総裁といったFOMCの中核をなすハト派メンバーが、今月末でのQE2終了を前に米景気の現状や金融政策の先行きについてどう発言するか注目される。8日には21日からのFOMCで議論のベースとなるベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表される。一連のイベントを通じて、FRBによるQE3の実現度合いを見極める展開となりそうだ。

もっとも、3日の5月米雇用統計が市場予想よりも良好な結果となれば、米景気の先行きに対する過度な不安は後退し、ドル・円が上昇することも予想される。

しかし、3日にドル・円が上昇しても、上げ幅は限られるとみている。5月米雇用統計が良好ならば、投資家のリスク許容度が改善してドル売り・高金利通貨買いが強まると見込まれる。また、今回の米雇用統計が強い内容でも、FRBが直ちに出口戦略に向かう可能性は依然として低い。6日からの週の前半は米国の重要指標発表が予定されていないこともあり、利益確定のドル売り・円買いが流入しやすいだろう。

3日の東京時間には、1ドル=80円台後半で輸出企業のドル売りが観測されている。これらの輸出企業は、ドル・円の4月末以降のレンジの上限82円ちょうどまでの戻りを待たずにドル売りを出していたことになり、6日からの東京外国為替市場でもドル・円の上値を圧迫する要因となりそうだ。

一方、ユーロ圏では9日にECB(欧州中銀)理事会が開かれる。今回の会合では政策金利が1.25%で据え置かれるとみられている。市場の関心はトリシェECB総裁が7月の追加利上げの可能性を示唆するかに向かっているが、利上げ示唆があればユーロをサポートしよう。ユーロ・ドルは日足一目均衡表の「雲」の上限を明確に上回れば一段高が望める。

また、財政不安にあえぐギリシャをめぐり、20日のユーロ圏財務相会合を前に追加支援の具体策が報じられれば、ギリシャのソブリンリスクへの警戒感が一時的にせよ緩和に向かい、ユーロにはポジティブに働こう。

リスク要因は各国株式の動向。各国株式が下げ基調を強めれば、クロス円の下落を通じてドル・円には下げ圧力が掛かるだろう。(和田崇彦)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。なお、上記の見通しは日本時間3日午後5時時点の情報を元に作成しました。

提供:モーニングスター社

今週のまとめ5月30日から6月3日の週


2011/06/04 (土) 08:00
30日からの週は、ドル安の流れが中心だった。週末の米雇用統計を始め、米経済指標は市場予想を下回る結果が相次ぎ、市場には米景気回復への不透明感が強まった。利上げの時期が先延ばしになるとの見方や、追加緩和第3弾(QE3)への思惑も広がった。また、米債務上限枠の拡大を巡る議論が、米国債の格下げ懸念へと波及していることもドル安材料だった。日本にとっても格下げ方向への見通し、菅内閣への不信任案提出など不安材料が多かった。また、資源国通貨も米国の景気鈍化懸念がリスク回避へとつながり、売り圧力となった。一方、欧州にとってはギリシャ問題の進展が期待されていることもあり、ユーロは堅調に推移した。ドルスイスが史上最安値(スイスフランの最高値)を更新するなど、相対的に欧州通貨が堅調だった。

(30日)
東京市場では、ユーロが弱含んだ。始まりこそ先週のドル安の流れを受けてユーロドルは1.4335近辺と10日ぶりのレベルまで上昇したが、取引参加者が少ないなか買いも続かずじりじり値を落としていった。午後に入ると1.4260台まで下落している。ユーロドルの下落につれてユーロ円も早朝の115.70台から115.20台まで値を落としている。本日は英米市場が休場なので取引参加者は少なく、大きな値動きは見られなかった。ドル円は5・10日(ごとうび)ということもあって仲値にかけて80.90台まで買われたが、その後は上げ幅を縮小した。31日に米2年債と5年債の償還が583億ドルあり、ドル売り・円買いが入るのではとの観測も上値を抑えた。早朝、NZ4月の貿易収支が発表され単月では過去最高の黒字額となった。同指数を受けてNZドル/ドルは0.8160台から0.8180台に値を飛ばし、その後0.8210台と1985年3月の変動相場制移行後の高値を更新した。ただ買いが一巡するとじり安で推移し、午後に入りキーNZ首相が強いNZドルに懸念を表明すると指数発表前のレベルまで戻した。
ロンドン市場は、前週末のドル安水準での揉み合いだった。ロンドン勢がスプリング・バンクホリデー、ニューヨーク勢がメモリアルデーのため休場となり、閑散としたマーケットとなっている。ドル円は80.80近辺でこう着、ユーロ円は115.50近辺、ユーロドル1.4280-90レベルでの揉み合いが中心だった。ロンドン早朝にはユーロドルが一時1.4250台、ユーロ円が115.20近辺まで下押しする動きもあったが、欧州株が小幅高での安定した推移となると値を戻している。全般には、ドルスイスが再び0.85割れ、ドルカナダが0.9750近辺へとじり安となるなど、ドル安の圧力は継続している。東京序盤に0.82台乗せとなり変動相場制導入来の最高値を記録したNZドル/ドルも0.81台後半での底堅い推移だった。本日の海外市場で唯一注目されたカナダ経済指標、3月のカナダGDP、前月比は+0.3%(予想+0.2%)前年比は+2.8%(予想+2.6%)だった。第1四半期GDPは前期比年率+3.9%(予想+4.0%)だった。また、同時刻に発表されたカナダの第1四半期経常収支は89億加ドルの赤字(予想79億加ドル赤字)だった。カナダドルは発表直後にやや買われたが、次第に売りが優勢になっている。
NY市場は、メモリアルデーのため休場。

(31日)
東京市場は、ドル安が先行したあと、円安が進む展開となった。ユンケル・ユーログループ議長はEUがIMFによる対ギリシャ融資を確保するため同国に対する追加支援策を検討していると発言、またWSJによるとドイツはギリシャが新たな金融支援策を受けられるようにギリシャ償還期限延長を求める主張を取り下げる可能性を示唆した。報道を受けてユーロ高ドル安が進んだことからドルは全面安の様相となり、ユーロドルは1.4406近辺と11日以来3週間ぶりの高値を付け、ドル円は80.71近辺まで値を落とした。またポンドドルは5日に付けた高値に並んでいる。日本時間11:30前に、格付け会社ムーディーズが日本国債の格付け「Aa2」を引き下げ方向で見直すと報じられると円は急落した。ドル円は80.70台で推移していたが断続的に買われ81.39近辺まで上値を伸ばした。ドル円の上昇に伴いクロス円も上伸し、ポンド円は3日以来4週間ぶりとなる134.50台まで上げ幅を拡大している。ムーディーズは、日本国債の格付け見直しは3ヶ月以内に終える方針とし「見直しは、大半のケースで格下げにつながる」としている。また、10:00に発表されたNZ5月の企業信頼感は前回を大きく上回る強い数字だったこともありNZドル/ドルは最高値を更新した。
ロンドン市場は、ユーロ高および円安での推移。東京市場からの動きが継続している。ユーロドルは1.43台後半から1.44台へと上昇、一時1.4425レベルと本日の高値を付けた。ユーロ円も堅調で、117円台に乗せると117.80レベルまで高値を伸ばした。対スイスフランでの巻き返しも強まり、ユーロスイスは1.22台前半から1.23手前の水準へと上昇している。ユーロ高の背景としては、東京市場でのギリシャ救済関連の報道。ユンケル・ユーログループ議長はEUがIMFによる対ギリシャ融資を確保するため同国に対する追加支援策を検討していると発言、またWSJによるとドイツはギリシャが新たな金融支援策を受けられるようにギリシャ償還期限延長を求める主張を取り下げる可能性を示唆した。ロンドン市場に入ってからの材料はあまり目立たないが、ドラギ次期ECB総裁候補は、今後も物価安定を重視するタカ派路線の継続を示していた。経済指標ではドイツの5月失業率は7.0%と予想通り、失業者数は8千人減と予想3万人減ほど改善しなかったが、全体の失業者数は3百万人を割り込んでいた。5月ユーロ圏消費者物価指数速報値は2.7%と予想2.8%よりはやや落ち着いていた。ユーロドルは1.44近辺から1.43台後半、ユーロ円は117円台半ばから前半と、東京市場からの高値水準を維持している。ドル円は81円台前半から一時81.77レベルまで水準を上げた。東京昼前に発表されたムーディーズによる日本の格付け見通し、格下げ方向で見直し、とのニュースが素直に円売り圧力となった。ロンドン早朝にもムーディーズは、見直しは大半のケースで格下げにつながる、と述べている。
NY市場では、ギリシャ問題への懸念が後退し、海外市場の流れを引き継いでユーロ買い優勢で始まった。債務再編を回避しつつ、追加支援が実施されるとの期待感が高まった形。ただ、この日発表になった米経済指標が弱い内容となったことで、次第に景気回復への鈍化懸念が増し、ユーロは上げ幅を縮小する動きとなった。しかし、後半になって伸び悩んでいたNY株価が再び勢いを回復すると、ユーロも買戻しの動きも見られている。円相場も同様の動きで、米経済指標発表後、円買いの動きが見られたものの、後半は下げを取り戻す動きとなっている。ギリシャ懸念一服と景気の先行き懸念とが混在した動きとなった。ドル円は81.15近辺まで下落後、81円台半ばに戻す動き。ユーロ円も116円台に一時下落していたが、117円台に戻している。きょうはカナダ中銀の政策金利の発表があり、予想通りの据え置きとなった。しかし、声明では刺激策はいずれ解除の方向を示したことで、利上げ再開に含みを残す内容となった。これを受けカナダは買いが強まり、カナダ円も上昇を見せたが、米経済指標の発表がそれを打ち消している。カナダ経済は米経済と表裏一体との見方が広がった。

(1日)
東京市場は、ドルが軟調な展開。昨晩の米経済指標が軒並み予想を下回ったことからドルは売られやすく、ユーロドルは1.4444近辺と先月6日以来の水準まで上昇した。ドル円は81.50台から81.10台へとじり安。豪ドル/ドルが経済指標を受けて急伸したこともドル安の一因。ただ、豪ドルペアを除くと月初ということで全般的に様子見ムードが広がり取引は手控えられた。クロス円のレンジは大方50銭程度に留まっている。10:00に発表された中国5月の製造業PMIは前回よりは弱かったものの予想を上回り、また2009年3月から27ヶ月連続で50を上回ったことが好感され、中国との貿易関係が深いことから豪ドルに買いが入った。続く10:30には豪州第1四半期GDPが発表され前期比1.2%減と1991年第1四半期以来20年ぶりの落ち込み水準となった(予想は1.1%減)。ただ、市場ではより悪い内容を見込んでいた向きもあり発表直後から豪ドルは買われた。豪ドル/ドルは豪指標前の1.0670台から1.0740台に、豪ドル円は86.80台から87.30台にそれぞれ上値を伸ばしている。GDPの内訳で国内需要が1.3%増と2009年第4四半期以来の水準となり、内需が膨らんだことも買われた一因という。豪ドル/NZドルは昨日大きく売られたが本日は下げ分を取り消し1.29台前半から1.30台後半に反発した。
ロンドン市場は、スイス買いとポンド売りが目立った。スイス4月実質小売売上高は前年比+7.5%、前回-0.2%から改善した。さらに、5月SVME購買部協会景気指数は59.2と市場予想57.5および前回4月58.4を上回る結果だった。スイスフラン買いの動きが広がり、ドルスイスは0.85台前半から0.84台後半へと下落。取引中盤にかけては0.8440台と史上最安値を更新している。一方、5月の英CIPS製造業PMIは52.1と市場予想54.1および前回4月54.6(修正後54.4)を大幅に下回った。1.65近辺へと堅調に推移していたポンドドルは一気に1.64割れまで急落。なお、ドル円は81円台前半での揉み合いが続いている。菅政権への内閣不信任案が提出される波乱の状況となっているが、円相場の反応は限定的。ユーロにとってはギリシャ救済を巡る報道が波乱材料だった。ロンドン序盤に独紙FAZが、現時点でIMFが6月末に予定されている対ギリシャ支援の第5トランシェを支払わない可能性高い、と報じたことでユーロ売りが強まった。ただ、同紙によると、新規プログラムへのIMFの参加が想定される、としており、ユーロは即座に買い戻された。ユーロドルは1.44台前半から一時1.44割れへと急落したが、その後は1.4448レベルとこの日の高値を付けている。ただ、1.44台半ばは重く、その後は1.44を挟んだ神経質な取引が続いている。独欧の5月製造業PMI確報値がいずれも下方修正されたことも重石だった。
NY市場は、リスク回避的な雰囲気が強まり、円買い・ドル買いが優勢となった。この日発表された米ADP雇用指標や製造業景況感指標が弱い内容となったことで、市場では米景気減速懸念が更に強まっている。NY株式市場でダウ平均の下げ幅が200ドルを超えるなど大幅安となり、また、原油も同様の動きを見せる中、為替市場もリスク回避的な動きが強まった。ユーロ円は117円台から115円台に下落し、ドル円もここ数日のサポート水準である80.70近辺まで値を落とす動き。ギリシャ問題が気になるユーロドルも序盤は逆行高となったが、後半になって高値から100ポイント超下落し、1.43台前半まで下落。ムーディーズがギリシャ国債をB1からCaa1に3段階格下げしたこともユーロを圧迫した。本日のADP雇用統計は雇用増加数が市場予想の17.5万人に対して、結果は3.8万人と予想から大きく下方乖離した結果となった。これを受けて各金融機関は週末の米雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)の予想を下方修正している。ゴールドマンサックスは従来の15万人増から10万人増へ、クレディスイスは18.5万人増から12.0万人増へ、など。

(2日)
東京市場で、ドル円は上に往って来いの展開。朝方は昨晩の下落の反動もあり買いが優勢となり81.00と81.30にあったというストップロスのドル買い注文をこなし81.33近辺まで上昇した。午後に衆院本会議で採択される内閣不信任決議案の行方を嫌気した円売りも入っていたようだ。ただ単なる買戻しの動きだったようで81.30台を付けた後はじりじり値を落とし、午後に入ると再び81.00を割り込み80.80台まで下落した。正午過ぎの民主党代議士会で菅首相が震災対応を目処に退陣すると言及、また鳩山前首相が首相に同調、小沢グループは自主投票となったことが伝わったが為替・株式市場で特段の反応は見られなかった。ただ債券市場では財政再建に目処が付くのではとの期待から国債が買われ利回りは低下した。ユーロドルは早朝、昨晩の流れを引き継ぎ売りが先行、1.4300台まで下落したがその後は巻き返しの買戻しが優勢となり1.4360台まで反発している。豪ドルは予想より良かった豪州4月の小売売上高を好感して買われ、豪ドル/ドルは1.0620台から1.0650台、豪ドル円は86.30台から86.50台まで上昇した。一部では来週7日の政策金利発表で利上げがあるのではとの見方も出ている。ただ、買いが一服すると値を戻し、指標前のレベルを下回る水準に下落している。
ロンドン市場は、ドル安が進行した。特にユーロドルやポンドドルが主導する形で上昇している。この日は主要な欧州経済指標の発表に欠ける材料難のマーケットだったが、ポンドが英建設業PMIに反応した。5月のデータが54.0と予想53.5を上回ったことでポンド買いが広がり、ポンドドルは1.63台前半から一時1.64台乗せ、ポンド円は132円割れ水準から132円台後半まで上昇した。これに連動する形でユーロも水準を上げた。ユーロドルは前日高値を越えて1.44台後半へと上昇、ユーロ円は一時117円台を回復した。ユーロ買い材料はややハッキリしなかったが、市場ではスペイン債入札が順調だったことや、ギリシャ政府が中期財政計画を受諾したこと、トリシェECB総裁のユーロ財務省構想などが取り沙汰されていた。一方、欧州株は前日の米株安を受けて下落。また前日にムーディーズがギリシャを格下げしたことで、ポルトガルとアイルランドの国債保証コストが過去最高となるなどソブリンリスクは深刻化している。ユーロドルにとっては、ポイントとなる1.44台半ばの売りをこなして前日高値を抜けるなどフロー中心の動きもあったようだ。また、ドルインデックスが一時74.29と5月6日以来の低水準になるなどドル安相場の面も強かった。ドル円は80.70レベルへと水準を切り下げている。
NY市場は、ドル売りが優勢となった。序盤は米週間石油在庫統計を受け商品市場が崩れたことや、米国債利回りが上昇していたことから、ドル買いが優勢となる場面も見られたが、後半になって一部報道で、ユーロ各国高官が対ギリシャの新たな3ヵ年調整計画で原則合意したと伝わったことから、ユーロ買いが強まる中、ドルは売りが優勢となっている。欧州委員会はこの報道を否定したものの、それに伴うユーロ売りは一時的だった。また、隠れたリスクとなっている米債務上限引き上げ問題で、ムーディーズが数週間以内に進展がなければ、米国債の格下げ方向での見直す可能性を示唆していたことも、ユーロをフォローした。ユーロドルは心理的節目となっている1.45を一時回復し、ユーロ円も序盤の116円台半ばから117円台に戻す動きとなった。一方ドル円はドル売り圧力が強まったものの、クロス円の上昇に支えられた格好。前日のレベル感は維持されている。

(3日)
東京市場では、ドル円、クロス円はじり安の展開だった。ただ前日NY市場のレンジは抜け出せず、小動きが続いた。米格付け会社ムーディーズは昨晩、米国債の格付けを引き下げ方向で見直す可能性があると指摘。また今晩の米雇用統計は弱いとの見方が多く、市場はドル売りに傾いているという。ドル円は早朝81.01レベルで始まった後は80.60台までじりじり値を下げた。つれてクロス円も軒並み下落している。午前11時過ぎには今晩のビッグイベントを前に膠着状態となった。ユーロドルは前日の流れを引き継ぎ1.4510台に上昇する場面があったもののすぐに値を戻し、大方の時間を1.4480台で推移した。豪ドル/ドルは一時1.0710台に上昇。ビールの「コロナ」を醸造するメキシコのグルポ・モデロと同業の米モルソン・クアーズは、豪州のフォスターズ・グループに共同買収案を提示する方向で検討している、との報道に反応した。
ロンドン市場は、米雇用統計が前回より弱い結果になるとの警戒感から円買いが先行している。ドル円は80.70-80から80.53レベルへと水準を下げ、5月13日以来3週間ぶりの安値水準で取引されている。リスク回避の動きから原油先物が100ドル台から99ドル台へと軟化、資源国通貨を圧迫している。豪ドル円は86円台前半から85円台後半へ、カナダ円は82円台半ばから82円台前半へとじり安の動きとなった。英サービスPMIが予想を下回ったことでポンド円も132円近辺から一時131円台前半まで下げる場面があった。スイス買い傾向もみられ、ドルスイスは0.84台半ばから0.84ちょうど近辺まで下げる動きをみせた。一方、ユーロは比較的底堅く推移している。ユーロドルは1.44台半ばから1.45近辺へと小幅に上昇。対ポンドで強含む動き。ギリシャ支援を巡るEU/ECB/IMFの三者が協議中で、期待感もあるようだ。
NY市場はドル売りが優勢となりユーロの上昇が目立った。朝方発表になった米雇用統計が予想以上に弱い内容となったことで、景気減速への警戒感からドルは売られる展開となった。一方で、リスク回避的な雰囲気も強まったことから、発表後、ユーロは一旦大きく下落する場面も見られた。しかし、ギリシャ支援が合意したと伝わると、ユーロは勢いを復活させ、ストップを巻き込んで、ユーロドルは1.46台まで上昇。その動きに連れられて、豪ドルやカナダといった資源国通貨も指標発表後の下げを取り戻す動き。

ドルが下落、予想下回る雇用統計が重し=NY外為市場


[ニューヨーク 3日 ロイター] 3日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが売られた。この日発表された5月の米雇用統計が弱い内容となったことで、米経済の著しい減速が裏付けられた格好となった。ドルは今後も弱含む展開が予想されている。

米国をめぐる懸念とは対照的に、ユーロは対ドルで1カ月ぶり高値に上昇。ギリシャに対する次回融資が実施され、同国が債務再編を免れるとの楽観的な見方がユーロを支援した。

欧州連合(EU)と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)はこの日、共同声明を発表し、ギリシャに対する次回融資について、7月初旬にも実施されるとの見通しを明らかにした。これを受け、ユーロが買われた。

電子取引システムEBSで、ユーロ/ドルは一時1.4643ドルまで上昇し、その後は1%高の1.46336ドルをつけている。

週間ではユーロ/ドルは2.2%の上昇となり、週間の上昇率としては1月16日の週以来の大きさとなった。

ドルは対円では1カ月ぶり安値をつけ、その後は0.8%安となる80.20円にやや値を戻している。ドル/円は米国債利回りの低下に伴って下落した。週間ではドルは対円で0.7%下落。

一方、スイスフランに対しては過去最安値をつけ、直近では0.9%安の0.8350スイスフラン。

主要6通貨に対するICEフューチャーズUS(旧NY商品取引所)ドル指数は73.742で、週間では0.8%下落となった。

この日発表された5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比5万4000人増と、市場予想の15万人増を下回り、前年9月以来の小幅な伸びにとどまった。

また失業率も9.1%と、前月の9.0%から悪化した。

欧州中央銀行(ECB)は来週9日の理事会で、インフレに対し「警戒(vigilance)」という表現を用いて、7月の利上げを示唆するとみられており、これがさらにユーロの追い風となる可能性がある。一方で、ドルの上値余地は乏しい。

クラリティFXのシニア通貨ストラテジスト、ギャレス・シルベスター氏は、今後の展開に関して「ECBの理事会が開催されることもあり、金利差が焦点となると指摘した。その上で、投資家は「債務問題は忘れるだろう」との見方を示した。 

同氏はドル指数が76.5を上回る水準まで上昇するまでは、ドルの上値は限られると予想している。

2011年5月22日日曜日

来週の東京外国為替市場見通し=ドル・円は軟調か、弱い米指標受けた一段の米金利低下を警戒

予想レンジ:1ドル=80円33銭-83円00銭

23日からの週、ドル・円は軟調か。米金利が低下基調を続ければ、ドル・円の重しとなろう。米金利動向をみるうえでは、米経済指標に注目。24日に4月米新築住宅販売件数、26日に1-3月期米実質GDP(国内総生産)改定値、週次の米新規失業保険申請件数が発表される。足元では市場予想より悪い内容の米経済指標が多く、米景気先行きに対する懸念が一段と強まっている。来週発表の米指標も市場予想より弱い結果となれば、米金利がさらに低下してドル・円に下押し圧力がかかるだろう。

19日発表の週次の米新規失業保険申請件数は市場予想より強い数字となってドルが買われただけに、26日発表の同指標については米金利とドルを押し上げるシナリオも考えられる。ただ、米雇用に関しては6月3日発表の5月米雇用統計を見極めたい向きも多いとみられ、新規失業保険申請件数だけを材料にドルを積極的に買う展開にはならないと予想する。

また、足元で乱高下している原油価格の動向も見逃せない。「NY原油先物価格は上値が重くなっている。より調整色を強めれば、投資家のリスク許容度が低下して円買いが進みやすい」(大手証券)との指摘が出ていた。欧州系銀行では、「米国以外でも悪い内容の経済指標が目立っている国が複数みられる。世界経済の成長が鈍化するとの見方から各国株式が下落すれば、リスク回避目的で円が買われる可能性がある」と語った。

ドル・円は19日のNY時間に一時82円20銭まで上昇し、4月28日以来3週間ぶりの高値を付けた。しかし、「ドル・円はテクニカルの重要ポイントがある82円台半ばを上抜けするまでは下方向でみている」(前出の欧州系銀行)との声が聞かれた。82円台では日足一目均衡表の「雲」の上限が位置する82円56銭など複数の上値抵抗線が控えており、ドル・円の大幅上昇は見込みにくい。大手金融機関では、「ドル・円はかなりボラティリティー(変動性)が低くなっている。市場ではレンジでの取引が続くとの見方が強いだけに、82円台後半では輸出企業や投資家のドル売りが流入するとみる」と話した。一方、下値メドは13日の安値80円33銭を想定している。

なお、26-27日にはフランスでG8(主要8カ国)首脳会議が開催されるが、原子力発電所の安全性などが議題になるとみられており、為替相場では材料視されにくいだろう。(坂本浩明)

提供:モーニングスター社

2011年5月8日日曜日

来週の東京外国為替市場見通し=ドル・円は下値模索か、米雇用統計後も米指標の下ブレ警戒

予想レンジ:1ドル=78円50銭-81円99銭

9日からの週、ドル・円は下値模索か。来週のドル・円の値動きについて考えるうえでは、6日発表の4月米雇用統計の結果が重要となる。足元で弱い米経済指標が相次いでいるため、マーケットでは雇用統計も市場予想より弱い内容となることを警戒する向きがある。「雇用統計がネガティブサプライズとなれば、来週はドル・円が79円を割り込む展開も想定される」(外為アナリスト)との指摘が出ていた。

ドル・円は5日に一時79円61銭まで下落し、G7(主要7カ国)による協調介入が実施された3月18日以来約1カ月半ぶりの安値を付けた。大手証券では、「12日に発表される4月米小売売上高などの米経済指標が引き続きドル売り要因となる可能性がある」と話した。

一方、6日の雇用統計で強い数字が出ればドルの買い戻しが進むことも考えられる。ただ、その場合でもドル・円の上昇は限定的となろう。4月分の雇用統計が良好となっただけでは、FRB(米連邦準備制度理事会)が早期に出口戦略に向かうとの期待は高まらないとみられるためだ。上値メドとしては、3月17日に付けた戦後最安値の76円25銭から4月7日の高値85円54銭までの上げ幅の38.2%(黄金分割)押しの水準となる81円99銭をみている。

米金利動向も注視したい。米10年債利回りは5日までに6営業日連続で低下し、3月17日以来の3.2%割れとなった。来週は米国債入札が相次ぐ。10日に3年債、11日に10年債、12日に30年債の入札が予定されている。入札前のポジション調整で米金利が一時的に上昇するリスクはあるが、米金利低下の大きな流れは変わらないとみられ、引き続きドル・円の重しとなるだろう。

ドル・円が急落する場面では、日本の当局による為替介入をめぐる思惑が高まりやすい。市場では、「ドル・円が短時間で急落すれば、過度な為替変動を阻止する目的で介入が実施されても不思議ではない。逆にジリジリとドル安が進む場合、当局は動きにくい」(前出の外為アナリスト)との声が聞かれた。

ユーロや高金利通貨の動向も見逃せない。5日の海外時間にはNY原油先物価格の大幅下落で投資家のリスク許容度が低下、ユーロや高金利通貨に強い売り圧力が掛かった。来週は11日に中国の4月経済指標、13日にユーロ圏の1-3月期実質GDP(域内総生産)速報値が発表される。これらの指標の下ブレをきっかけに投資家のリスク回避姿勢が一段と強まれば、クロス円のさらなる下押し要因になると予想する。(坂本浩明)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。なお、当該記事は日本時間6日午後4時30分時点の情報をもとに作成しました。

提供:モーニングスター社

2011年4月23日土曜日

来週の東京外国為替市場見通し=ドル・円に下値不安、「大型連休は輸入企業不在で要注意」との声

予想レンジ:1ドル=79円50銭-83円96銭

来週(25日からの週)および5月の第1週は、ドル・円の下値不安がくすぶるだろう。

来週の最重要イベントは、26-27日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)。

大手証券では、足元の弱い米指標などを受けて、「FRB(米連邦準備制度理事会)がQE2(第2次量的緩和)の規模を縮小するという見方や早期に利上げに踏み切るという楽観的な見方はなくなった」と話した。

バーナンキFRB議長は27日、FOMC終了後に初の定例記者会見を行う。

バーナンキ議長はハト派として知られており、発言を受けてFRBが早期に出口戦略に向かうとの期待が一段と後退すれば、さらにドル売りが進むだろう。

28日には日銀の金融政策決定会合が開かれるが、「日銀は東日本大震災の直後に開催した3月14日の会合で追加緩和をすでに実施している。

さらなる金融緩和は想定していない」(欧州系証券)との声が聞かれた。

市場では、「ゴールデンウイーク中は個人や輸入企業によるドル買いで対抗できないだけに、ドル・円が下押される展開を警戒する必要がある」(前出の大手証券)との見方があった。

昨年のゴールデンウイークにはギリシャの信用不安が高まり投資家のリスク許容度低下から円買いが強まった。

ギリシャの債務再編観測が根強いなか、今年も欧州の財政問題に関する報道には注意を要する。

一方、急ピッチでドル安が進行してきたため、「さらにドルが売られるには追加的な材料が必要」(前出の欧州系証券)との見方があった。

21日には市場予想より弱い米指標が相次ぎドル売りが進んだ。

5月6日の4月米雇用統計など、来週以降に発表される重要な米指標の下ブレを警戒する必要がある。

もっとも、3月18日のG7(主要7カ国)による協調介入において政府・日銀が介入に踏み切ったポイントである79円台半ばでは、介入警戒感が高まるとみる。

一方、上値メドは4月14日の高値83円96銭を想定している。

5月5日にはECB(欧州中銀)理事会とトリシェECB総裁の記者会見が予定されている。

ECBは4月に利上げに踏み切ったが、市場予想では5月は政策金利を据え置くとみられている。

「欧州各国が緊縮財政を迫られるなか、ユーロ高が進みすぎれば景気に悪影響を与える。

5日の記者会見ではトリシェ総裁がユーロ高をけん制するかを注視したい」(同)との指摘があった。(坂本浩明)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。

提供:モーニングスター社

2011年4月16日土曜日

来週の東京外国為替市場見通し=ドル・円は強含みか、「輸入企業のドル買い意欲強い」との声


予想レンジ:1ドル=82円50銭-85円54銭

 18日からの週、ドル・円は強含みか。輸入企業の押し目買いが流入し、ドル・円の下値は限定的になるとみる。市場では、「輸入企業のドル買い意欲が強い。資源価格の高騰で足元では石油元売りなど普段の2倍ドルを買っている企業もある」(大手金融機関)との指摘が出ていた。

 一方、東日本大震災の影響で、輸出企業は業績の先行き不透明感からドル売りを手控えている。前出の大手金融機関では、「震災の影響で日本の貿易収支や経常収支の黒字額が縮小するとみられるなか、円を積極的に買えなくなっている。ドル・円が来週に82円台前半まで下落するとはみていない」と話した。20日には日本の3月貿易統計が発表される。通常は日本の経済指標が為替市場で大きな材料となることは少ないが、貿易黒字額が市場予想(6454億円)を大きく下回る場合に円売りで反応するか注目したい。

 もっとも、25日からの週にFOMC(米連邦公開市場委員会)が控えていることもあり、それまではポジションを傾けにくいとみられる。ドル・円のレンジの上限は7日の高値85円54銭を想定している。

 クロス円の値動きも重要。15日に発表された中国の1-3月期実質GDP(国内総生産)と3月の主要経済指標は軒並み市場予想を上回った。市場では、同日に中国人民銀行が預金準備率を引き上げるとの観測がある。実際に引き上げられたとしても為替市場での反応は限られると考えるが、週明け18日の中国株式の反応は注視したい。上海総合指数は15日に年初来高値を更新しており、18日に高値警戒感から売られれば、クロス円の重しとなろう。

 ワシントンで開催されているG20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議では現地時間15日午後(東京時間16日早朝)に共同声明が発表される予定。震災後の日本支援でG20が結束することが明記されると報じられているが、報道通りの内容にとどまれば為替相場への影響は限定的となろう。

 ユーロ・ドルは上値の重い展開か。12日以降は明確に1.45ドルを上抜けられずに伸び悩んでいる。来週も特段のユーロ買い材料がなければ一段高は見込みにくい。22日に米国や英国市場などが祝日で休場となるため、「これまで積み上げてきたユーロ買いポジションを連休前にいったん閉じる動きが出る可能性がある」(岡三証券 外国証券部外国債券グループ長・相馬勉氏)との指摘があった。(坂本浩明)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。なお、当該記事は日本時間15日午後5時30分時点の情報をもとに作成しました

提供:モーニングスター社

2011年4月9日土曜日

来週4月11日~4月15日のドル円予想


来週の東京外国為替市場見通し=米企業の決算発表本格化でリスク選好続くか注視、米国株安なら円買い

4月8日(金)18時43分配信 モーニングスター
予想レンジ:1ドル=83円98銭-85円93銭

11日からの週は、米国株式の動向が最注目。来週は米主要企業の決算発表が本格化する。11日にアルコア、13日にJPモルガン・チェース、15日にバンク・オブ・アメリカが決算を発表する。「米国株式は楽観ムードのなかで買われてきただけに、業績見通しの引き下げなどで調整する展開を警戒している」(大手金融機関)との見方があった。米国株式が調整色を強めれば投資家のリスク回避目的の円買いが進むと予想する。15日に発表される中国の1-3月期実質GDP(国内総生産)と3月経済指標も見逃せない。一連の指標が市場予想より下ブレすれば、投資家のリスク許容度低下で円が買われるとみる。

また、11日にはハト派の重鎮として知られるFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン副議長が講演する予定。イエレン副議長のハト派的な発言が材料視されてFRBの出口戦略への期待が後退すれば、ドル売りが優勢となろう。

米11年度予算案の協議をめぐる動向も注目したい。暫定予算の期限切れが8日に迫っており、歳出削減規模などで対立する与野党が暫定予算の延長について合意できない場合、米政府機関の一部が閉鎖に追い込まれる可能性がある。市場の一部では、政府機関の閉鎖が長期間続くとの見方が強まればドル売り材料になるとみる向きがある。ただ、「国民生活に多大な影響が及ぶため、与野党は政府機関の閉鎖を回避する方法を模索するだろう」(同)との声も聞かれた。

ユーロの値動きも重要。米系銀行では、「金利先高観からユーロ買いが続くとみられる。ユーロ・ドルの上昇トレンドが反転する材料が見当たらない」と話した。原油価格のさらなる上昇などでユーロ・ドルが一段高となれば、ドル・円の上値は抑えられるだろう。

もっとも、ドル・円の下値は限定的となることも想定される。日銀が一段の金融緩和に踏み切る可能性が意識されるなか、「海外勢は依然としてドル・円に対して強気のスタンス」(大手信託銀行)という。ドル・円の下値メドは2月の高値83円98銭。一方、レンジの上限は10年9月15日の政府・日銀による為替介入実施後の高値(9月16日の高値)である85円93銭をみている。(坂本浩明)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。

提供:モーニングスター社

2011年4月7日木曜日

米国金利の上昇局面で、なぜ米ドルが買われるのか?


金利と為替レートには相関性がある。
 ドル円、ユーロ円、ユーロドル、豪ドル円、豪ドル(ドル)のそれぞれの為替レートについて、当該国の2年物の国債の金利差の動きのグラフを作ってみた。ほとんどの局面で相関性を認識できるのではないか。
 なぜ、2年物国債の金利かというと、1年以内の短期の金利は年末とか期末は、経済以外の資金需給の影響を受けやすいので、経済の状況を表しにくい。また国債の代表たる10年物は財政状況の影響を受けやすいからである。そのため為替レートの分析では2年物金利を一般的に使用する。
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 為替レートの分析や予想をするモデルにも、流行がある。筆者が大学生のころ注目されたのは、各国の物価水準に注目した「購買力平価アプローチ」であった。これは「同じものは世界中のどこでも同じ値段で買える」という考えに基づいている。いわゆる「ビッグマック指数」とか「ハンバーガー指数」と呼ばれているものもこの派生物である。
 その後、80年代に入って貿易摩擦が激しくなり、その後に円高局面を迎えたころは、貿易収支と経常収支に注目した「フロー(収支)アプローチ」であった。最近は、資産運用に注目した「アセット(資産)アプローチ」が注目されている。世界的に量的緩和基調にあり、流動性が増えていることが背景にある。
 資産運用において金利は代表的な指標であり、為替レートに影響を与えるのも実感としても分かる。

2月25日─3月29日の為替介入額は6925億円、ほぼ予想通り


[東京 31日 ロイター] 

 財務省は31日、2011年2月25日から3月29日までの外国為替平衡操作額(介入額)が6925億円だったと発表した。介入実施は、2010年9月15日以来、半年ぶり。
23日に発表された日銀の「当座預金増減と金融調節(確報)」からは、18日の円売り介入の規模は6600億円程度だったと推計されており、市場では「ほぼ予想通りの規模だった」(三菱東京UFJ銀行アナリスト、井野鉄兵氏)と受け止められている。
井野氏は、今回の介入が少ない金額で効率的に行われたと評価しており、1)介入開始と同時に野田財務相が介入を公表したことでアナウンスメント効果が働いた、2)主要7カ国(G7)を巻き込んだ協調介入だったことでインパクトが大きかった──の2点を指摘。「9月に実施した2兆円を超える規模の介入に比べて規模が小さかったことで、市場には財務省が追加介入に向けた余力を残しているとの警戒感が働く」(井野氏)ことが、その後もドル/円をサポートしているとみている。
3月11日の東日本大震災後に円のリパトリエーション(本国への資金還流)観測が浮上し円高圧力がかかるなか、3月17日早朝にドル/円は突然76.25円まで急落し、史上最安値を更新した。これを受けて、G7の財務相・中央銀行総裁は電話会議でG7による円売りの協調介入で合意。野田財務相は18日午前9時からドル買い/円売り介入を実施したことを明らかにした。その後、海外時間にかけてG7各国の中銀が相次いで介入を実施している。
17日の段階から18日のG7財務相・中央銀行総裁会議で協調介入が決まるとの期待感が広がっていたことで、ドル/円は17日のうちに一時79円半ばまで3円以上戻し、18日の介入を受けてさらに82.00円まで上昇した。その後は、介入警戒感がドル/円の下値を支え、さらに利上げレースでの欧米に対する出遅れ感も響いて31日までに一時83.22円まで上昇。介入前の直近高値(3月11日の震災時につけた83.30円)に迫る局面もあった。
野田財務相が明らかにした3月の介入は18日だけで、市場でも介入は1回だけだったとみる声が多い。
(ロイターニュース 松平陽子 編集:佐々木美和)

2011年4月2日土曜日

来週4月4日~4月8日のドル円予想


来週の東京外国為替市場見通し=ドル・円の上値は限定的か、「FRB議長講演で米金利上昇にブレーキ」の声

4月1日(金)18時33分配信 モーニングスター
予想レンジ:1ドル=82円32銭-84円51銭

4日からの週、ドル・円の上値は限定的か。足元では米当局者の金融政策をめぐるタカ派的な発言がドル買いにつながっており、来週も要人発言に左右される可能性がある。1日のダドリー・ニューヨーク連銀総裁に続き、来週4日にはバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が講演する。いずれもハト派とみられているFOMC(米連邦公開市場委員会)の中心メンバーであり、「バーナンキ議長は米金利上昇にブレーキをかけるとみている」(大手信託銀行)との指摘が出ていた。

ドル・円は1日の東京時間に一時83円74銭まで上昇し、2月16日以来の高値を付けた。上値メドとして意識されていた東日本大震災発生直後の高値83円30銭を上回ったが、「上昇ピッチが急すぎる」(同)としていったん調整するとみる向きがある。ドル・円の下値メドは75日移動平均線が位置する82円32銭を想定している。

もっとも、1日の3月米雇用統計が市場予想より強い結果となれば、「来週はドル買い・円売りが加速するシナリオが想定される」(欧州系証券)との声が聞かれた。また、クロス円が一段高となれば、ドル・円が下支えされるだろう。「雇用統計が市場予想より大幅に悪い内容とならない限り、投資家のリスク選好は続くとみられ、円が売られやすい」(同)という。ドル・円は10年12月の高値84円51銭をレンジの上限とみている。

6-7日には日銀の金融政策決定会合が開かれるが、「東日本大震災の発生を受けて3月14日の会合で資産買い入れ基金の拡充を決定したばかりで、さらなる金融緩和策が打ち出されるかは不透明」(同)との見方があった。震災直後の日銀の追加緩和決定がドル・円の値動きに与えた影響が限定的だったこともあり、今回の会合もドル・円のトレンドを決定するような材料にはならないとみる。

ユーロをめぐっては、7日に開催されるECB(欧州中銀)理事会が最重要。市場予想は0.25%の利上げとなっている。ECBの利上げは「マーケットでほぼ確実視されている」(外為アナリスト)ため、利上げ発表後に利益確定でユーロがいったん売られる可能性がある。しかし、「ユーロは、ECBが年末にかけて何回の利上げを実施するかを織り込みにいく段階にある」(前出の欧州系証券)とされるだけに、ECB理事会後の記者会見でトリシェ総裁が追加利上げに向けて強い意志を示せば、ユーロは底堅く推移すると予想される。(坂本浩明)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。

提供:モーニングスター社

2011年3月27日日曜日

次週 3/28~4/2 ドル/円 予想


為替市場見通し:原発事故や協調介入の動向、米3月雇用統計に注目

3月26日(土)14時03分配信 フィスコ
■米利上げ時期が早まると見方からドル買いが優勢に

ドル・円は、G7(先進7カ国)の円売り協調介入への警戒感、福島原発事故が小康状態となったことを受けた円売り、米財務省による住宅担保証券(MBS)売却の発表を受けた米国債利回りの上昇に伴うドル買いで、80円63銭から先ず81円32銭へ上昇。その後、円売り協調介入がみられず、欧州信用不安(ポルトガル)やリビア情勢の緊迫化が嫌気されリスク回避の円買いになったことで80円70銭に反落。だが、80円50銭に日銀のドル買いオーダーが控えているとの憶測に下げ渋り、米10-12月期GDP確定値の上方修正、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁のタカ派発言を受けてドル買いが優勢となり、81円49銭まで上昇した。

■原発事故の行方、協調介入の動向、米3月雇用統計に注目

今後のドル・円は、福島第1原発事故の危機的状況の行方を見守りつつ、G7(先進7カ国)による円売り協調介入の動向、米国の金融政策の行方に大きく影響する米3月雇用統計の発表に注目しながらの取引になる。

原発事故が悪化の状況に向かえば、株安・リスク回避、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが再燃する可能性があり、その際は円売り協調介入とぶつかることになる。また、原発事故が小康状態を続ける場合は、経済指標の発表に注目が集まり、特に米3月雇用統計が予想以上の改善を示せば、18日介入時の戻り高値82円を試す可能性が高まる。そして、原発事故が鎮静化に向かう場合は、株反発・リスク回避後退、リパトリ思惑後退による自律的な円売りが優勢になり、経済指標の結果次第ではドルが一段高となる可能性がある。

3月18日に実施されたG7(先進7カ国)の日銀、英中銀、ECB(独、仏、イタリア)、カナダ中銀、米FRBによる円売り協調介入は、21日以降においてはまだみられないようである。引き続き今後の動向が注目されるが、当然のことながら野田財務相は「G7各国と適切に協力することを確認、引き続き市場を注視する」と述べている。

そして何と、シュタルクECB理事が「一段の円売り介入は日本当局次第」としながらも、「G7は必要な支援の用意がある」と発言。それに、ユンケル・ユーログル-プ議長も「行き過ぎた円高に対しストップサインを示すことは重要」「とりわけ日銀、FRB、ECBがこの動きに対し、引き続き協調行動を取っていく用意があることが理解されるべき」と述べており、元来為替介入に批判的な欧州勢の積極的な姿勢が目を引く。

EU首脳会議(24-25日)でも、日本に対して災害への協力、経済・金融での協調を表明(戦略的に関係強化することを次回首脳会議で議論)、G7の円売り協調介入を歓迎しており、欧州の今回のサポート姿勢は本物であると認識すべきと思われる。

なお、G7の介入姿勢については、今のところ連続的な動きがなく、80円50銭付近のまとまったドル買いオーダーが日銀との噂になっていることなどから、相場押し上げ型ではなく、一定水準の維持型との見方に傾いている。

日本の金融政策については、3月14日の日銀金融政策決定会合で追加緩和策(資産買入基金の拡充)を決定。潤沢な資金供給も実施されている。今週は、白川日銀総裁、宮尾日銀審議委員がともに「経済・物価の状況を点検し、必要なら適切な措置をとる」と述べており、状況によりさらなる追加緩和を検討する可能性を示唆している。

米国の金融政策については、3月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、出口戦略への動きはみられず、現行の政策が維持されている。今週は、フィッシャー米ダラス連銀総裁が「6月以降、緩和策の拡大、延長の必要はない」と述べ、量的緩和第2弾の満期終了を主張。また、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁が「FRBは、近い将来、出口戦略の開始が必要となる可能性」「政策金利の引き上げと保有資産規模の縮小を同時に」と発言しており、米国の利上げ時期が早まるとの見方が浮上している。なお、米財務省が「1420億ドルの政府保有の政府系住宅金融機関(GSE)の保証付き住宅担保証券(MBS)を、今月から売却していく(1カ月に最大で100億ドル)」と発表、財政政策における出口戦略への始動がみられた。

3月のFOMCでは米経済について、景気判断を上方修正し、「雇用市場の状況は徐々に改善」との見解が示されているが、4月1日に発表される米3月雇用統計が注目される。前回2月雇用統計は、失業率が予想外に低下し9%割れとなり、非農業部門雇用者数が19万人台の増加に改善している。3月は、失業率、非農業部門雇用者数とも2月水準並みの数値が予想されおり、雇用の改善傾向が続くとの見方になっている。

米国債の入札が、3月28日に2年債(350億ドル)、29日に5年債(350億ドル)、30日に7年債(290億ドル)の総額990億ドル予定されている。入札の結果を反映して、米長期金利が上昇すれば、ドル・円は仕組み債絡みなどのドル買いが強まり、金利が低下すればドル売りが強まることになる。


[予想レンジ]
ドル・円79円50銭-82円50銭

株式会社フィスコ

来週の東京外国為替市場見通し=ユーロ・ドルは強含みか、米雇用統計を失望ならドル売り加速

3月25日(金)18時23分配信 モーニングスター
予想レンジ:1ドル=80円00銭-81円98銭

28日からの週、ユーロ・ドルは強含みか。足元では欧州の財政問題をめぐり悪材料が相次いでいるが、ユーロ・ドルは底堅く推移している。4月7日開催のECB(欧州中銀)理事会で利上げが実施されるとの見方が強いなかで、来週はユーロを売りにくいとみる。

ユーロ・ドルについては、ドルの値動きが大きな影響を与えることも考えられる。4月1日には3月米雇用統計が発表される。「足元ではドル安基調が続いているため、米雇用統計が市場予想より弱い結果となってドル売りが加速する展開を警戒している」(中堅証券)との指摘が出ていた。原油価格の動向も重要。24日にはNY原油先物価格が一時1バレル=106ドル台後半まで上昇した。来週、リビアだけでなく、イエメンやシリア、バーレーンといった中東諸国の情勢がいっそう緊迫化して原油価格が上げ幅を拡大すれば、さらにドル安が進むとみる。

ユーロ・ドルは22日に一時1.4249ドルまで上昇。その後いったん1.40ドル台半ばまで下落したが、押し目買いの流入などで下げ渋った。来週は10年11月高値の1.4281ドルを上回るかが注目される。同水準を上抜けると、ユーロ・ドルは一段高が見込まれる。

もっとも、再びユーロが下押されるシナリオも想定しておきたい。市場では「ポルトガルがEU(欧州連合)・IMF(国際通貨基金)に支援要請するのは織り込まれている。より注意すべきはスペインの動向だ」(外為アナリスト)との見方があった。24日の東京時間には一部報道でムーディーズがスペインの銀行の格付けを引き下げる見通しと伝えられ、ユーロが売られた(実際に同日の海外時間にムーディーズはスペインの銀行30行の格付けを一斉に引き下げ)。引き続き同国の金融セクターや財政問題に関する報道を注視する必要がある。

ドル・円は年度末特有のフローで上下することも予想されるが、下値は限定的となりそうだ。福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故は予断を許さない状況が続いている。「動向によっては投資家のリスク回避姿勢が強まりやすいとみられ、円は売られにくい」(米系銀行)との声が聞かれた。ただ、「3月の決算期末にドル・円が80円を割り込んでいる状況は避けたいとして、日本の当局が介入に踏み切るとの警戒感は根強い」(大手金融機関)という。レンジの上限としては協調介入が実施された18日の高値81円98銭をみている。(坂本浩明)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。

提供:モーニングスター社

円高は日本を救う


為替市場の急激な乱高下は苛立たしいかもしれないが、大抵それだけのことである。逆に政府がその短い混乱に反応すると、長期的な影響を及ぼすこともある。主要7カ国(G7)が円高抑制目的で先週実施した協調介入は、まさにそのいい例だ。
woodfhk
 G7は、円相場の「過度の変動や無秩序な動き」―例えばドルに対する急激な円高など―は、「経済及び金融の安定に対して悪影響を与える」と述べた。しかし先進国の財務相は、自然な円高の流れを止めることで、東日本大震災で打撃を受けた日本から復興のチャンスを奪い取っているのである。仲間の国にダメージを与える政策に、その国からお墨付きを得た上で合意するなどというのは、G7としても初めてかもしれない。
 投機筋が1995年の阪神淡路大震災の経験をもとに円高を見込んで円買いに走っていると言う人もいる。阪神淡路大震災の後、保険会社は保険金支払いのために円を大量に買わなければならなかった。それにより、もちろん円は上昇。この説によれば、投機筋は将来の需要に便乗するために円を買っていることになる。ただ、この見解が正しかろうと間違っていようと、政府と中央銀行が経済政策全体を考慮すべきであることには変わりない。そして現在の状況下での政策は、日本経済のために円高を支持すべきなのである。
 まず、震災が日本製品の需給バランスにどのような影響を与えたかを考えて欲しい。日本はより多くの―それもかなり多くの―物資を必要としており、海外も今まで通り日本製品を必要としている。もちろん生産能力の大部分が震災の被害を受けたので、供給が激減した一方で需要が増加していることになる。そして日本製品が外国製品よりも不足し出すと、価格は必然的に上昇するので、円もドルやユーロに対して上昇することになる。
 投機筋が円の価値を吊り上げていると非難する人は、円高が日本にとって大惨事だと考えている。だが、円高は日本復興の妨げになるだろうか。円高反対派は生産の落ち込みを心配している。通常、需要の低迷が生産に影響するが、最近の日本は外需に頼ってきた。もし日本製品に対する外需の落ち込みが問題なのだとしたら、円高は確かに回復を遅らせる。
 しかし今回は状況が違う。日本のGDPは低下するだろうが、それは国内供給の落ち込みによるものである。その場合、食品や建設資材などの日本向けの供給を増やすことが重要になる。現状では、日本は出来るだけ物資を国内で消費し、輸出を最低限に留めたいだろう。そのために必要なのは輸入だ。円高は輸入コストを下げ、より多くの製品やサービスが日本に入りやすくする。
 早急に物資が必要な日本にとって、為替介入は危険である。介入は調整速度を緩やかにし、相場のボラティリティーを下げるという主張もあるが、逆に今は調整が早い方が日本に物資が入るのも早まる。ボラティリティーの急上昇は相場が適正な水準を見つける過程の一部であり、そのボラティリティーを下げることは結局相場安定を遅らせるのである。
 中央銀行はまた、介入は外貨準備高の増加に繋がると正当化する。しかし今の日本に他国のドルやユーロル建て資産は必要ない。日本には膨大な円建て資産があり、高い貯蓄率となって現れている。成長がこの先減速するかどうかに関わらず、今こそこの余剰資産を使う時なのだ。貯蓄を使えば、差し当たり収入に頼らなくて済む。日本が外国から容易に借り入れることができるかどうかは問題ではない。この貯蓄のおかげで、為替変動が資本の移動を低下させるという説―もともと正当性が怪しいが―は意味がないのである。
 もしこの為替変動が国内銀行システムの懸念材料となりパニックを引き起こす可能性まであるのであれば、日銀は流動性を提供するというお馴染みの方法で手を貸せばよい。しかし、流動性は一時的なもので、根本的に資本損失を解消することにはならない。海外の銀行や他の金融機関に資金を出してもらう方がよりよい策である。
 結果として、円高はこの悲劇からの復興に役立つだろう。G7は為替市場にその手を委ねるべきである。
(ジェフリー・ウッド氏は英カス・ビジネススクールの経済学名誉教授およびバッキンガム大学の金融経済学名誉教授)

2011年3月25日金曜日

介入は過度な変動あった時、今後もG7で適切に協調=野田財務相


[東京 25日 ロイター] 野田佳彦財務相は25日の参院財政金融委員会で、東日本大震災後の円高介入に問われ、「現在はあの時に比べれば為替相場は落ち着いてきている」との認識を示した。その上で、介入を決断する状況については、相場水準というよりも「過度な変動・無秩序な動きがあった時だ」と協調した。また再び円高が進行した際について、円高対策は介入だけではなく、その他のさまざまな経済対策も含めて「総合的な対策で対応する」とした上で、介入の効果について「協調介入は(単独介入よりも)はるかに効果的。今後もG7で市場の様子を注視して協調していく」と述べた。
 自民党の塚田一郎委員の質問に答えた。
 野田財務相は、介入時の相場状況について、生損保業界が円資金獲得のための海外資産を売却する必要があるとの根拠ない噂で過度な変動があったと説明。介入の必要が生じる時というのは「過度な変動と無秩序な変動があった時だ」と述べた。
 円相場のレンジがだんだんと円高方向に変化し、長期的に円高の流れが止まらないことへの対応について、相場水準にはコメントしないと断った上で「基本的には為替の相場は経済のファンダメンタルズを反映すべきというのは国際的な共通認識」だと述べ。
 「円高対策というのは、どうみても思惑による動き、過度な変動や無秩序な動き時の一つの対応が介入。ただ介入により対応するものと、そうでないさまざまな対策で対応するものがあり、総合的な対策で対応するもの」との考えを示した
 G7による協調介入について、国際社会が過度な変動に対する認識を共有できたためと説明。その上で「基本的には単独よりも協調介入の方がはるかに効果が大きい。これからもマーケットの動きを注視しながら適切に協調していく」との姿勢を示した。
 (ロイターニュース 中川泉 編集:吉瀬邦彦)

2011年3月23日水曜日

[外国為替市場展望:ドル・円相場]米FRBの金融政策に対する見方が焦点


3月20日(日)11時09分配信 サーチナ
【外国為替市場フューチャー:3月22日~25日】

■協調為替介入を継続的に実施するのかが焦点

来週(3月22日~25日)の外国為替市場で、ドル・円相場については、18日に合意したG7(日米欧主要7カ国)による協調為替介入の効果がどれくらい持続するのか、そして再びドル安・円高圧力が強まった場合に、協調為替介入を継続的に実施するのかが焦点となるだろう。したがって当面の外国為替市場は、神経質な展開となる可能性が高いだろう。

ドル・円相場については、大勢として1ドル=81円台~83円台のレンジでボックス展開が続いていたが、東北地方太平洋沖地震の発生で状況が一変した形である。前週(3月14日~18日)は、リバトリエーション(資金の本国還流)の思惑などで95年4月につけた史上最高値を突破し、日本時間17日早朝には一時1ドル=76円25銭まで円が急騰した。ただし週末18日にはG7による協調為替介入の実施で円が急反落するなど乱高下した。

急速なドル安・円高の進行については、G7による協調為替介入実施の効果で、一旦は落ち着いた形である。そして当面は、心理的な節目として1ドル=80円台を支えるだろうとの見方がある。また、東日本大震災が日本経済に与える影響を考慮すれば、いずれドル高・円安方向に向かうとの指摘も多い。

しかし一方では、協調為替介入に一定の効果があったとしても、東日本大震災前の水準まで円が下落する可能性は小さいとの見方が多い。さらに、協調為替介入効果そのものの持続性や、協調為替介入の継続性について疑問視する見方も多い。東京電力福島原子力発電所の緊急事態の動向によっては、再び円高が進む可能性も指摘されている。リバトリエーションの思惑、中東・北アフリカ情勢の緊迫化、原油先物価格の上昇、米国長期金利の低下などによって、再びドル安・円高圧力が強まる可能性も警戒されている。その場合に、協調為替介入が継続されるのかが、今後の注目点となるだろう。

基本的には主要国の金融政策の動向が注目点である。世界的なインフレ懸念を背景として新興国での利上げが相次ぎ、ECB(欧州中央銀行)による4月利上げ観測も高まっている。米FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和策第2弾(QE2)については、予定どおり11年6月末で終了するとの見方が優勢になっているが、その後は出口戦略に向かうのか、量的緩和策を継続するのかなど、米FRBの金融政策に対する見方が大きな焦点となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

22日の東京外国為替市場=ドル・円は上値重い、「戻りを売りたい市場参加者多い」との声


3月22日(火)16時25分配信 モーニングスター
 22日の東京外国為替市場で、ドル・円は上値の重い展開。輸出企業のドル売りが流入した。18日にG7(主要7カ国)の各国中銀が協調介入を実施。ただ、「介入実施後もドル・円の戻りは鈍い。再び円高が進むとみて輸出企業を中心に戻りを売りたい市場参加者は多い」(中堅証券)という。もっとも、「日経平均株価の大幅上昇を受けて投資家のリスク許容度が改善したことがドル・円の下値を支えた」(大手金融機関)との声が聞かれた。

18日にはG7の各国中銀が協調介入に踏み切ったことで、「目先は極端な円買いの進行は想定しにくい」(前出の中堅証券)との声が出ている。しかし、一方で「再び80円を割り込むと介入警戒感がさらに高まるとみる。ただ、介入が行われたあとに付けた18日の高値が82円ちょうど近辺だったため、再度介入が実施される場合でも同水準を超えてドル・円が押し上げられるシナリオは考えていない」(前出の大手金融機関)との見方も出ている。午前7時以降、ドル・円は80円86銭-81円30銭で推移している。(午後3時30分現在)

ユーロ・ドルは方向感が出なかった。一時1.4232ドルまで上昇し、21日のNY時間の高値1.4240ドル(10年11月5日以来約4カ月半ぶりの高値)に迫ったが、「新たなユーロ買い材料に欠け、伸び悩んだ」(同)とされる。「リビア情勢や福島第一原子力発電所の事故への懸念が一段と高まり、再び世界的な株安が進めばユーロに下押し圧力がかかる」(同)との警戒感がユーロの重しとなっている。午前7時以降、ユーロ・ドルは1.4203ドル-1.4232ドルで推移している。(午後3時30分現在)
(坂本浩明)

提供:モーニングスター社

2011年3月21日月曜日

下げ止まりに賭けドル円押し目買い継続


2011年03月21日13:06

先週のドル円相場は76.25と史上最安値を更新する場面がありました。

18日には協調介入が実施され82円付近まで反発、80円台半ばでクローズしています。

昨年9月の円売り介入も1日のみで終了しており、その後は最初に円売り介入を実施したレベルを下抜けしています。

おそらく過去の事例に基づいて様々な憶測がでてくる1週間となりそうです。

今回最初に介入が実施された東京時間のレベルは79円台前半だったと記憶しています。

トレーダーは一旦このレベルを気にすると思われます。

今後の介入スタンスがどうなるのか?

予想できそうで出来ないものなのかもしれません。

個人的には今回の日本を取り巻く環境は過去になかったものだと考えています。

現状の史上最安値76.25を下抜け、70円台前半が長期間定着するような展開はあまりにも厳しいと考えています。

過去の介入実施時のデータは無視して75円レベルを底に見てドル円押し目買いを続けてみたいと思います。

リスク要因は2つ、福島原発問題と中東リビア情勢で悪化すればリスク回避となる可能性があります。

福島原発問題と中東リビア情勢の注目度が非常に高まっており、経済指標の関心度は下がると思います。

今週は指標よりも原発とリビア情勢を睨みながらの相場をイメージ、投資戦略はドル円押し目買い。

※最終的な投資判断は必ずご自身でお願いいたします。

参照元:ZEROのデイトレブログ

欧州市場の入口付近には注意! リビヤ情勢も気になるところ


先週の海外市場では、ドル円はさらに一段高することなく、ロング勢の調整売りが進んでしまった。ドル円か、もしくはユーロ円での買い玉が出てくることを期待していた人々からしてみれば、完全に足を踏み外された格好となっている。
 週末にはリビアへの空爆が開始され、これがフレッシュな材料をマーケットに与えそうだ。本日の朝は80円台の後半で始まり、そのままの小動きがずっと続いている状態。
日本がお休みなので、日銀などからの積極的なアクションはないだろう。
82円ちょうど近辺まで上がってしまったことで、前回の介入時の上昇分と同じ幅を稼いだこともあり、妙な達成感も出てきている。
ともかく協調介入ということになっているので、欧州市場、ニューヨーク市場での入口付近の値動きと、要人発言などが聞こえてくるかどうかにも、十分に注意しておく必要がある。
まあ、そうした状況もふまえて、やはり夕方にかけてはドル円を売り込んでいったほうがワークしそうな感じもしている。

2011年3月20日日曜日

為替市場見通し:いったんドル戻り余地を探る、リパトリ思惑で円買いも根強い


■76円25銭まで一気に円最高値更新後、協調介入でドル反発

ドル・円は、日本の大地震を受けた株安・リスク回避や、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが先行、週明けのシドニー市場で80円60銭へ続落後、日米協調円売り介入の可能性、日銀による過去最大の資金供給、海外投資家による日本株売り・円売りなどを受けて82円46銭まで上昇。

だが、東京株式市場が福島第1原発事故を受けて1000円超の急落となったことで、リスク回避、リパトリ思惑の円買いが再燃。福島原発事故の深刻化を受けた株安に連れてリスク回避の円買いが加速、オプション絡みのストップ・ロス、ドル買い持ちポジションの手仕舞いなどのドル売りで76円25銭まで急落。円の史上最高値を更新した。

その後、緊急G7(先進7カ国)財務相電話会談の開催発表を受けて円売り介入への警戒、本邦輸入企業・機関投資家、海外投資家のドル買いで79円台に戻し、18日朝のG7財務相・中銀総裁電話会議での円売り協調介入合意、日銀、英中銀、欧州中央銀行(ECB)、カナダ中銀、米FRBの円売り介入を受けて82円に反発した。

■今後の介入姿勢など見極めつつ、一旦ドルの戻り余地探る展開

今後のドル・円は、G7(先進7カ国)で円高阻止の協調介入が合意され、円売り介入が開始されていることで、今後の介入姿勢などを見極めつつ、いったんドルの戻り余地を探る展開が見込まれる。ただ、目先は基本的に福島原発事故の危機的状況の行方如何であり、株安・リスク回避、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが継続する可能性が残る。一方、鎮静化方向への兆しがみられるとすれば、株反発・リスク回避後退、リパトリ思惑後退による自律的な円売りが優勢になる。83円台以上では本邦輸出企業のドル売りオーダーが残るとみられる。

日本問題(東北関東大地震・津波による激甚被害、福島原発事故の危機的状況)を受けた株安・リスク回避の円買い、リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが続き、ドル・円はこれまでの円最高値79円75銭(1995年4月19日)を更新、3月17日に76円25銭を記録した。

その後、ラガルド仏財政経済産業相が大地震を受けた日本の債務・金融問題を話し合うG7電話会議を提案。日本時間18日朝のG7財務相・中銀総裁による緊急電話会議で円高阻止の協調介入が合意され、日銀がドル買い・円売り介入を79円台から実施してドル・円は81円台に反発。欧米市場では、英中銀、ECB、カナダ中銀、米FRBの円売り介入を受けて82円まで反発した。野田財務相は「特定の水準を目指すものではない」としているが、目先は今後の介入姿勢が注目され、介入の規模、相場押し上げ型か、一定水準の維持型かなどを見極めることが必要になる。

3月14日に開催された日銀の金融政策決定会合では、「無担保コール目標を0-0.1%で推移させるとの調整方針を全員一致で維持」。そして、「資産買入基金を総額5兆円から10兆円に拡充」との追加緩和策を決定した。白川日銀総裁は「潤沢な資金供給を行い、金融市場安定に万全を期す」と発言。日銀は、当日過去最大の資金供給を行い、その後も大量の資金供給を続けている。17日のドル・円での円史上最高値の更新により、一段の金融緩和観測も浮上しており、今後も動向が注目される。

15日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利0-0.25%の据え置きを決定。注目された声明文の「政策金利を“extended period長期にわたり”極めて低水準で維持することを予想」との文言を継続、そして、「6月末までの6000億ドル規模の米国債購入計画を維持」、それらは「全会一致で決定」となり、出口戦略への動きはみられなかった。ただ、米経済について、「米国の回復は以前に比べ安定している」として景気判断を上方修正。「雇用市場の状況は徐々に改善」との見解を示しており、量的緩和第2弾は6月末で終了の見方がさらに強まる状況になっている。

今後の主な予定は、21日(月):(日)休場(春分の日)、(米)2月中古住宅販売件数、22日(火):(日)1月全産業活動指数、(米)1月住宅価格指数(連邦住宅金融局)。23日(水):(日)宮尾日銀審議委員会見、(米)2月新築住宅販売件数、バーナンキ米FRB議長講演。24日(木):(日)2月貿易収支、(米)2月耐久財受注。25日(金):(日)2月全国・3月東京都区部消費者物価指数、(米)10-12月期GDP確報値、3月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値。

[予想レンジ]
ドル・円78円00銭-83円00銭

《TN》
株式会社フィスコ

来週の東京外国為替市場見通し=福島原発にらみ継続、協調介入も1ドル84円突破にはドル高材料必要


予想レンジ:1ドル=80円00銭-84円50銭

21日からの週は、福島第一原発の事故に絡む混乱が収拾に向かう兆しが出ない限り、外国為替市場は同原発関連のニュースフローや各国株式の値動きに敏感に反応する展開が続くだろう。放射能漏えいへの危機感から投資家がリスク回避目的の円買いを強めた結果、ドル・円は日本時間17日早朝に戦後最安値を更新。一時76円25銭まで急落した。日本時間18日にはG7(主要7カ国)財務相・中央銀行総裁が電話会談を行い、協調介入の実施で合意。ドル・円は急回復を遂げたものの、福島第一原発の事故をめぐって事態が一段と悪化すれば、再びリスク回避の円買いが進む可能性は否定できない。

G7の協調介入に関しては、18日公表の声明文で「日本における悲劇的な出来事に関連した円相場の最近の動きへの対応」と明記され、今回の協調介入があくまで東日本巨大地震後の円急騰を受けた緊急の措置であることが示された。市場では「震災前の水準をさらに上回るようなレベルまでドル・円が上昇するのは難しいのではないか」(三菱東京UFJ銀行 市場営業部 シニアアナリスト・内田稔氏)との見方が出ている。

東日本巨大地震の前、ドル・円は84円ちょうどを上限とするレンジ推移となっていたため、84円台を固めるには新たな材料が必要になりそうだ。

しかし、ドルには弱い材料が増えつつある。投資家のリスク回避行動の鮮明化で米長期金利は足元で低下基調をたどっている。一方、バーレーンやリビアの情勢不安を材料視してNY原油先物は再び騰勢を強め、ユーロ・ドルは1.4ドル台を回復。NY原油先物が来週一段と上昇すれば、ドルはさらに圧迫されるだろう。

今週は福島原発の状況悪化への懸念からNYダウが16日に急落。外国為替市場は各国株式の値動きに影響され、米国の経済指標への反応はきわめて限定的だった。福島第一原発での事故をめぐる事態が収束に向かえば、マーケット心理も落ち着き、米経済指標を吟味するもとの相場つきになりそうだ。米経済指標では住宅関連指標(21日に2月米中古住宅販売件数、23日に2月米新築住宅販売件数)が発表されるほか、24日には週間新規失業保険申請件数が発表される。(和田崇彦)

◎関連情報は投資の参考として情報提供のみを目的としたものであり、為替取引に当たっては自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします。

提供:モーニングスター社

第399回 2011年3月17日~23日の為替見通し


2011年3月17日
ジャパン・ショックによる株安、通貨変動でケモノ道を歩む展開です。人間はさまざまな解説を聞いて、自身の強気、弱気のバイアスによる判断で行動しますが、ケモノは存亡の危機を本能的に察知してリスク回避行動をとります。
阪神淡路大震災の時、犬は隊列を作って町から遠ざかっていったのに、人間は(救済や自身の用事から)被災地に向かっていったと被災された作家が語っておられました。どの道を行くかは自分で判断するほかありません。
日本人は長年豊かに暮らしてきましたから、本当に怖い、リスクは負えないという切迫した経験が乏しい人もいます。
日本の株式市場は1995年1月の阪神淡路大震災から五ヵ月後に当時の底を入れました。今回の東日本関東大震災では震災ショックによる安値にとどまらず、原発事故によるショックとアメリカの国債の買い手としての日本の財政が急速に悪化するリスクの3点が強烈です。
まず、為替面ではドル円で76円を見たことで一番底がこれで済んだかどうかの検証のための時間が必要です。次の安値が76円を下回らなければ76円が一番底とわかりますが現状では戻ってもまたドル売り円買いになり円高が当面続くと思われます。
次に懸念されるのはアメリカ国債の主要買い手の日本にその余裕がなくなることでアメリカの財政問題が心配の種になり、ニューヨーク工業株が下落する懸念があることです。これでドル安が進行し、円高ストレッチの二番目の装置になる可能性があります。
余裕があれば短期で資金効率を高めるといいでしょう。余裕がない場合は思わぬ展開が待ち受けている可能性を十分考慮して、軽々しく動かないことです。海外の投資家がどう判断するか、日本人の実感とずれがあることを忘れないようにしましょう。
●ドル円相場の見通し
この数日、原発爆発が猶予されている現状であれば78.64~79.28円あたりで行きつ戻りつが続くと思います。
●ユーロ円相場の見通し
同じ条件で109.67~110.16円
●豪ドル円相場の見通し
同じ条件で76円の攻防が続くでしょう。78円まで戻れていますが70円われのリスクは残っています。短期で余裕資金がある場合以外は買いは進められません。

ドル円1週間の歩みと来週相場の注目点(H23.3.19)






こんばんは。

今週のドル円相場は木曜日に戦後最安値(=円の最高値)となる76円25銭まで下ヒゲを伸ばして差し込んだ後、金曜日に実施されたG7協調円売り介入を受けて一時82円台目前まで急騰、その後は戻り売りに押されつつも80円台半ばで引ける、という大荒れの展開になりました。

1週間の動きを振り返ってみると・・・

【月曜日】
東京早朝は81円70銭台。震災復興に必要な円資金確保の目的で日本企業や金融機関が外貨資産等を売却するのではないかとの思惑などから一時80円60銭付近まで円高ドル安が進んだが、日本政府要人等の発言によって喚起された為替介入への警戒感が強まるとすぐに81円台に押し戻される。その後、日銀の即日オペによる大量の資金供給策が相次いで発表されると、一時82円40銭台まで上ヒゲを伸ばす。ただし、この水準では上値も重く、その後はジリ安推移となって東京午後の時間帯は82円10銭台を中心とするレンジで小康状態。欧州勢力参入後、序盤は日本株大幅安の余波で欧州株が弱含んで対欧州通貨を中心にクロス円が水準を切り下げると、ドル円も連れ安して81円70銭台に下落。その後も欧州株睨みの展開となり、主要欧州株が切り返すと82円台前後に持ち直し、欧州株が反落すると再び81円70銭台に押し戻される。NY勢力参入後、米国債利回りの低下などを手掛かりにした円高ドル安が進み、81円50銭台までジリジリと値を下げる。その後、米国債利回りが下げ幅圧縮に転じ、米国株も切り返してくると81円60-70銭台まで買い戻され、東京勢の参入待ち。

【火曜日】
東京早朝は81円60銭台。序盤はドル買いやや優勢で81円90銭台に乗せる場面があったが、原発事故の深刻化を受けて日本株が大幅に下落するとクロス円も巻き込んだリスク回避の円買いが進み81円20銭台に下落。その後、日本政府による為替介入の噂などから82円00銭台まで急騰する場面もあったが、憶測の域を出ないとの見方が広がるとすぐに押し戻されて81円30-60銭台で不安定な上下動。午後に入り、日本株が買い戻されて下げ幅圧縮に転じるとドル円も81円80銭台まで買い戻されたが、この水準での上値は重たい。欧州勢力参入後、主要欧州株が軒並み軟調に推移すると、リスク許容度圧迫型の円高観測が再び蒸し返されて円全面高の動きが強まり、ドル円は81円台を割り込んで80円80銭前後まで下落。NY時間帯に入り、FOMCを控えた様々な思惑が交錯する中、序盤は80円70銭台から81円00銭台で神経質な動きが続く。その後、円買いが優勢になる局面では80円60銭まで下落する場面もあったが、年初来安値にほぼ面合わせした水準では底堅く、ショートカバーで81円20銭付近まで反発した後、80円90銭台でFOMCの結果待ち。注目のFOMC声明文では景気判断が上方修正されたものの、米国債購入計画と長期間にわたる超低金利政策の継続判断は据え置かれたことからドル円相場は複雑な反応。いったん81円08銭前後まで上ヒゲを伸ばした後、80円85銭前後まで値を下げる。NY引けにかけては再びドル売り優勢となり、80円70銭前後まで続落して東京勢の参入待ち。

【水曜日】
東京早朝は80円70銭前後。日本政府の円売り介入への警戒感や寄り付き後の日本株の大幅高を好感したクロス円の上昇などを背景に午前中に一時81円17銭界隈まで上昇するが、この水準では上値が重く福島原発続報を嫌気して日本株が上げ幅圧縮に転じると正午過ぎには80円70銭台に押し戻される。午後に入り、日本株が引け前に再び上昇すると一時80円98銭前後まで買い進まれるが81円手前で息切れすると80円80銭前後に反落。欧州時間帯に入り、欧州株の上値の重さを背景にクロス円が下落するとドル円も連れ安して80円60銭台に下落。NY時間帯に入り、序盤に発表された米2月住宅着工の弱い結果を嫌気して80円40銭台に続落。その後いったん80円80銭台まで値を戻す場面もあったが、福島原発への悲観論を背景に米国株が大幅に下落するとリスク回避の円買いの思惑が強まり日本時間未明には1995年4月に記録した円の戦後最高値79円75銭を断続的に割り込む。

【木曜日】東京朝6時過ぎの段階で79円50-60銭台。前夜のNY市場の流れを引き継いで円高圧力の強い展開が続く。早朝薄商いの時間帯を狙った円買い仕掛けの噂などから一段の円高が進むとクロス円も巻き込んだ損失覚悟の外貨売りが連鎖して6時20分過ぎには一時76円25銭と円の戦後最高値を大幅に更新。急激なドル売り・円買い一巡後は、本邦通貨当局の介入警戒感やG7電話会議での市場安定化策への期待などから79円70銭台に反発したが、この水準での上値の重さを確認すると79円00銭前後まで押し戻される。その後はしばらく78円90銭台から79円10銭台で様子見となり、日本株の下げ幅圧縮を好感したクロス円の上昇に連れて79円40銭台に上伸する場面もあったが、引けにかけて日本株が再びダレると79円00銭付近に押し戻される。欧州勢力参入後、上海株の下落を嫌気したクロス円の下落が目立つ場面で78円60銭付近まで値を落とすが、引けにかけて上海株が持ち直すと79円20銭台に買い戻されるなど不安定な展開が続く。その後は他通貨市場睨みの展開となり、対欧州通貨を中心にドル売りの動きが強まるとドル円でもドル売り優勢となって78円20銭台まで値を落とす。ストレートドル市場でのドル売りが一巡するとドル円も買い戻されて78円60銭台へ。NY時間帯に入り、序盤に発表された米失業保険新規請求件数の良好な結果を手掛かりに78円90銭前後まで上昇。その後はしばらく78円50-80銭台で小康状態にあったが、78円台半ばでの底堅さを確認すると徐々にショートカバーが優勢になり、日経新聞社による「G7電話会議の共同声明で日本の為替介入容認姿勢が示される」との報道が伝わると79円30銭台まで買い戻される。その後は売買交錯し、78円80銭台から79円10銭台のレンジで一進一退。

【金曜日】東京早朝は78円80-90銭台。日本時間7時に始まったG7電話会議への期待感から79円台半ばまで上伸した後、G7協調為替介入合意に基づき日本政府が円売りドル買い介入を実施すると約30分間で81円48銭前後まで急騰。本邦実需のドル売りなどからいったん81円06銭付近まで小緩んだが、その後もジリジリとしたドル高・円安の流れが続き、日本株引け後には一時81円90銭前後まで続伸。欧州勢力参入後、序盤はG7協調介入の本気度を試したいとのムードから81円70銭前後まで下落。ロンパチ通過後、欧州当局による協調円売り介入実施の噂が流れるとクロス円が一斉に上ヒゲを伸ばしてドル円も81円98銭付近まで急騰したが、断続的な戻り売り圧力の強さを確認すると81円20銭台まで反落。その後、独仏英伊の各国中銀及びECBのG7声明に基づく協調介入への参加が確認されると徐々に盛り返し、81円50銭前後に上昇。NY時間帯に入り、カナダ中銀、米FRBによる円売り介入への参加が相次いで確認されると一時81円74銭付近まで続伸したが、海外中銀による介入規模はそれほど大きくないのではないかとの見方が強まると戻り売り圧力が優勢になり、ストップロスを巻き込んで80円80銭付近まで大きく値を下げる。その後はいったん81円20銭台まで買い戻される場面もあったが、米国株、米国債利回りが上昇幅を圧縮したことがドル売り・円買い材料視されたほか、トリシェECB総裁によるインフレタカ派的発言を受けてユーロドル市場でドル売りの動きが強まった影響などからストレートドル市場全般にドル売りの流れが強まると、ドル円も再び81円台を割り込んで80円70銭台へ反落。本邦通貨当局の介入が背景と噂される国内大手銀行からのドル買い注文への警戒感から一旦下げ渋って80円90銭台に持ち直したが、81円台目前で伸び悩むと最終盤にかけては再びドル売り優勢になり、80円60銭前後まで下落して週末の取引を終了。

・・・という流れでした。

<三角持ち合い下抜け後の協調介入でドル円は微妙なチャートフェイスに>
今週のドル円相場は「木曜日の未明から早朝にかけて急激に進んだ円全面高の流れの中で一時76円25銭と日本円の戦後最高値を更新した後、金曜日に実施されたG7協調円売り介入を受けて一時82円台目前まで急騰、その後は戻り売り圧力にに押されつつも80円台半ばで引ける」という大波乱の展開になりました。この結果、ドル円相場のチャートを週足でみると、昨秋から形成してきた三角持ち合いを明確に下抜けした一方、週足のローソク足は「下影陰線たぐり足」となりました。テクニカルの教科書では「三角持ち合いの下抜けは下落トレンド発生の予兆」だとされる一方、「下ヒゲが長く伸びた下影たぐり足は安値圏で表われた場合は上昇転換を暗示する」ことが多いと言われています。三角持ち合いを下抜けした直後に実施されたG7協調円売り介入の影響で、ドル円のチャートフェイスは再び解釈が分かれそうな外見となって今週の取引を終えました。今後のドル円相場が一段の下値追求に向かうのか、或いは底値を固めて反発するのか、引き続き議論が分かれそうです。相場の深奥に潜む真のトレンドを発掘するのは容易ではありませんが、その手掛かりとなる来週の注目材料を挙げておきましょう。

<来週の注目点その1:当局の為替介入姿勢及びその効力の見極め>
来週の注目点としてまず挙げられるのは、当局の為替介入姿勢とその効力です。今回の介入に対するドル円相場の初期反応を見ると、午前9時すぎに介入実施の一報が伝わる前の79円20銭前後の水準から午後5時過ぎに欧州当局の介入に反応して一時81円98銭前後に持ち上げられるまで、最大2円80銭程度の円安・ドル高方向への水準シフトが観察されました。今回の為替介入は、(1)G7声明文や要人発言による口先だけの牽制ではなく実弾の円売り介入が伴っている、(2)日本政府の単独行動ではなく米英独仏伊欧加による協調行動を伴っている、(3)日銀による量的緩和の拡充など国内金融政策の方向性とも合致している、という点において、私が為替介入の効力を推し量る際の基準と定義している3つの尺度に基づく8通りの組み合わせの中では最強のメッセージ性を持つ政策(この点についての詳細は割愛しますが、ご興味のある方は、2009年10月5日付けの外為の杜(もり)第10号、「日本の為替介入を巡る議論について」をご高覧ください)に仕上げられています。今回の円高局面では木曜早朝の約20分間という非常に短い時間帯に一気に3円超もの円高が進んだのが特徴で、その約20分間に日米経済・金融の基礎的条件の劇的な変化を想起させる材料提示があった訳でもありません。「ファンダメンタルズから乖離した過度の変動を抑えたいという意思を市場に示す」ことが為替介入政策本来の目的であることを踏まえると、未曾有の自然災害による国難への迅速な対応が求められている現下の局面において、ごく短期間に国際協調型の為替実弾介入に向けた意見集約にまで漕ぎつけた本邦当局の努力と諸外国の協力には敬意と謝意を表するべきであり、その意味において今回の為替協調介入劇は良い意味でのサプライズを市場に与えました。ただし、為替相場の動向及び水準に深い利害関係を有する市場参加者の間では、「昨年9月15日の為替円売り介入が短期的には劇的な効果があったものの、1日だけの単発に終わったことも一因となってその後は介入の神通力が徐々に薄れて米国の金融緩和に起因するドル安円高圧力に押し切られた」という記憶の残像がまだ鮮明に残っています。当時の為替介入は日本政府単独であったのに対して今回は国際協調介入であることを考慮すると、投機色の強い円高圧力を抑制する力はそれなりに期待できそうな気もしますが、竜頭蛇尾に終わった印象もある昨年9月の介入劇の経験も踏まえた上で、来週週明け以降、当面は必要に応じて断続的な為替介入政策が発動されるのかどうかが注目されることになりそうです。

<来週の注目点その2:本邦の震災被害及び原発事故に関する続報>
来週の注目点として、日本側の要因では、震災被害の影響や原発事故処理の行方に関する続報が挙げられます。東日本大震災による甚大な被害及びそれに誘発された福島原発事故が為替相場に与える影響としては、「日本の景況感下振れでリスク許容度が圧迫されて国境を跨る積極的な国際資本移動が手控えられると経常収支黒字に由来する円高圧力の存在感が増すのではないか」との観測や、「震災復興に必要な資金を確保するために日本の企業や金融機関が外貨資産売却に動くのではないか」との思惑、などを背景にした円高論が根強い一方で、「今後の財政出動と税収の落ち込みで日本の財政赤字が一段と膨張すれば通貨価値に対する脅威になりうる」、「震災リスクや放射能リスクへの懸念を背景に外国企業のアジア拠点の日本離れや日本企業の生産・活動拠点の海外シフトが一段と進む可能性がある」、などの議論を背景にした円安論も取り沙汰されているのが実情です。実際には、非常に複雑な為替相場の値動きの中から「震災・原発の影響」だけを純粋に抽出して検証するのは技術的にみて不可能なため、現在は円高論者と円安論者の我田引水的な解釈がぶつかり合って千載不決の神学論争がそのままの形で市場に流布しています。想定外の相場環境に巻き込まれた時の人間心理はどうしても「過去の似た局面を探して参考にしたい」となりますが、残念ながら現在と類似した局面はあっても完璧に同一の局面はありません。例えば1995年1月17日の阪神淡路大震災の時は、確かにその後数ヶ月間で急激な円高が進んで79円75銭と円の戦後最高値が更新されましたが、4月下旬のG7声明で有名な「秩序ある反転合意」が打ち出されてその前後に協調為替介入が実施されるとその後は大幅な円安に転じました。当時のドル円相場は、対日通商交渉と絡めて強力な円高ドル安政策を前面に押し出していたベンツェン米財務長官の後を引き継いだルービン財務長官が阪神淡路大震災発生の約6日前に就任して「強いドルは国益」政策を唱え始めた米為替政策の端境期にあり、ドル円相場の変動の主役は第1期クリントン政権下での財務長官人事だったとの印象が強烈でした。その他の事例に目を転じると、今回の日本同様に巨大地震による津波によって甚大な被害が引き起こされた1994年12月26日のスマトラ島沖大地震のときは、主な被災国通貨であるインドネシアルピアとスリランカルピーの対ドル相場はともに越年後数週間にかけて自国通貨高圧力に見舞われましたが、その後インドネシアルピアは大幅な自国通貨安になったのに対して、スリランカルピーはやや売り戻されたものの被災前よりも自国通貨高の水準にとどまるなど、マチマチの動きをしています。米国の歴史に残る災害勃発時のドル円相場の動きをみても、1994年1月のノースリッジ大地震や2010年4月のメキシコ湾原油流出事故の後は大幅なドル安が進行した一方で、2001年9月の米同時多発テロや2005年8月のハリケーン・カトリーナ襲来の時は一時的なドル安の後、大幅なドル高が進んでおり、こちらもマチマチの展開になっています。想定外の甚大な災害が発生すると、世上の耳目がそれに集中するため、どうしても「震災の影響で為替相場は上か下か?」といった二者択一型の議論が喚起されますが、現実の為替相場はそれほど単純ではないため、過去の被災通貨の「その後」は必ずしも一様ではありません。来週も震災・原発事故関連の続報が注目されるとみられますが、個人的にはそれらと為替相場の反応を直接結びつけて議論するのは難しいと考えており、国内外の株価や景況感への影響も踏まえて判断したいと思っています。

<来週の注目点その3:地道な米国経済・金融政策ウォッチング>
近年のドル円相場の動きを冷静に振り返ってみると、趨勢的なベクトルは概ね米国の景気・金融政策運営への期待の変化を反映してほぼ決まっていた印象が強く、日本側の景況感や経済政策あるいは政局などがドル円相場の地合いを支配していたような痕跡は殆ど認めることができません。当面のドル円相場は為替介入の効力を巡る議論や震災・原発関連の続報にアンテナを張った神経質な展開が予想されますが、相場の底流を支配する本筋の要因はやはり今後の米国経済動向だと思われます。すなわち、今後米国景気の回復力が低迷して年後半に量的緩和第3弾が必要になる場合は、どんなに為替介入をして投機的な円高圧力の封印を試みてもファンダメンタルズに由来するドル安圧力に押されて円高が進むと考えられる一方、今後米国景気の回復力が向上して量的金融緩和は現在実施中の第2弾で打ち切りという状況になれば、為替介入で頑張る必要もなくファンダメンタルズに根差したドル円相場の安定化圧力が増してくるとみられます。東日本大震災の発生後、米国経済指標の存在感はやや希薄になっている印象もありますが、大局的な相場判断の軸足は地道な米国経済の観察活動に据えて動かさないことが大切だと思います。最後に来週の米国経済・金融関連のイベントとその注目点を挙げておきます。

【月曜日】3/21
23:00 米2月中古住宅販売件数

【火曜日】3/22
20:30 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演
21:00 ピアナルト・クリーブランド連銀総裁講演
23:00 米1月FHFA住宅価格指数
23:00 米3月リッチモンド連銀製造業指数

【水曜日】3/23
23:00 米2月新築住宅販売件数
25:00 バーナンキFRB議長講演

【木曜日】3/24
21:30 米2月米耐久財受注
21:30 米3/19までの週の失業保険新規申請件数

【金曜日】3/25
08:30 デュークFRB理事講演
18:00 コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁講演
20:30 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演
21:30 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
21:30 米10-12月期GDP(確報値)
22:15 ロックハート・アトランタ連銀総裁講演
22:55 米3月ミシガン大消費者信頼感指数(確報値)
25:15 プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁講演
26:00 米財務省10年インフレ連動債入札

<米国経済指標とFOMC明けのFRB要人発言に注目>
経済指標関連の指標については、材料としてやや迫力不足の感があります。月曜日から木曜日にかけて発表される予定の米住宅関連指標や製造業関連指標はそれなりに注目ですが、単独の結果でFRBの金融政策運営に対する期待を大きく変えるような顔ぶれではありません。金曜日に発表されるGDPやミシガン大指数も速報ではなく確報値なので事前の注目度はかなり低めです。毎週申し上げていることですが、個人的には米金融政策運営の先行きを読む上で最も大切な雇用情勢のモニタリングという観点から、毎週木曜日に発表される失業保険新規請求件数に注目しています。毎週の結果にはブレがあるものの、最近は基調を示す4週移動平均値が40万件を割り込んで改善の兆候を示し始めているため、その傾向が継続するのか否かが重要なチェックポイントになりそうです。このほか、来週はFOMC前の沈黙期間が明けて、何人かの地区連銀総裁やバーナンキFRB議長の講演などが予定されています。今週のFOMC声明文では長期間に及ぶ超低金利政策の正当性を述べた「時間軸文言」は維持されたものの、FRBの景気判断が上方修正されていたことが話題になりました。当面の米金融政策運営については、現在実施中の量的緩和第2弾(QE2)による国債買い取り計画が満了する6月末以降の追加緩和の有無が注目されていますが、バーナンキFRB議長のこれまでの市場との対話の履歴をみる限り、事前にある程度の予告をして市場の期待の地均しを行ってから実際の政策変更に踏み切るスタイルを採用しています。量的緩和を打ち切るか追加するかの2択問題に関する回答期限までにはまだ数カ月程度の時間がありますが、来週以降は米FRB要人の景気判断や金融政策に関する発言録がこれまで以上に注目されることになりそうです。

<追記>東日本巨大地震の発生から1週間以上が経過した現在もなお、被災の全貌が分かっていない状態が続いており、震災による死亡が確認された方の数は今もなお日を追うごとに増えています。福島原発の事故処理もまだまだ予断を許さない状況が続いており、東日本地区の電力供給の不安定感も解消される兆しがまだ見えていません。私の住んでいる地域も計画停電の対象になっていますが、駅前の商店街や飲食店の様子などをみるにつけ、電力の安定供給が如何に経済活動にとって大切なものなのかを実感させられる日々が続いています。地震、津波、原発事故によって直接被災した地域の方々に比べれば、こうして普通の生活や仕事を続けさせて頂いているだけで有難いと思いますが、直接被災していない地域の経済活動まで広く停滞した状態が長く続くと、被災地の復興に必要な国全体の活力まで蝕まれてしまうことが懸念されます。原子力発電所の事故対応に直接取り組んでいらっしゃる現場の方は本当に大変だと思いますが、その努力が実を結んで国難克服の曙光が一刻も早く見えてくることを祈念しています。

震災後の円高の背景について



震災直後から円は急騰し、本日は76円台をつけ、戦後最高を記録した。 これだけの急激な変動は投機筋の思惑によるところが強いと考えられる。 そしてこの事態に為替介入の準備は既に万全との見方もあり、既にそれを警戒した動きもあるようである。



非情な投機筋、非常事態の日本に追い打ち 介入・G20協調急務
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110317/fnc11031721140027-n1.htm
Japanese Ministry of Finance: ‘Ready for Battle’
http://blogs.wsj.com/marketbeat/2011/03/17/japanese-ministry-of-finance-ready-for-battle/



このようなときに足元を見てくるようなファンドは長期的に見ても市場の混乱要因となるだけなので是非日銀砲で吹き飛ばして欲しいところであるが、それはそれとして、こういう事態で円高になるのはやはり基本的には日本の経済、特に輸出企業の競争力が強いという理解が背景にあると筆者は理解している。(それが俗説だという経済学者の方もいるようだが、)






まず短期的には海外からの資金引き上げ(リパトリシエーション)が起こるのではないかという期待(見込み)が引き金になっているという見方はその通りだと思うが、一方で円資産を処分して日本から出て行く資金も存在するはずである。 アジア通貨危機の引き金となったのは海外資金の逃避であったと言われているが、日本の場合は危機においてむしろ通貨が上がっている訳である。 これは日本が世界一の債権国であるからであり、円が危機につよいということを示していることになる。



では今後の見込みについてはどうだろう?



日本はプラザ合意後ほぼ一貫して円高トレンドを維持しながら、一時的な不況期を除いて輸出入額を伸ばし続けてきており、経常収支も大幅な黒字を維持している。 今回の震災でこの基調に大きな変化があるだろうか?



短期的には輸出入共に減少するだろうが、長期的には輸出入に大きな変化はないだろう。 震災によって日本の国際競争力が大きく毀損したわけではないからである。



では資本収支はどうだろう? 今後日本は国内で大規模な再建を行っていかなければいけない。 被災地だけでなくその他の津波が予測される地域でも大規模な投資が必要となる可能性がある。 そうなれば海外への直接投資は減る可能性があるのではないか。



しかし経常収支がそのままで海外投資が減少すれば、計算があわなくなる。 よって日本が輸出競争力を維持したまま海外への投資を減少させることは普通はできないことになる。



つまりますます円高になる可能性があるわけである。 (その背景については以下の過去記事内の「趨勢的経常黒字論」参照)



(参照)経常収支のインバランスは持続不可能なのか  - 円高への潜在的圧力は何か?
http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20101102/1288751397



実はこれには抜け道がないわけではない。 中国のように中央銀行が為替市場にどんどん通貨を供給すればよい。 つまり海外直接投資が減った分を外貨準備米国債等)の増加で補えばよいわけである。



国債をがんがん発行して日銀に引き受けさせてもある程度似たような効果が得られる可能性がある。但し、この場合は外貨準備米国債)の裏づけのない円が大量に市場に出回ることになり、どこかで為替の下落とインフレが同時に起こる可能性も考えなければならない。 外貨準備があればそれを使って円を買い支えればいいわけであるが、単に国債を発行して通貨を増発した場合、短期的にはコントロールが難しくなる。 もちろん以前書いたとおり日本の経済構造を考えれば、そのまま国家破綻したりすることは無いとは考えているが、短期的にでもインフレがコントロールできなくなる事態は望ましいものではないだろう。



(参照)リフレ政策で日本は破綻するのか?
http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20110113/1294942665



何れにしろとりあえずはG7会議で為替介入への理解を得るのが重要だろう。 協調介入なら尚よいが、理解さえ得られれば日銀だけでも十分に対応可能なはずである。 さすがに現状で為替介入に表立って反対する国は無いと思うが、どうだろうか?






(追記)
記事を投稿した時点で既にG7急電話会議で協調介入が合意されており、そして日銀は朝9時から早速介入を実施し、一気に81円台まで下げたようである。



協調介入まで踏み込むとはやや意外であったが、声明文でも市場の不安定要因となっている投機筋の動きへ懸念を示しており、今回の日銀砲で痛手を負ったであろう投機筋も当面はおとなしくしているのではないだろうか。



18日電話会議後のG7財務相・中銀総裁声明文
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Foreign-Currency-Markets/node_202679



我々、G7財務大臣中央銀行総裁は、日本における最近の劇的な出来事を議論し、我々の日本の同僚から、現在の状況、当局がとった経済・金融面での対応についての説明を受けた。



我々は、こうした困難な時における日本の人々との連帯意識、必要とされる如何なる協力も提供する用意があること、日本の経済と金融セクターの強靭さへの信認を表明する。



日本における悲劇的な出来事に関連した円相場の最近の動きへの対応として、日本当局からの要請に基づき、米国、英国カナダ当局及び欧州中央銀行は、2011年3月18日に、日本とともに為替市場における協調介入に参加する。我々が長らく述べてきたとおり、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与える。我々は、為替市場をよく注視し、適切に協力する。

2011年3月19日土曜日

円高阻止へ、震災復興資金計画示せ 加藤隆俊・元大蔵財務官インタビュー


―― 3月16日のニューヨーク市場で、円相場が1ドル=76円25銭まで急騰し、16年ぶりに最高値を更新した。急激な円高の原因をどう見るか。
 加藤 日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した動きではない。東日本巨大地震の影響で、今年前半の経済成長率はマイナスの影響を相当受けるだろう。(物流が滞ることなどで)部品が揃わないことから、輸出にもマイナスの影響が見込まれる。相場の方向としては円安になるのが常識的だ。
 だが、日本企業が決算期末にあたって円資金を用意することもあり、海外からの利益送金が通常よりも大幅になるだろうと思われることを見越して、海外の市場関係者が円を買う動きが加速した、ということだろう。

もはや世界経済全体の問題だ

加藤隆俊氏
国際金融情報センター理事長
1941年生まれ。64年大蔵省入省、93~95年国際金融局長、95~97年財務官。2004~2010年国際通貨基金(IMF)副専務理事、2010年から現職。著書は「円・ドル・元 為替を動かすのは誰か」
 もはや今回の巨大地震、東京電力の福島第一原子力発電所の事故、そして急激な円高は、日本だけの問題ではない。世界の外国為替市場、株式市場も影響を受けており、日本の貿易活動に大きく影響すると予想される。世界経済全体の問題だ。
 フランスのクリスティーヌ・ラガルド経済・産業・雇用相が7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の議長として、3月17日にも電話で緊急会合を開き、対応を協議すると報じられている。各国通貨当局が協調し、何らかの対応を打ち出すことが想定される。
―― 具体的にはどのような対応が必要なのか。
 これだけ大規模な問題が起きたのだから、巨大地震の被災地を復旧、復興するには相当なコストがかかる。日本政府はいかにその資金を調達するのか、まずその考え方を示すべきだ。
 世界的な規模の問題に対し、具体策をどう講じていくかを、主要国と協議することも重要だ。少なくとも、日本と主要国の通貨当局がともに困難な局面で連帯感を示すことが市場に大きな影響を与えることになる。
―― これまでの最高値であった1ドル=79円75銭に至る円高局面でも、約3カ月前の1995年1月に阪神大震災があった。当時、為替介入を担当する大蔵財務官として対応した経験から、今回の巨大地震後の急激な円高と比較すると、どう違うのか。
 明確に違うのは、当時は日米貿易摩擦を巡って、市場関係者は米国が意図的に円高に誘導しているという疑念を払拭できず、市場には先行き円高が進むという観測が強かったことだ。阪神大震災の前も、円の先高観は強かったが、今回は地震の前には先高感はあまりなく、むしろ国内ではなだらかな円安になるとの予想が多かった。
 阪神大震災の時は、地震が為替相場に影響を与えるという意識はなく、日本国内の問題という認識だった。今回の方が震災のスケールが大きく、原発の問題も絡んでおり、問題はより深刻かもしれない。